神の法vs.人の法 スカーフ論争からみる西欧とイスラームの断層

制作 : 内藤 正典  阪口 正二郎 
  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535584655

作品紹介・あらすじ

ムスリム女生徒のスカーフ着用が、ヨーロッパ各国で問題となっている。西欧とイスラームはなぜ対立するのか。それぞれの社会の基本原理とは?その現実とは?そして共生の条件は?衝突か、和解か。憲法学と社会学の共同作業による、比類なき一冊。最終章、樋口陽一氏を招いての鼎談は圧巻。

感想・レビュー・書評

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  •  一般書だけど、大いに論文を助けてくれた一冊。

    ・フランスでスカーフがどう見られているか。
    逆に、ムスリムたちのスカーフの意味。
    ・スカーフを禁止する理由。
    ・ライシテについて。

  • ヨーロッパ各国について無知な私はどうしてスカーフをかぶることが欧州であんなにも-特にフランスで-問題になるのか理解できなかった。この本は各国の政教分離の考え方について詳しく分析しながらどうして「スカーフ」がやり玉に挙がり問題になるのか詳しく論じられている。同時にムスリム社会の中ののスカーフ、イスラームにおけるスカーフという面も述べられている。
    特に興味深かったのはトルコにおける世俗主義と政教分離の形である。ムスリムが圧倒的多数を占めるこの国において、イスラームに確実に合致しない政教分離がどうして進められてきたのか、そしてEU加盟問題にも絡めてそれがイスラム世界にどのような影響があるのかも述べられていた。近年トルコはEU加盟を第一に求めるよりもイスラム諸国の中のリーダーのような立場を目指していると感じられる行動を強めているが、その中でこの徹底した世俗主義がどのように作用していくのかにも興味がある。

    私はスカーフがどうして「過激主義」や「抑圧」に即座に結びつくのかやはりいまいち上手く消化できない部分がある。歴史的にいつもイスラームと隣り合わせであった欧州とほぼ全く関わりの無かった日本人ではイスラームへの考え方はかなり差があるのだろう。日本は良い意味でも悪い意味でもまだイスラームへの理解が「ほぼ無い」状態である。日本が誤解無くイスラームを受け入れ、スカーフ問題のようなどうもずれた問題が起こらないことを願う。

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著者プロフィール

1956年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学文科卒業。社会学博士。専門は多文化共生論、現代イスラム地域研究。一橋大学教授を経て、同支社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。著書に『イスラームから世界を見る』(ちくまプリマー新書)『となりのイスラム』(ミシマ社)『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?』(集英社)ほか多数。

「2022年 『トルコから世界を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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