- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784535783195
作品紹介・あらすじ
哲学、数学、物理学、経済学、…が置き去りにした問題"パラドックス"。分かったと思ってもやっぱり気になる"パラドックス"。多彩な執筆者がみちびく不思議の世界。21世紀へのあたらしい視点が開けるかも。
感想・レビュー・書評
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数学や論理学など各種パラドックスの説明ないし雑談
かなりわからない話が多い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
数学・哲学・経済学等のパラドックスと言われているストーリーを集め解説している本。章毎に筆者が異なるため、読み易い章、数式を多様した専門的な章と、書きっぷりのバラつきがある。どれも読んで「ほー」と思うのだけど、書き方を工夫すればもっと面白く読めたろうな。
個人的には、下記の抜き打ちテストのパラドックスが好き。
要項1:いずれかの日にテストを行う。
要項2:どの日にテストを行うかは、当日にならないとわからない。
実際にはテスト可能か・不可能か、その解釈が3つ紹介されていて面白い。 -
ふと古本屋の軒先で見つけた100円の売り出し品である。
本との出会いというのは不思議である。なんとなく気になった本が流れの中で意味を持つようなことがままある。
情報学や生命について書かれた本を読んでいたら何かと集合や数学や論理学が出て来る。そんなわけでふと思い出して読んでみることになる。だからといって何かがわかるというわけでもない。単なる時間潰しになっているのかもしれない。それはそれでも時間は過ぎる。もし、辛い時間ならいつの間にか過ぎていればそれに越したことはない。
パラドックスとは 一見正しく見える矛盾した話を言う。(p140)
矛盾といえば論理であり、証明であり、そうなれば行き着くところは数学であろう。
養老さんも書かれてたように数学的嗜好と文学的嗜好とは食い合せになっているらしい。どうも数学と文学は脳の同じ部位で処理されているのではないかということである。
しかし、わたしは数学がよくわからないが、だからといって文学がわかるというわけでもない。ということは該当する脳の部位が、私においてはあまり機能的に優れていないということなのだろう。
そして、パラドックスの多くは数学的である。でも、パラドックスはお話しである。この語り口調がどうもパラドックスの肝のようである。
数式はよくわからない、というかほとんどわからない。お話しならまだ少し解る。ということは私のあの脳の部位は先に文学的な嗜好が支配したのだろう。どうもそうのようである。
Mahalo -
哲学、数学、物理学、確率論、経済学などの様々なテーマにまつわる「パラドックス」を集めたオムニバス。執筆陣は11人。
<感想>
・テーマ…「パラドックス=数学」というのは片手落ちの理解だったようで、テーマの多様さにまず驚かされた。
・難易度…各話で開きがあり、すべて消化するには高校程度の数学的知識が必要だろう。自分は中学程度のそれしかない文系人間で、佐藤勝彦先生(宇宙論)や林晋先生(計算機科学)の文章にはまったく歯が立たなかった(ただし林先生のコラムはユーモアに溢れていて読みやすい)。
・執筆陣…執筆者同士のすり合わせがなかったのか同じパラドックスの話が続くことがあるが、異なる切り口からの解説が理解の手助けになった。
特に面白かったのは八杉満利子先生(数理論理学)、高橋昌一郎先生(哲学)、大澤真幸先生(社会学)。八杉先生の文章は天使が主人公の小説で、「集合論のパラドックス」をやわらかく紹介してもらえ親しみがもてた。
乱暴にまとめると、「無限」や「自己言及」が絡むところにパラドックスが生じやすいということか。
パラドックスには昔から興味があるが、「0.99999…は1に等しい」ことが腑に落ちるまで何年もかかったし、アキレスと亀の件は未だに理解できない。パラドックスに納得する答えを見つけるには、思考の飛躍が必要な気がしている。論理的思考が苦手な自分には、よいトレーニングになった。 -
やや専門的で一般的ではないが、興味深い一冊。
タイトルから受ける印象ほど、面白いパラドックスに拘っていない内容故、
数学好きでなければ読むには苦労すると思われる。
ただ数式の出現率が低い(と、私は思う)ので、のんびりと読み進めるには適した本。
ただし、執筆者が12名いるオムニバス形式のため、文章を書きなれていない書き手もいる。
(無論、わかり易く面白く書いている書き手もいるが)
12名を読み比べ、気に入った人物の書籍を追う為の本かと。