面白いほどよくわかる聖書のすべて: 天地創造からイエスの教え・復活の謎まで (学校で教えない教科書)
- 日本文芸社 (2000年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
- / ISBN・EAN: 9784537250213
作品紹介・あらすじ
本書は、聖書の世界を名場面形式でやさしく解説しました。とくに後世の文学や絵画に影響を与えた感動的なシーンはすべて網羅しています。そして、「世界の常識」である聖書のダイジェスト・ストーリーが120分で読める本です。
感想・レビュー・書評
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読んでみたかった聖書を、わかりやすく解説している本で学んでみました。
『図解雑学 聖書』を読んだあと、『面白いほどよくわかる聖書のすべて』を読みました。
2冊読んでやっと頭の中でようやく整理ついた感じです。
以下自分なりの解釈と思ったことのまとめです。
※宗教の知識がない私が読んでみたあくまでも個人的な感想です。
聖書とは、神と人間との数千年にも及ぶ、交わり(契約)のお話です。
神の本質「わたしは熱情の神である。わたしを拒む者には祖父の罪を子孫に三代、四代までも問うがわたしを愛し、わたしの戒めを守る者には幾千年にも及ぶ慈しみを与える」
=わたしを拒むのか?それとも愛するのか?という契約です。
愛すると契約したその時点から、熱情の神は文字通り情熱的にその人を愛しはじめます。
旧約聖書は世界の始まりから始まります。
神様が私たちの世界をどのように創造されたのかが記されています。
"初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。「光あれ」"
闇から光が生み出されたのが第1日目。2日目には天、3日目には海と陸、植物、4日目には太陽や月、星、5日目には魚、鳥を作りました。そして第6日目に、野生動物から家畜まで、あらゆる地上の動物をつくり、その後で神の姿に似せて人を創造し、7日目に、すべてが完成したことを祝して安息日をとりました。私たちの習慣となった7日目の休息というのは、このとき神が定めたものなのです。
隕石の衝突から地球と月ができ、猿から進化して人間になった…ではないのです。
とても非科学的な描写ですが、不思議と「へぇーそうなんだぁ」と思ってしまいます。
そしてそれからは神と人間との物語です。
始めの方は、神と人間の距離がとても近く、
普通に人前に現れて会話をしたりしていました。
さまざまな人間達が登場して神さまと交流を持つエピソードは面白かったです。
ただ、神様というのは、"天の上から温かい目で優しく私たち人間を見守ってくださっている存在"と思われそうですが、全然違います。
「見守っている」ではなく、「監視している」ような感じです。たまに人間を試したりもします。
そして神に背くと、人間はとんでもなく恐ろしい罰を受けます。
自分勝手な行動を取り大変な目に遭う者がいたり、逆に神様に忠実な人はその人生の繁栄を約束されていました。
その、神さまに忠実、というところですが、自分の愛する子どもを神様やその使者の天使のために犠牲にすることを厭わないという行動の描写があります。
私だったら絶対にそこまでできないですし、「隣人愛」とか説いてるのに神様のためだったら平気で身内とか知り合いの命を差し出さないといけないの…?と思ってしまいましたが、それだけ「神は偉大なり」という教えなのでしょうか…
時が過ぎ、人間の数が増えていきます。
神さまと人間との直接的なやりとりの物語ではなく、さまざまな人間たちを中心とした物語となります。
そして悪い考えをもつ人間がたくさん出てきてしまい、手に負えず、神様は人を造ったことを後悔します。
「生めよ、増えよ。地に満ちよ」という祝福の言葉から一転し、人を滅ぼそうとします。
でも正しい人であったノアとその家族だけは救われます。(ノアの箱船のエピソード)
ひとり残らず滅ぼされてしまったら、いまこうしてスマホを扱っている私は存在しません、よかったです!
それからまた人々は神に逆らったり…別の神を作って信仰し始めたり…今日まで続いている宗教戦争の始まりのような描写がありました。
個人的にはもともと神様が、他の神を信じるなとか、教えを守れとか(十戒)、恐怖政治的なやり方をするのがよろしくないのではないかと…思ってしまいました。
ただ、我々人間という弱い生き物にとって、心の支えとなる"絶対的な存在"がいるのはいいなと思いました。何を信仰するのかではなく、いつも心の中に、お慕いする何か絶対的な存在を持っていることに対しては自分もそうですし必要なことなのかもしれません。ブレずに強くなれる気がします。
また余談ですが、ふと、これからの私達の、そう遠くない未来で、人間が作ったロボットが人間と共存する世界が訪れたときのことを考えました。神さまが人間を造ったあと、思うように行かなくてもう全部滅ぼしてしまえ!と後悔した状況と同じにならないか、これからのAIの発展について、聖書は教訓になるのではないでしょうか。
そしてユダヤ教・キリスト教・イスラム教と信仰が派生していきます。
キリスト教を説いたのは、ご存知イエスです。
イエスはそれまでの神の奴隷から、人々に自由になるように言いました。
それまではまず最初に神さまとの契約に忠実であることが求められていましたが、
神の方から先に愛してくれるーはじめに愛があるのがイエスの出発点です。
そういう意味では、あまねく慈悲をかける仏教の出発点もここにあるとのことです。
最近仕事で京都に行ったことをきっかけに仏教についても学んでみたのですが、個人的には仏教の方が慈悲的で哲学的だなと感じます。
お釈迦様の言葉をいくつかご紹介します。
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善因善果(ぜんいんぜんか)
悪因悪果(あくいんあっか)
自因自果(じいんじか)
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幸福という運命は、善い行いが生み出したものであり、不幸や災難という運命は、悪い行いが引き起こしたものです。
善いのも悪いのも、自分の運命のすべては、
自分のまいたタネが生み出したものですよ、
と仏教では教えられています。
聖書の物語然り、仏教以外の宗教は、因果の道理がなりたたない「奇跡」みたいなことをよく起こします。(それはそれで面白いです!)
が、お釈迦様に「奇跡」は一切ありません。
あなたの運命のすべては、
あなたのやった行為の生み出したものであり、
それは万に一つも例外はないのだよ、
と仏教では教えられています。
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廃悪修善(はいあくしゅぜん)
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「廃悪修善」とは、悪をやめて、善を修める。
こうして未来の不幸や災難がへり、
幸せへ、幸せへと、導かれてゆくのです。
なるほどねぇ〜〜〜と。
私は、、奇跡も願いつつ、粛々と善を修めて生きていければ…と思います。。
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『地図とあらすじでわかる聖書』に続いて、本書を読んだ。両書が補い合い、理解が深まったと思う。莫大な情報をコンパクトにまとめてある『地図とあらすじ~』に比べて、読み物としては本書の方が面白いと思う。
『旧約聖書』の神は、異教の神に心を奪われる人間を罰する。しかしこれは唯一神以外に、(異教の)神が存在すると言うことを、神自らが認めることになるのではないか。
あるいは信仰篤い人間を試そうとして、瑕疵のない人間を神が不幸に陥れて試すことが結構ある。恣意的に不幸に陥れる神の、顔色ばかり窺うような人間を作ることになるのではないか。
イエスは律法を遵守する形式的なユダヤ教を批判したようだが、『旧約』に語られる神そのものに、律法を遵守させたがる神の意志を感じる。はたして、それが本当の神なのだろうか。 -
聖書の全体像やキリスト教の生い立ちが概観でき、今まで持っていた疑問の一部が解けました。キリスト教が世界宗教としてここまで布教され、広がったのか、教義のどこにその秘密があるのか理解出来る書籍を見付けてさらに読んで見たいと思います。この書籍から全く外れるのですが、仏教は、なぜ現代語でお経を読まないのでしょうか?葬式宗教に止まっている日本の仏教、本当におかしいと思います。
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旧約聖書、新約聖書の概要が掴めます。旧約聖書に書かれていることと、新約聖書に書かれていることの違いがよくわかります。よく、アダムとイブ、カインとアベル、モーセ、バベルの塔なんかは、全部旧約聖書なんですね。ヨハネの黙示録のところも勉強になりました。登場人物のほとんどは完璧な人間ではなく、人間臭いところがある点も親近感が湧きます。
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ざっくり読了。
聖書は、様々な文芸作品で引用されているだけでなく、ファンタジーのモチーフにもなっている。「このことだったのか!」と言いたくなる逸話が多い。簡潔な筋道と背景が解説されており有用だった。 -
聖書の主要なエピソードが、図や絵を駆使してまとめれており、とても分かりやすい。
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旧約・新約聖書について、写真やイラストを盛り込みながら解説されている。海外の文学作品を読んでいると、聖書からの引用が頻繁に出てくる。読み飛ばすこともできるけれど、理解できたほうがより楽しめるはず、ということで本書を手に取った。全体を通しての印象は、“残酷なファンタジー”。とくに旧約聖書の神ヤハウェの残酷さ。信者以外の者を殺すことはためらわない。宗教戦争は自然な成り行きのような気がしてくる。登場人物の名前や地名は小説などで馴染みのあるものが多い。自分の名前と同じものを見つけた時はちょっと嬉しくなった。
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旧約聖書の神って優しさのかけらもない
兄弟同士で殺しあい、戦う人間。
悪魔にヨブを試させる神。
ダメな人間はみんな滅ぼす神。
信仰が本物かどうかを試すために息子をいけにえに捧げさせる神。
砂漠の神は裁く
イエスが出てきたところを見てホッとしました
「聖書」にある神話って現代じゃ信じられない…というかありえない出来事ばかりで、なんで未だにそんなキリスト教を信じる人口が世界の3割も占めているのか…と非常に疑問でしたが、
大学の教授がたが揃って口にすることは、
「当時は、哲学的な叙述方法がなかったため、そのような書き方で、なんらかの人間の根源を表現したもの」ということでした。
その深い意味は概要を論じる本書からは読み解くことは出来ず、また信仰の内部に迫ることも出来ないが、
聖書を読み解く前の理解としては有効である。
ひろさちや氏の比較宗教の視点は非常に参考になることと思います。 -
大学生時代、美術先行だったため、美術史の勉強のために買った本。
西洋芸術全般を理解するためには、キリスト教文化が欠かせないけど、
あんまり難しい本を読む自信はない…
そんな時、見開き1頁で主要な話をわかりやすく手短にまとめてくれているこの本を発見!!
重宝しました。
話と話の間に時々入っている、キリスト教に関する小話みたいなのも面白かったです。 -
概略を知るにはよい。
契約こそが「聖書」の軸だろう