日の鳥 2

著者 :
  • 日本文芸社
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本棚登録 : 100
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784537261479

作品紹介・あらすじ

こうの史代氏がイラストと詩で東日本の姿を描くヒット作の第2弾。突然いなくなった妻を探して旅に出た雄鶏。彼女の想い出と東日本大震災後の各地の姿を重ねながら旅は続く。

感想・レビュー・書評

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  • 「日の鳥(2)」こうの史代著、日本文芸社、2016.06.10
    128p ¥972 C0993 (2019.03.05読了)(2019.03.02借入)(2014.07.01/3刷)
    東日本大震災から8年が経とうとしています。ねんげつは経ちましたが、復興は思った以上に時間がかかっています。津波で流された建物やがれきを取り除いて建物を立て直すだけだったらもっと復興の実感が持てる状態になっているのでしょう。
    津波に襲われた場所に再び家を建てるというのは、いつの日か再びまた同じような被害に遭う、ということが予想されるので対策を講じないといけません。
    復興計画を立て、実施に移していったけど被災の範囲が広いので人手も、資材も不足して予定通り工事は進捗しませんでした。その間に被災者は待ちきれないというのと、高齢化が進んでゆく、ということがあって、防波堤の建設、土地のかさ上げや土地の整備が終了しつつありますが、前の土地に戻ってくる人は少数です。人が戻ってこなければ、商店を開こうというひとも二の足を踏むことになります。震災前の賑わいを取り戻せる日が来るとしても、かなり時間がかかりそうです。
    この本は、「日の鳥」に引き続き、東北の被災地を訪れ、妻の雌鶏を探している雄鶏の旅行記です。訪れた土地の様子と、その日の食事内容が綴ってあります。
    57頁に、元大槌町役場が掲載されています。脚注に「震災遺構として保存されようとしている」と書いてありますが、町長が変わり、方針が変わり、取り壊されました。(3月4日)
    80頁に「盛駅」(JR大船渡線の終点・三陸鉄道南リアス線の始発・開発鉄道の貨物線も通っている)が掲載されています。鉄道をまたいでいる跨線橋からの絵のようです。
    脚注に「右端のセメント工場へ向かう線路を、白い砂ばかりを積んだ長い列車が通り過ぎて行った。」と書いてあります。「白い砂」というのは、セメントの原料にするにする石灰岩です。どのぐらいに砕いてあるかは、実際に見たことがないので、今度見てみたいと思います。
    81頁に大船渡のサン・アンドレス公園が掲載されています。脚注に「銀色に光る建設中の塔が見えた。おそらく津波からの避難用の建物なのだろう。」と書いてあります。
    サン・アンドレス公園の展望塔は、津波前からあります。津波で被災して一部壊れたようですが、周りの工事が邪魔しなければ利用できるようです。避難用に作られたわけではなく、周りの景色を見るための展望塔です。
    巻末に掲載されている「小さな世界」は、放射線の世界を描いたもので、よくまあまとめたものだ、感心してしまいます。
    最後に「できれば三巻までついて来ていただきたい。」と書いてありますが、三巻はまだ出ていないようです。

    【目次】
    東日本大震災について
    2年8ヶ月後の山元・多賀城・塩釜
    2年11ヶ月後の山田・釜石
    3年後の銚子
    3年2ヶ月後の水戸・大洗・東海
    3年4ヶ月後の相馬・南相馬・福島
    3年6ヶ月後の花巻・大槌・釜石
    3年9ヶ月後の石巻・女川
    3年11ヶ月後の釜石・大船渡・陸前高田
    4年後のいわき
    4年2ヶ月後の亘理・東松島
    4年2ヶ月後の仙台・名取
    4年3ヶ月後の東海
    特別描き下ろし「小さな世界」

    ☆関連図書(既読)
    「日の鳥」こうの史代著、日本文芸社、2014.05.01
    「夕凪の街 桜の国」こうの史代著、双葉文庫、2008.04.20
    「この世界の片隅に(上)」こうの史代著、双葉社、2008.02.12
    「この世界の片隅に(中)」こうの史代著、双葉社、2008.08.11
    「この世界の片隅に(下)」こうの史代著、双葉社、2009.04.28
    「この世界の片隅に」こうの史代原作・蒔田陽平著、双葉文庫、2016.10.16
    (2019年3月9日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    「あの日」を境に妻は姿を消した―。彼女を探して、雄鶏の旅は続く。震災を生き延びた樹に、誰も住まぬ民家の窓に、復興に向かう工事現場に、懐かしい面影をただ求める。静かな筆致に優しいユーモアを添えてあなたに紡ぐ、物語。週刊漫画ゴラクの連載に描き下ろしページを加え、震災から5年の東日本の姿を穏やかにぼおるぺんで描く―

  • 震災ではぐれた妻をさがす雄鶏の旅。2巻目でもまだ出会えない。
    もしや妻って、ニワトリや鳥類じゃないんじゃないかと思ってきた。
    無事に会えて欲しいんだけど、季節は過ぎる。

  • ふむふむ。継続的に注目し続けること。

  • オンドリ(日の鳥)が東日本大震災後の各地を訪れたという趣のスケッチ集、2巻目は2013年11月から2015年6月まで。巻末の特別描き下ろし「小さな世界」は放射性物質のこと、壊変していくしくみと長い一生について。ああ、怖い怖いと思いつつ、こういうことぜんぜん知らずにいたなぁ…
    「妻」の正体はやっぱりよくわからないままだけれど、スケッチ旅行はこのあとも続いて3巻目も出る予定の模様。

  • 仮設でののどかな風景を切り取って
    〜誰も望んでなかったかも知れないこの日、それでももう二度とは戻らないこの懐かしい日〜などと妻の面影を追って旅を続ける雄鶏はとぼけたモノローグの時々にこんな詩情豊かな言葉で語りかける。
    廃墟と復興の狭間に身を任せるしかない被災地の風景を何気ない日常として表すスケッチはこれも「忘れない」ための方法なのだろう。
    巻末には書き下ろしでウランの半減期を人の成長に例えコミカルに描く掌編も付く。
    たかが漫画…しかしそこに込められた作者のメッセージをどう捉えどう考えるかは受け手である私たち次第である

  • 震災後の東北を行く雄鶏の旅、第2巻(第1巻はこちら)。
    「日の鳥」と呼ばれる彼は、東日本大震災のあの日から姿を消してしまった妻を探して、東北各地を回っているのだ。

    構成としては、1頁の中に、東北各所の精緻だが温かいボールペンのスケッチ(中に必ず雄鶏が描きこまれる)、雄鶏の詩ともコントともつかない小文、その日・その場所で雄鶏が食べたもの、そして欄外に著者自身の2行ほどの注が入る。
    ところどころ、訪れた地域の地図と、データが併載される。震災時の震度や津波の高さ、復興状況など、ごく淡々とした記述である。
    また、さまざまな種の鳥のスケッチも時折差し挟まれる。これは著者の鳥好きからくるものかな。

    2巻ともなると二度目に訪れる地域も出てくる。震災からの年数も記載されているので、雄鶏の旅が続いて、何度も訪問していくと、どれほどその地が変わっていったのか(あるいは変わっていないのか)よりはっきりと見えてくるのかもしれない。

    妻には相変わらず会えない。旅はとりあえず、少なくとも第3巻までは続きそうである。
    美しいが狂暴な妻は、もしかして霊鳥を通り越して、「破壊神」のようなものなのか? そんな気もちょっとしてくる。
    あるいは、雄鶏自身がこの世のものではないのか・・・? 時には空を飛び、精力的に旅を続け、飄々として、何だか浮世離れしているのだ。
    ・・・まぁ憶測はともかく、もう少し雄鶏の旅を見守ってみようかと思う。3巻が出るのであれば。

    巻末に書き下ろし作品「小さな世界」もある。こちらは雄鶏の旅とは別だが、まったく別というわけでもない。原子の放射性崩壊を題材にしているからだ。原子の擬人化と譬えがうまくいっているのかは少し考えてみないとならないが、ほんわかとした絵にいささかの毒が忍ばされているように感じる。
    私は、この「毒」があるから、こうのに惹かれるのかもしれない。

  • 「小さな世界」が独特。高野さんのともきんす的な。

  • なんとも言えぬ。

  • 作者の目線を空飛ぶニワトリに託して、2巻までで、約4年にわたり、東日本大震災の各地の今を訪ね回っています。3・11を風化させないという強い意志が込もっていますね。それにしても、彼が探している妻は、一体何者でしょうか?

  • 読みたての知見を援用すれば、鳥さんがだんだんと「妻(を見失った時)への想い」が徐々に薄れている…というよりむしろ、自身の参照ポイントが、「妻を見失ったあの時」から「妻と再会した行く末から」へと徐々にシフトしつつある…ような印象。3~4年後の東北の風景。

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著者プロフィール

1968年広島市生まれ。1995年マンガ家デビュー。2004年『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞新生賞を受賞。『この世界の片隅に』(双葉社)は、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、「THE BEST MANGA2010 このマンガを読め!」第1位などを獲得。ほかの作品に『ぼおるぺん古事記』(平凡社)、『日の鳥』(日本文芸社)など。

「2019年 『この世界の片隅に 徳間アニメ絵本38』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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