世界の食文化〈17〉イギリス

著者 :
  • 農山漁村文化協会
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784540060045

作品紹介・あらすじ

ロースト・ビーフ、フィッシュ・アンド・チップス…イギリス料理はほんとうに「まずい」のか?シェイクスピアの時代からエスニック料理華やかな現在まで、食卓から読み取るイギリス近・現代史。

感想・レビュー・書評

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  • 分厚く、大変読み応えがある。
    食文化とあるが、食事はその国の文化を映す鏡という事で、食事以外の事も分かり、何故その当時はそういう食事になったかという背景が、こと細かに纏められている。参考文献の多さが、それを物語っているだろう。

    イギリス料理といえば、頭ごなしに「不味い」という人が多くて、本場でまだ食べた事のない身としては納得しない(鵜呑みにも出来ない)が、その辺りの“何故”が詳しく載せられている。

    出来れば、いつか本場で食べてから、判断したいところである。

  •  イギリスのメシはマズイ、というのが定説だ。というのも、「イギリスには、野菜といえるものは、キャベツか芽キャベツ、にんじん、グリーンピースくらいしか」ないうえ、「イギリス料理といえるものもない」「支配階級はフランス人の料理人を置いていた」とい本書も述べる。当然、本書は「イギリス料理」の本ではなく、「イギリス人は何を食べてきたのか」という本になるのだが、存外これがおもしろい。
     イギリス人の食生活を変えたものは、なんだったか。奴隷貿易と産業革命だ。東インド会社を通じて中国から大量に茶を輸入し、奴隷貿易を大規模に展開してカリブ海でサトウキビを作る。産業革命&都市化&労働者化でゆっくりご飯とはいかない人々が、砂糖入りの紅茶を食事代わりにした。ジャガイモは貧民の食べるものという偏見でなかなか普及しなかったのに、さきに上流階級にひろまった砂糖入り紅茶の習慣はすみやかに広まったというのが皮肉だ。
     フィッシュ・アンド・チップスが普及したのは19世紀中頃で、その技術的背景には汽船によるトロール漁法の展開で魚が大量にとれるようになったことと、冷凍技術と鉄道による輸送手段が確立したことがある、とか、第二次世界大戦のときの食糧統制(配給制度)が1954年まで続いた、なんてのもへーってかんじ。
    「イギリスの食事ってどんなの?」と手軽に読める本を探している向きにはすすめないが、歴史的背景からイギリスの食文化を知るというのもよいんではないかと思う。

  • 資料ID:W0136449
    請求記号:383.8||I 73||17
    配架場所:本館2F手動式書架

  • 16世紀から現代までのイギリスの食文化の歴史。料理の細かい説明よりも時代ごとの栄養状態や食事情について詳しく書いてある。

  • 時々拾って読んでいる「世界の食文化」シリーズだが,今回はメシが不味いので有名な英独,そして,常に是非相半ばする微妙な立ち位置のロシアを連読.ドイツ料理に関しては,著者は「ドイツ料理は決して不味くない」と,あれこれデータや御馳走の例を挙げて力説するのだが,これが語るに落ちているというか,力説すればするほど到底美味そうに思えない料理ばかりが出てくるあたりが非常に面白い.普段食ってるものが美味そうに思えなきゃ駄目だと思うぞ.

    英国もそれは同様で「なぜ英国の料理は不味いのか」という章をわざわざ設けて一説ぶっているのだが,挙げられている理由は,ヴィクトリア朝におけるスノッブなマナー偏重,料理内容について云々するのは無作法だという堅苦しさなどで,甚だ説得力に乏しいのも笑える.食事中に会話を楽しむ習慣がないのは英国に限ったことではなく,それを言うなら最近までの日本だってそうである.どちらも申し合わせたように食料統計が多いのも興味深いところで,要するに,統計に代表される理屈が多いという事は,料理そのものに魅力が乏しいということを意味するのかも知れない.

    一方ロシアは,名文学者にしてロシア通の沼野をもってしても広大過ぎて持て余しているような印象.確かにあの国は一冊でくくってしまうには無理があるのかも.食文化を依って立たせているものが地方によって違い過ぎるものなぁ.

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著者プロフィール

1940年大阪市生まれ。京都大学文学部卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程中退。大阪大学大学院文学研究科教授、名古屋外国語大学教授、京都産業大学教授、佛教大学教授などを経て、現在、大阪大学名誉教授。著書に『工業化の歴史的前提』(岩波書店)、『洒落者たちのイギリス史』(平凡社)、『民衆の大英帝国』(岩波書店)、『砂糖の世界史』(岩波書店)、『世界の歴史25 アジアと欧米世界』(共著、中央公論新社)、『イギリス近代史講義』(講談社)、訳書にウォーラーステイン著『史的システムとしての資本主義』(岩波書店)、コリー著『イギリス国民の誕生』(監訳、名古屋大学出版会)、イングリッシュ/ケニー著『経済衰退の歴史学』(ミネルヴァ書房)、ポメランツ著『大分岐』(監訳、名古屋大学出版会)他多数。

「2013年 『近代世界システムIV』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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