ベスト&ブライテスト (中巻) (Nigensha Simultaneous World Issues)
- 二玄社 (2009年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
- / ISBN・EAN: 9784544053074
感想・レビュー・書評
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「ベスト&ブライテスト」中巻読んだ。http://tinyurl.com/3bwatme マクナマラ登場!ベトナムは彼の人生の大きな汚点だけど、人間マクナマラはわたし好きだな。63年には実態報告と警告が政府に上がっていたのに12年間もベトナムから手を引けなかったのはなぜか(つづく
軍部が絡む政策が一度進むと、たとえ小さな決定でも政策自体が生命力を持ち大統領にも止められなくなり、より強大強力な軍事行動へと発展していく、というくだりが恐ろしく興味深い。ケネディ暗殺後、強攻派がジョンソンを幻惑する。悲観論/否定派の人間が確実に米政府を追われたという事実に驚いた。
つづき)こういうねちねちいじめは日本特有のものでもなんでもないのだな。「博士の異常な愛情」が象徴する米国内の空気/価値観の変化に政府は気づけていなかった。政府が20-30年以前の価値観を土台としていたのに対し、市民は新しいメディアによって知的文化的態度を現実化させていく。(おわり詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
徐々にベトナム戦争の泥沼にはまっていく様子が克明に記録されている。当時の政府関係者の中でも多様な意見があったことがよく分かる。しかし、当時の軍部の動きはなにか「失敗の本質」を彷彿とさせるものを感じた。なんとなく聞いたことがある名前もこの本を読んでどのような人だったのか、アメリカ政府の中でどのような役割を果たしていたのかがよく分かり面白かった。
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ベスト&ブライテスト中2021/05/09
本書のようなベトナム戦争の総括を出来るのが米国民主主義の底力
ピューリッツァー賞だけある 日本では田中角栄金脈か小さい話だが
ケネディからジョンソン 不幸な引継
1.「Fact→真実」が見えたら8割は解決 それが見えない組織の難しさ
ベトナム戦争 米国政府は正義と勝利を確信
2.北爆の開始 ジョンソンとマクナマラ 優秀な頭脳→虚偽
1964年7月30日「トンキン湾事件」北ベトナムの攻撃を受ける
米国民の熱狂的支持 真珠湾攻撃の二番煎じ
北爆ありき 軍事をリード 外交は優先順位劣後
北爆は政権のリスクを拡大した=選択肢を狭めた
3.ベトナム戦争を憂う 1964年 動きが交錯
①北ベトナムハノイ政府 ②南ベトナム政府 ③ベトコン
→米国にとって 守るに値するのか② 勝てるのか①+③
疑念を持つモノは、ハト派→非国民として排斥された
4.この間もベトナム戦争は拡大 軍の暴走は止められない 泥沼化
政治は戦争開始の決定のみ 改選後は軍主導
→ジョンソン大統領の不幸 判っていても止められない 選択肢は無い
cf トルーマン大統領 中国を喪失 政治的評価を失った 政治の怖さ
5.原点の重要性(246)
①ベトナム戦争の政治的目的は何なのか?
②ハノイに何をさせることが目的なのか?
6.本書は総括と反省の書⇔Factの集成
個々の史実ではなく、意思決定=責任を総括
日本は意思決定の責任者が明確では無い
回顧録は書かない 書けない -
民主党におけるエリート主義がこの頃からすでに明確であったことは、この本を読んでいるとよくわかる。
つまり、現場とホワイトハウスが乖離しており、そのためにアメリカをあらぬ方向に導いてしまっていることがよくわかる。 -
東2法経図・3F~5F書庫 253/58/2
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ベトナム戦争という泥沼にアメリカ政府がどのように入り込んでしまうか。当時、疑いもない米国内トップクラスの頭脳、行動力を備えた要人が政府の中核を担っていた。
そして、この本のテーマは、なぜ?
この中巻ではケネディ政権、ケネディ暗殺、64年ジョンソン再選までをカバーしている。
ケネディ政権ではベトナムへの介入を疑問視する見方も芽生えていたが、ケネディ暗殺、ジョンソンへの政権が移譲、そして大統領選に向けて、ベトナム戦争の悪化は意識的に蓋をされてきた。
対外戦略における各省の駆け引き、大統領と議会の関係等、現在の政治状況を理解する上でも参考になる部分が多々ある。
以下引用~
・ロバートケネディは、世界のできごとをチェスのゲームに似た力関係の駆け引きという視点ではなく、もっと人間的な基準で観察できる能力、あるいは本能ともいうべきものがあった。
彼は、成長し、変化し、誤りを率直に認めることのできる能力があった。
・敢えて問題を政府内部で活発に討議させる方針で臨んだケネディのスタイルと、きわめて対照的であった。何よりもまず、ジョンソンは秘密主義者であった。全ての討議の流れを自分の思うままに左右することを望んだ。
・ベトナムで一敗地にまみれたのは、アメリカの武力でも、勇気でも、決意でもなく、ベトナムと敵についてアメリカの政治判断だった。そして、その判断を下すべきは国務省であり、とりわけ国務次官補の責任であった。
・アメリカ外国政策に対し、真に独自の立場を主張しようとする上院の反乱は、トンキン湾事件にその端を発している。軍事と外交は、より多くの正確な内部情報に通じている行政府にまかせるべきだとするこれまでの前提は崩れ、大統領に対する信頼度が低下しはじめたのである。 -
253.0
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ジエム一族による親族独裁とサイゴン司令部からの報告の誤魔化しに
やっと気付いたケネディ大統領であったが、時既に遅し。のっぴきならない
人数のアメリカ軍がベトナムに投入され、大統領は暗殺の時を迎える。
「ダグラス・マッカーサーはアジア問題についてケネディと話し合った時、
アジアはケネディ政権の命とりになるかもしれない、と警告したことが
あった。今、代わりに、リンドン・ジョンソンの命が危うくなりつつあった。」
軍部のいいなりにベトナムでの戦争が進むなか、警鐘を鳴らした文官は
誰にも相手にされなかった。官僚機構のなかで自分の意見が受け入れら
れないと感じた文官は、フルブライト上院議員に予言的な文書を送る。
このまま軍事援助を増やしても、効果は薄いだろう。それどころか、
以前のフランスと同じ立場に置かれる。
この意見をきちんと聞いておけば、アメリカはフランスより酷いことに
ならずに済んだかもしれないのになぁ。
そして始まったのは真珠湾攻撃に次ぐ(?)アメリカの謀略、トンキン湾
事件。これを機にアメリカはベトナムへの介入の度を深めて行く。ジョン
ソンはトンキン湾決議の議会通過を狙い、旧友であり上院の良心・フル
ブライトを取り込み、見事に決議通過させる。
のちのち、ベトナムでの事態が悪化すると、このトンキン湾決議がふたり
の間に深い溝を作ることとなる。 -
2010/3/26