- Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
- / ISBN・EAN: 9784544211061
感想・レビュー・書評
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印象って何でしょうか。
そんな問いかけから本書ははじまります。
印象に対するモネの考え方もずいぶん変わっていったようです。
晩年にはただ眼に写った印象ではなく、
「印象を、さらに内なる眼を通して」描いた絵、
かたちが「単純化」され、そのかたちの世界すらのりこえた「新しい絵画」を誕生させます。
その絵『日本の橋』は、ぱっと見よくわからない絵
なのですが、解説を読むと世界が反転します。
光と大気と生命の輝き、モネの心象風景までも描いているように見えるのです。この絵はすでに〈物語〉なのかもしれません。
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なぜあんなに睡蓮を描き続けたのかも謎の一つです。本書では睡蓮という妖精に恋をしたから、という斬新な?説が出てきます。
知識ゼロからモネの世界を楽しめる
芸術的な一冊でした。
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この画集は何点かの絵をアップで見せてくれるので、モネの独特なタッチと色彩の美しさや鮮やかさを間近で感じられるのがよい。
モネと言えば『睡蓮』など連作が有名だ。
同じテーマを異なる条件で何年も何十年も描き続けたモネ。
光によって少しずつ変わってゆく様を心のままに絵にしていたのだろう。
さすが「光の画家」のモネだ。
私が一番心惹かれたのは『印象、日の出』。
まだ印象派という言葉もなく、このような描き方が認められていなかった時代。
モネはどのような思いで「印象」とタイトルにつけたのだろうか。
この絵が絵画の新しい歴史の始まりと思うとゾクゾクしてたまらない。 -
もくじ:印象ってなに? ひなげしの畑で、雪の窓辺のカミーユ、日の出とともに、パリの大通り、機関車のある風景、積みわらのかたち、川辺のポプラ並木、大聖堂光の建築、ふたつの霧の都、水の妖精、つきせぬ睡蓮の「印象」 新しい絵画の誕生、ルノワールとモネ
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19世紀フランスの画家、モネの絵画と解説。印象派の先駆者モネ。「カピュシーヌ大通り」では、ズームだと黒い無数の点々にしか見えない部分が、全体として見ると通りを行き交う群衆だと認識できる。人間の目は不思議だ。「ルーアン大聖堂」はじっと見ていると、石に刻まれた歴史が蠢いているような気がしてぞくぞくする。限りなく単純化された形と、限りなく複雑な色彩。睡蓮の浮かぶ水面の色彩は、どうやって描いたのか想像できないくらい繊細に表現されていて圧倒されてしまった。
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モネ。本書であらためて、その作品と人柄に惚れ込んだ。
一つのものを、何枚も何枚も描き続けた。それだけでない、取り上げたテーマもまた膨大なのだ。言ってみれば、とてつもなく広大で、微妙に風合いの違う作品からなるワンパターン。
モネは、テーマを変えながら、また、同じテーマを何度も描きながら、「命」を観ていたのではないか?命とは、都会であり、田舎であり、労働であり、娯楽であり、家族であり、建築であり、自然である。それらはどれ一つとして、不変なものはなく、常に変化していく存在。つかまえようとすると、変化してしまう。その壊れやすさを含め、モネは絵画を追求した。
それにしても、本書。映画のラストシーンのよう、という部分(P12,13)とラストの睡蓮の部分(P44)、そして、そして、最後の付録的なルノワールとの友情を示す部分がグッと来ます。
芸術書の傑作です。 -
2010年8月6日
<Into the Forest of Imagination The water nymph of Monet>
ブックデザイン/森谷真弓(ワークスタジオ)