スーラ 光の詩人 (イメージの森のなかへ)

著者 :
  • 二玄社
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本棚登録 : 23
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784544211085

感想・レビュー・書評

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  • 画家のスーラの作品の解説書ですね。
    『イメージの森のなかへ』シリーズの一冊です。
    主に「グランド・ジャット島の日曜日の午後」を詳細に解説しています。スーラの大作ですね。
    スーラの作品にふれたのは、学生時代の美術の教科書が初めてでした。点描画の光と影のコンストラクが強く印象に残りました。
    県立美術館などで実際にスーラの作品を観賞して、かなり惹き付けられた思いもなしました。
    人物は静寂でいて、一人一人が何かを思考しているように感じる不思議な感覚ですね。
    スーラ自身も冷静で穏やかな性格だったようです。
    解説の利倉隆さんはこう語ります。
     スーラは色彩の科学者である前に詩人でした。
     その詩はどこから生まれてくるのでしょう。
     彼の点描のなかに深く静けさをたたえた、ほんものの詩が
     あることは確かです。
     絵の静けさは色彩と線とかたちの調和から、
     その調和は彼の秘められた豊かな内面からもたらされます
     そしてその内面は、謎です。
     その謎を知るには、いくたびも彼の点描の詩に耳を傾ける                           
     しかありません。
    スーラの人物画が内面の思考を模索した表情なのは、スーラの詩情によるものなのかもしれませんね。             

  • 贅沢な鑑賞の手引き。

  • 19世紀フランスの画家、スーラの絵画と解説。代表作「グランド・ジャット島の日曜日の午後」はパソコンの背景画像にしているので馴染み深い。実物は2m×3mの大作らしいので迫力がありそう。これだけ大きな作品を、点描という気の遠くなるような画法で完成させたのがすごい。彼が31歳という若さで亡くなったのは、一生分の精神力を使い切ったからなのではないかと一瞬疑った。ズームで見ると本当に細かい点々の集合からなっている。うひゃぁ、と思わず声に出してしまうほどの緻密さ。この緻密さから生まれる深い静けさが好きだ。

  • もくじ:はじめは無人の島で、猿をつれた婦人、グランド・ジャット島の光と影、大作ができるまで、絵のなかの絵、沈黙の岬、無口な画家、森の思い出、セーヌ川辺の水浴、夕闇のサーカス、踊り子たちと楽士たち、未完のサーカス、消された自画像、ふたつのタッチ―ゴッホとスーラ

  • 真摯に芸術と向き合う姿勢をあらためて教えられました。

    舞踏や音楽、詩と比べると、絵画は概して静かです。鑑賞者側の感受性がもっとも試される芸術分野とも言えます。

    利倉さんは、このシリーズで、それぞれの芸術家の命の響きに、丁寧にチューニングし、絵画を選び、言葉を選び、構成を緻密に練っています。

    スーラは、科学者である前に詩人であった。
    点描という技法以上に、画家の内面に迫ろうとする態度。

    スーラに対する見方が一変した書物でした。

  • 2010年9月2日

    <Into the Forest of Imagination Seurat, a poet of the light>
        
    ブックデザイン/森谷真弓(ワークスタジオ)

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