- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560027356
作品紹介・あらすじ
「とても鋭い知性の持ち主だが、ほとんど記憶のない女がいた」わずか数行の超短篇から私小説・旅行記まで、「アメリカ小説界の静かな巨人」による知的で奇妙な51の傑作短篇集。
感想・レビュー・書評
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わずか数行の話や言葉遊びのような物からエッセイや旅行記まで多岐にわたる短編集。訳者はあの岸本佐知子さんで強烈な印象で虜になったとあとがきにあるが、私はそこまでピンとは来なかった。印象深いのは「大学教師」「サン・マルタン」「面白いこと」「ロイストン卿の旅」
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たった数行で終わる短編もあって、これって小説?と思うが、じゃあ他にどんなジャンルが当てはまるかと言われると、やっぱり小説なのだった。エドワードゴーリーの絵がよく似合いそうな、暗くて魅惑的な作品集。
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ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』にリディア・デイヴィスが熱烈な序文を書いているのだが、そういえばリディア・デイヴィス読んだことがなかった、と手にとってみました。
いちばん短いもので2行、長くて18ページくらいの作品が並んだ短編集。
カフカ的というか、「ひねくれたユーモア」というか、言葉遊びみたいな作品もあったりして。
なんとポール・オースターの元奥さん。そういわれると少し作風が似ているような気もする。
リディア・デイヴィスのwikiにはポール・オースターのことが書いてあるけど、ポール・オースターのwikiには「大学時代から交際していた女性と結婚」、「経済的な問題などから妻との関係が悪化し、離婚に至る」とリディアの名前は「配偶者」欄にしか書かれていない。
ふたりとも離婚後に作家として知られるようになるのですが、日本では2005年の本作まで彼女の作品が出版されていなかったためかと思われます。
ぞわぞわするような感じと、でも決して暗くない、むしろクスッと笑える感じの不思議な作品でした。
以下、引用。
十二人の女が住む街に、十三人めの女がいた。誰も彼女の存在を認めようとしなかった。
失敗から学べるものならそうしたいが、世の中には二度めがないことが多すぎる。じっさい、いちばん大切なことは二度ないことだから、二度めにうまくやることは、不可能だ。
もしもこれを友人に見せれば、きっとその友人は、ハリケーンには中心があるのにこの話には中心がない、と言うだろう。
私たちの理想は世界じゅうのすべての人にとても優しくすることだ。けれど私たちはいちばん手近な人間である夫にとても冷たい。
ミシェル・ビュトールいわく、旅することは書くことである、なぜなら旅することは読むことだからである。それを発展させるとこうなるー書くことは旅することであり、書くことは読むことであり、読むことは書くことであり、読むことは旅することである。
ロシア語には「裁判官による正義の悪用」を一言で表す語があると聞き、彼はこの国の民の信用ならざるを知る。アラビア語に「裁判官に渡す袖の下」を意味する一語があるのもこれに同じである。
ロシア語は又「赤い」と「美しい」の両方を一つの言葉で済ますが、これは古代のローマ人が「紫」という語を、例えば「紫の雪」といった具合に色と無関係に使っていたことを想起させる。
みんなの意見が一致することがらは、本当の彼女を言い表わしていると言っていいのかもしれないが、ひょっとすると本当の彼女などというものはどこにも存在しないのかもしれない、なぜなら本当の彼女をとらえようとするとあちこちで辻褄が合わなくなるからだ。
失われたいろいろのものたち、でも本当に失くなったのではなく、世界のどこかに今もある。
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岸本佐知子さんの訳には本当に感動する。「13人めの女」や「二度めのチャンス」が好き。短編の中の短編だが、抽象的なものが多いのでついていくのが精一杯の作品ばかり。しかもクールな文体で熱い。そんな作家のすごい作品を違和感なく日本語にのせてくれる翻訳。拍手しかないな。
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この状態、出ていけ、裏のアパート、共感が好き
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プルースト『失われた時を求めて』のひと
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エッセイ風でもあり、私小説風でもあり、哲学的随想風でもあり、短編集で、そんなに厚くない本なのに、読破に結構時間がかかってしまった。
エレイン牧師の名前が出る話が2編あり。他にもあるのかな。
「グレン・グールド」が好き。
必ず読むとは限らないが、気になる作家ではあり続けそう。 -
面白い!どんどん引き込まれる感じがしました。個人的には短編の方が好きです。