タータンチェックの文化史

著者 :
  • 白水社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560027998

作品紹介・あらすじ

デパートの紙袋から女子高生の制服まで、日本にタータンチェック柄が浸透して久しい。その歴史と文化についてたのしく解説し、発祥の地・スコットランドの魅力を紹介する。

感想・レビュー・書評

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  • チェック柄の王様とも言えるタータンチェックをこよなく愛する著者による一冊です。
    日常生活に馴染んだタータンチェックから始まり、タータンの故郷スコットランド、そしてタータンチェックの更なる深みへ読者を誘います。
    商業的な理由で氾濫している柄ですが、本来はアイデンティティや情報を表現した言語の意味を持った織物です。
    色合いによって国や家柄や職業まで、様々を読み取ることができる優れ物なのです。
    そんな機能面に加えて美しいのですから魅力的ですよね。
    チェック柄が好きな方は大勢いると思いますが、本書を読めばもっとタータンに恋すること請け合いです。

  • タータンチェックに惚れ込んだ著者によるタータンチェック本。スコットランドの歴史や日本でのタータンにも及んでいて、なかなかしっかりした一冊。

  • 思ってたより専門書

  • 論文用に。

    とある漫画で、タータンチェックは日本で言う家紋みたいなもの、という事実を知ってから、タータンチェックに興味が沸いた私。
    大学の方で好きな事について論文を書いていい授業があったので、これはチャンス!と思いタータンチェックについて調べ始めました。
    最初は文献がないのでは、と心配していましたが、奥田さんの文献に随分助けられました。

  • 今日から、サッカー、スコットランドプレミアリーグの新しいシーズンが始まる。
    中村俊輔の「セルティック」は、セルティックパークで「セント・ミレン」と戦う。
    先月末に股関節ヘルニア手術をした中村俊輔、膝の手術をした水野晃樹は残念ながら開幕戦に間に合わなかったが、きっとチームのスーツを着てスタンドから観戦するはずだ。

    6万人収容のスタジアムいっぱいのサポーターが、グリーンと白のチームカラーのマフラーを高々と掲げて「You’ll Never Walk Alone」を大合唱する映像を また1年間見ることができることを素直に喜んでいる。
    中村俊輔がセルティックに移籍したとき、はじめてセルティックパークのスタジアム映像を見た。サッカーのスタジアムはこんなに美しいのか!と感動したのを覚えている。そしてその美しさへの感動は今も変わらない。
    グリーンと白、そして赤茶がとてもクリアーで汚れやくすみをまったく感じさせない。あの澄み切ったグリーンはスコットランドの空気感が見せてくれるものなのだろうか。日本にセルティックパークを持ってきたら、あの澄み切った美しさが保たれるだろうか。

    クリアな色の美しさといえば、スコットランド独特の「タータンチェック」にも不思議な美しさがある。
    規則的な縦線横線の組み合わせでこれほど様々なチェックを作り出すことができるのかと思うほど限りなく多様なタータンチェック。日本では学校の制服などに使われているが、スコットランドのタータンチェックは日本のものに比べると遥かに美しく澄み切っていて格調高い。スコットランドの人々がタータンチェックにこめた歴史や誇りの意味を知らず、短なる服飾として制服に取り入れている日本の服飾界のアイデアとでは、もともと大きな違いがあるのだ。そのこころざしの違いが色の美しさに出ているような気がする。

    この本にはタータンチェックにまつわるスコットランドの歴史からタータンチェックの存在理由、チェックの解読方法、服飾界とのスタンスなど興味深い事柄が、多く書かれている。様々なタータンチェックとその名称がカラー印刷されているで、それだけでも大いに楽しめるし役に立つ。

    この本で知ったことだが、タータンチェックの柄は登録認可制になっていて、その柄の正当な持ち主があるらしい。クランタータンという由緒ある氏族の柄というものもあり、勝手に使うことは礼を失することになるらしい。一般に使えるものはユニバーサルナショナルタータンと呼ばれるカテゴリーのもの。それでも多くの種類がある。
    「スコティッシュ・タータンズ・ソサエティー」という国際的にタータンチェックの登録と認可を行う団体がある。その団体が運用しているスコティッシュ・タータンズ世界登録簿というのがあって、インターネット上でもさまざまなターンチェックを見ることができる。

    [#IMAGE|b0009103_15141989.gif|200808/10/03/|right|200|160#]そこで、ずーっと気になっているチェックを探してみた。
    セルティックのホームページだったと思うが、グリーン系のタータンがベースに敷いてあるページがあった。このグリーンのタータンはセルティックとどのような関係なのだろう?と気になっていた。
    調べてみると、このタータンチェックの名称は「CELTIC」。
    セルティックFCのコーポレートタータンとなっている。
    チーム独自のタータンチェックなのだ。
    このチェックがチームのタータンとして初登場したのは1989年のイタリアワールドカップ大会だったそうだ。
    もちろん宿敵「レンジャーズ」もきれいなブルーのタータンを持っている。(ここは、女性のドレス用のタータンも持っている)
    スコティッシュプレミアリーグには、チームを表現するものにタオルマフラーやエンブレム以外にもタータンチェックという独特のアイテムがあるのだ。いつか中村俊輔にもこのタータンチェックが贈られるのかもしれないなどと想像している。彼はタータンチェックの栄誉に見合うだけの活躍をしているのだから。

    ブレイブ・ハートの国の誇りと繊細さを楽しめる本だ。

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著者プロフィール

奥田実紀 宮城県仙台市生まれ。コピーライター、編集者をへてフリーライターに。1992~93年、小説『赤毛のアン』の舞台となった、カナダのプリンス・エドワード島に、小さい頃からの夢を果たし滞在。その体験をもとに書籍を出版、雑誌記事も執筆。新聞・ラジオ出演、カルチャーセンター等での講演会も行なう。タータンの著書に『タータンチェックの文化史』(白水社)『スコットランドタータンチェック紀行』(産業編集センター)『図説 タータンチェックの歴史』(河出書房新社)がある。

「2021年 『すてきなタータンチェック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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