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- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560038543
感想・レビュー・書評
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尊敬する装丁家・菊池信義さん。
手がけられた数々の本を眺めていると、その時々の風潮や傾向にまったく左右されることなく、まっすぐに自分の道を切り開かれている姿が浮かび上がってきます。
美しく優しく愛らしい手合いの「どうかしら?」と声を掛けてくる本は、今や山ほど見かける。そして大河のように、波間に見え隠れしながら、目の前を通り過ぎてゆく。
そうした中、菊池さん装丁の本は書店や図書館で、「どうだ」といった風体で「どうだ」とは語らず口を閉ざして、そこに在る。
私はよく菊池さん装丁の本を、ふと見つけてしまう。この感覚は、自分の中ではよくわかっている気がするのだけど、言葉ではうまく表現できないというのが正直なところだ。
この唯一無二の存在感は、“ただそれをやる”ということを繰り返して重なった時の集積のようだと思う。だから、とても自然にただそこに在るのだと思う。
「樹の花にて」は、そんな菊池さんが著者としてペンを執っている。勿論、自装本だ。ここでは、ごく自然な日々の姿が正直に書き下ろされていると私は思う。無用な力が削ぎ落とされてこそ、ある種の強固な存在感を放つ「装丁 菊池信義」の本そのものなのかもしれない。
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