ライ麦畑でつかまえて

  • 白水社
3.35
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本棚登録 : 264
感想 : 29
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560042373

感想・レビュー・書評

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  • 面白いとか感動するとかそういうのではなく、爽快とか共感、そちらの方がピッタリくる。若い頃の自分に戻ったつもりで読まないと、ただのわがままな悪ガキの話に読めてしまう。最初から最後まで思い付くままの話し言葉、しかも横路にそれまくるので、苛立つ人は苛立つし、愉快と感じる人は愉快と感じる、両極端な印象を持つんじゃないかと思う。自分も読み始めたとき度肝を抜かれたが、さすがに慣れてくるとと爽快さを感じてくる。ただ、ものの感じ方や表現の仕方、風景に至るまで全てがアメリカ的なので、かなり入り込まないと訳が分からないで終わってしまうかも知れない。いずれにしても最後まで読まないと、単なる自分勝手でやりたい放題な少年の言い分、そんな風にしか読めない。

  • 人生ベスト小説。
    私の魂の本。

    社会的な自分のためじゃなくただ純粋に何かをしたいと思った内容が誰かのためになるものであるように生きることは歳を重ねるにつれてどんどん難しくなっていく。中には子供の頃からそうじゃない人もいるかもしれないし、大人になっても特に何も考えずそういう人もいるだろうけど、とにかくそれはどんどん僕の中から抜け落ちていくから嫌で嫌でならないし、どこかでそれでもインチキなんてなしに生きていきたいとも思っている。そんな話でした。それでもインチキの中にもやっぱり美しいものはあるって気付いてる主人公がとても素敵でした。

  • 最初から最後まで、少年が一人でぶつぶつ文句を言い続けるのに付き合っている感じ。自分はすごいんだとか、あいつらは変だとか。日本語訳が多少古いせいなのか、かなり辛い。。少年が色々な大人の欺瞞に触れながら、などという感想もあるようだが、そのように感じられないのは、こっちに余裕が無いせいなのか。華麗なるギャッツビーにも似た感じ。

  • 村上訳と、古いというレビューが目につく野崎訳どっち先に読もうか迷ったがとりあえず野崎訳当たりですね。ユーモラスな語り口にレビュー通り「古い」言い回しが混ざるのだが、そこが味になってておもしろかった。というのもこの「古さ」のリアルタイムの人間ではないので一周回って新鮮だったんですよね。インチキ野郎とかトーヘンボクとかなんとかが。どうも癖になる。

    主人公の自分語りだけで長編をもたせるとは思わなかったので恐れ入った。
    仮に自分を主人公にして自分の人生そのままをテクストにしようとしても、答えが頭のなかへそっくり入ってるにも関わらず難しいだろう。なぜ自分はそのときそういった言動をしたのか、相手のことをどう考えていたか、自分でも言葉に表せなかったりそもそも事象に対して何を感じたかを認知してすらいなかったりするのだから。
    ホールデンは事象に対して、あれが嫌いだ、それが憂鬱だ、これが好きだなどと思考をリアルタイムで実況しているかのように語りかけてくる。これだけ思考がだだ漏れで一個人の価値観に凝り固まっている形態なのに、不思議と押しつけがましさを感じない。さんざんあれこれはインチキだいやったらしいだのと他人を否定する言葉で溢れているのに、読み手の価値観を否定してくることはなく、単純に「僕は」こう思うと述べているだけにすぎない。そこに誠実さを感じた。
    それに世界が主人公を全肯定してないところが良い。同級生やら大人やら子供やらと対峙して、彼らとうまくコミュニケーションが取れたり取れなかったり。人生においては当たり前のことだが、ことフィクションでは大量に登場人物がいても似たり寄ったりしてしまう場合が多々あるので。

    国も時代も世代も生活水準もなにもかもが違う主人公に共感できる点があるというのは不思議な気もしたし、ある意味なんとなく自分自身を俯瞰して見れるような読者体験でもあった。そういえば自分もこういうことに嫌悪を抱くことがあるが、それはなぜかとか、側から見ればどんな幼稚な態度であるかだとか、どんなに恵まれているように見える人物でも必ずなにかを妥協して生きているのだとか。
    社交辞令は必要だ、生きていたいならというシーンが妙に胸にきた。

  • 有名な作品ですが、内容を全く知らず予備知識なしに読み始めました。まさか大都会ニューヨークを彷徨う思春期の家出少年の話だとは思っても見ませんでした。
    人よりも重い思春期の病を患うホールデン。昔は自分も大人や世間に反抗して、グチグチ言っていたけれどホールデンほどではなかった。この本を思春期に手に取っていたら、主人公に反感を覚えて最後まで読めなかったと思う。
    ホールデンはライ麦畑のつかまえ役ではなく、彼が崖から落ちないようにつかまえてくれる人がほしいのではないでしょうか。

  •  ホールデンのクレイジーさは思春期独特の潔癖からきているんじゃないかと思う。人や物や世の中を痛烈に批判してみたり、それらに反抗してみたりするけれど、その裏には確固たる理想や「こうでなければならない」といった信念があるように感じた。それらが正解かどうかは別にして、それらを越えることでホールデンはこれからだんだんと大人になっていくんだろうなぁ。そしてクレイジーでありながら家族愛溢れるホールデンにいつの間にか惹かれた。この本、思春期の頃に読めばもっとよかったかもなぁ、と思う。

  • おもしろかった。

  • ★2014SIST読書マラソン推薦図書★
    所在:展示架
    資料ID:09203313

    本を読んで読書マラソンに参加しよう!
    開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/12)

  • 最初は「ひたすら愚痴を聞かされるだけでつまらない。米国社会で生きる思春期の少年なら楽しめるのか?」と思った。しかし少しずつ、反抗期、思春期だった頃の自分、今より潔癖だった頃の自分が、実際何に苛立っていたのか、当時も明言できなかった事柄が発掘されていくようだった。

  • 若いころに読んでいたら、印象も違ったのでしょうが…

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