小説の技巧

  • 白水社
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560046340

作品紹介・あらすじ

小説愛好家・作家志望者必読!ジェイン・オースティンからポール・オースターまで、古今の傑作を素材に小説味読の50のポイントを鮮やかに解明する。英米文学科学生にとっても座右の書。

感想・レビュー・書評

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  • 2021/2/20

    小説を理論に沿って堅苦しく読むことと、豆知識を頭の片隅に入れておいて楽しく読むことの絶妙な架け橋。

    「楽しく深く読む」補助線となる技巧が豊富に詰まっているので折に触れて立ち返るべき本だなー。

  • 小説の専門書(これは一般向けらしいけど)は初めて読みました。章ごとにいくつかの引用があり、引用箇所をもとに小説に組み込まれた技巧を分析していくという内容。引用が豊富かつ興味をそそられる文章で読書や創作への意欲が高まる一冊。ロッジの豊富な語彙力からなる鋭い分析は飽きることなく、難しさから手が止まることはあっても読むのをやめようとは思いませんでした。
    やはりプロの作家はテキストからより多くの発見をしている。そして、そのテキストから発見する力こそ私が欲しいと思っている物でした。
    ロッジの作品は読んだことがないのでこれを機に読んでみたくなりました。

  • 作者と対話する覚悟で読まなくては面白くない。
    本書は「それはそうだろ」ということで溢れているし、イギリス文学の持つ教養性が退屈に輪をかけて襲いかかってくる。

    「あらゆる小説は、本質的に無垢から経験への移行を描いたもの、あるいは見かけ上の世界の裏にひそむ現実の発見を描いたものだと言われている。」P243

    しかし著者の論を本当に腑の底まで落とし込めているか? という疑問が立ち上がるのなら、本書は読むに値する素晴らしいものになる。
    著者の言葉は広範な知識と隙のない論理で組み立てられているし、それを対等の相手の言葉として精査したとすれば、創作者としてささやかな武器を手に入れるひとつのきっかけとなるはずだからだ。

  • 小説を書くための、ではなく、「小説をよりよく理解し、楽しんでもらうための、そしてこのもっとも多様かつ有効なる文学形式における読みの可能性を感じ取ってもらうための本である。」と序文にあるように、特に英米文学の奥行きのようなものを感じる(知る)ための本。

    50章全てに著者が選んだ小説の一部分が引用されており、それを読むだけでも楽しい。

    英米文学だけでなく、村上春樹や江國香織の文章を楽しむことにもつながる、と思った。

  • なるほど,今まで本を読んで体験したはずのことが,上手く分類されて提示されている感じだ.別に,知ったからといって本の読み方が変わる訳ではないような気がするし,これを読んだからといって小説が書けるようになるとは思えないけど,強いて例えると、国語(現国)の文法に相当するかな,知らなくたって困らないし,知ってても本は書けないでしょ?でも知ってたら正しい文章を書くのには役にたつ.

  • 記録

  • 【オンライン読書会開催!】
    読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です

    ■2022年8月29日(月)10:15 〜 12:00
    https://nekomachi-club.com/events/75d46872a269

  • 「書き出し」(引用J・オースティン他)、「作者の介入」(G・エリオット他)、「意識の流れ」(V・ウルフ)など、50にのぼる小説技巧を実例とともにコンパクトに解説し、拾い読みするもよし、英米小説ガイドにするもよしでお役立ちの一冊。
    少々イヤミなロッジ先生節も本書の読みどころで、「信用できない語り手」では『日の名残り』におけるスティーヴンズの英国正統派の執事的語りを、“客観的に見て、この口調に文学的美点は何もない”(p.212)と腐したり、「メタフィクション」を自意識をこじらせた現代作家の多くが取り入れたくなる手法だと皮肉ったり(p.278)という具合。
    「サスペンス」の章を読んだ時には、どうしようもなく暗いイメージしかなかったハーディ作品への偏見が見事にひっくり返されニヤニヤしてしまいました。(1992)

  • 文書を書く人は読むと勉強になる

  • 英国におけるコミック・ノベルの第一人者として知られ、創作や批評の分野で活躍する著者による、小説の技法に関する知識が満載の本。
    訳者あとがきによると、「小説を読む上で絶対のルールなどありはしないのだが、その一方で、……小説の作者・読者のあいだで従来ある程度の共通理解事項となってきた技法上の概念や手段を知っておいて損はない……。」「一般には、健全な技術的知識は、同じテクストから読み取れる情報量を増やしてくれるはずである。」
    そして、この本は小説家が用いる基本的な技法について、英米小説の名作を引用しつつ解説してくれる。(一粒で二度おいしい気分になれる。)
    本書を読んで、小説の世界には実に多種多様なテクニックが、それもかなり昔から存在したのだということを知った。割りと近年になって使われるようになったのだろうと勝手なイメージを持っていた技法が、実は何十年、何百年も前から編み出されてきたのだと分かると、自分の浅学非才を恥じると共に偉大な作家たちの苦労に脱帽せざるを得ない。また、細かな技法にも一つ一つ名前が付いていることにも感心した。

    昨今ネット上では素人の書いた駄文があふれているけれど、プロを目指すのなら読んでほしいと溜息の出る一冊。
    あえて難点を挙げるとすれば、本書では英米の小説しか取り上げられていないので、日本語の小説に関する同様の解説がぜひとも欲しいところ。

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著者プロフィール

1935年、ロンドン生まれ。英国を代表するコミック・ノヴェルの大御所。『小さな世界』と『素敵な仕事』でブッカ―賞最終候補に選ばれる。『大英博物館が倒れる』『交換教授』『小さな世界』『素敵な仕事』『楽園ニュース』『恋愛療法』『胸にこたえる真実』『考える…』『作者を出せ!』『ベイツ教授の受難』『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』『起きようとしない男』など主要作品が邦訳されている。

「2019年 『作家の運 デイヴィッド・ロッジ自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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