室温

  • 白水社
3.69
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本棚登録 : 112
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560046944

感想・レビュー・書評

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  • ロッキングチェアに座って我が子にミルクをあげる父親の20分間。脈絡のない過去の回想を切り取って読ませるのってすごい。たまに「この一瞬を忘れたくないから書き留めたい。でも書き留めるには時間が掛かるから時間がもったいない」と思うことがある。そんな思いを形にしたらこんな感じなのかもしれない。読んでいて、夫婦だけの会話や行為、思い出がとても幸せな気持ちになった。

  • 言葉の豊かさとゆとりってこういうものなのかと思った。
    夫婦が仲がいいのが、読んでいてとても心地よい。
    お互いの興味の先に夢中になるのがとても愛おしかった。

  • 主人公の僕は、ロッキングチェアに座って生後6か月の娘〈バグ〉にミルクを飲ませている。
    そのたった20分の間に彼の脳裏に浮かんださまざまなことを、いちいち細かく、過去に未来に想いをはせながら考えたことを書きつづったのがこの作品。

    僕は週に二日、医学画像会社のテクニカル・ライターとして勤務している。
    妻のパティは広告代理店で週に三日働いている。
    なんか、こういう柔軟な働き方、いいなあと、私もあたたかい日差しのなかでゆらゆら揺れている気分で思いました。

    赤ん坊の鼻の描写。
    清らかな、半ば透き通ったオレンジ色のその物体。
    いや、本当はもちろん半透明ではないですよ。
    でも、透き通るようにつややかに張り切っているその鼻が目に浮かぶようではないですか。

    “僕の顔を無意識に手で押しのけただけだったが、その押し返してくる力を感じた瞬間、ぼくの〈バグ〉へのいとおしさは、また一段階アップした”
    わかる。わかる。わかる!

    娘のことだけではない。
    ピーナツバターや、色の名前や美しさ、物のかたちやその機能。
    繰り返し語られる言葉の数々は、繰り返されるたびに違う一面を見せてくれる。
    言葉のもつ豊かな世界を堪能させてもらう。

    “ねえマイク、十九世紀の小説ってけっこういいものよ。たしかにテンポはスローなんだけれど―昔の人は読書の時間がうんとあったから―でも絶対に飽きさせないの。”

    ゆとりって、こういうこと事かもねえ。

  • 2/25 読了。
    幸福なパラノイア。

  • ごくありふれた日常の20分間における、主人公の巡りゆく思考。
    ささやかな、というかどーでもいいようなコトが深く掘り下げられ、広がっていき、また戻ってきたりする。
    主人公の思いつくままを丁寧に描写してあり、ユーモラスである。
    幸せってこんなことなんだと思わせる。

  • 何物にも邪魔されない、静かな午後のひと時、赤子をあやす父親の頭の中は、過去・現在・未来を縦横無尽に飛翔し、回想が際限なく続いていく。

    ストーリーもへったくれもないが、なんと独創的な小説だろうか。

    おもしろおかしいく、また愛情を感じる場面があるものの、ちょっと理解できないなぁという場面もあるので、そこは飛ばし読みしてもらってもかまわないかとおもわれる。

  • ミクロ小説、家族版。『中二階』よりも<今>がどこにあるのかわかりづらくなった印象…『中二階』読んだのが昔すぎて忘れてるだけかも。

  • これぞリア充。ホント素晴らしい作家です。

  • 道尾さんおすすめ。

    ある若い父親が、ロッキングチェアに座り、生後6か月になる娘に哺乳瓶でミルクを飲ませている。やがて父親は娘をベビーベッドまで運び、そっと部屋を出て行った。
    この情景を小説の中で描いたら、まあ普通は5・6行がいいとこだろう。しかし実際には、そのたった数分の出来事のあいだにも、人の心には様々な思考や感情や夢や希望が去来している。それらをすべて文章化すると、さていったいどうなるだろうか。188ページもの長編小説になるのだ。そういう本だった。

  • 何かに誘発されるように
    20分間で、人生をもう一度なぞる。
    訳が素晴らしいと思う。

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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