ノリーのおわらない物語

  • 白水社
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本棚登録 : 79
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560047835

感想・レビュー・書評

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  • イギリスから米国へ引っ越してきた9歳の少女・ノリーの視線でとらえた自分と周りの世界。
    ノリーの思考は、どんどん自由に膨らんでいきます。
    でも、やっぱりノリーの周りにもイジメがあり、転校生のノリーの微妙な立場もさりげに触れています。

    子どもの世界も大変なんだよ!

  • 9歳の女の子の頭の中。
    発達中の頭は、いろんなことを脈絡もなくつなげていく。そのごちゃごちゃにもつれたかたまりは、おそらく大人になってもそんなに変わらないだろう。
    ノリーは想像力豊かで、読んでいると懐かしさを感じる

    でも読み始めると、すぐに眠くなってしまった...。

  • 本書は、著者である「ニコルソンベイカー」が自身の子供を元手に生みだした「9歳の少女ノリー」のエネルギッシュでイマジネーション豊かな日常の物語である。

    「本当に大人が書いたの!?」と疑ってしまうほど、子供らしい文体で綴られていて、思わず「ほっこり」してしまった。
    微妙なスペルミスや、間違った言葉づかい、直球な感情表現がキュートさとユーモアさを一層引き立てている。いやはやまいった、まいった。

    この本を手に取った理由は、著名な翻訳者である「岸本佐知子」がどのような本を手掛けているのか気になったからというのが当初の理由であったが、いい本に巡り合えて「めっけもん」だった。

  • 『そして灰色の歯のきょうくんは、「ときどき、いいことをしようとしたつもりで、わるいことをしちゃうこともある」。』-『6 フッ素にご用心』

    「The Everlasting Story of Nory」は、誰でも気づくことだと思うけれども、ミヒャエル・エンデの「果てしない物語(Die unendliche Geschichte)」の英語のタイトル、「The Neverending Story」を思い起こさせる。でも、EverlastingとNeverendingって、結果として到達する地点は同じだけれど、出発点から左右ばらばらに分かれてお互いを反目し合うようにして進んで行った先で再びばったり会ってしまう、というような動きをイメージさせる対の言葉たちだ。そこにニコルソン・ベイカーの意図が滲み出ているような気がする。

    児童文学って、ややもすると説教臭くなってしまうことがあると思うのだけれど、それはやっぱり大人が大人の視線で口ぶりだけ子供のそれを真似たりするからなんだろうな、とベイカーの「おわらない物語」を読んでいたら急に解ったような気になった。エンデの作品は素晴らしいとは思うけれど、やはりそういう面があるにはあって、きっとベイカーは、ああいう風には書くまい、と意識していたんだろうと思う。もっともベイカーが児童文学を書こうとしていたとは思わないんだけれども。

    ベイカーのこの作品も、もちろん大人が書いているわけだし、少女の口ぶりを通して物語を語るわけだけれど(ところで、この原文ってある意味難解なんだろうなあ。この翻訳作業がどれだけ大変なものか想像するだけでも背筋が寒くなる。やっぱり岸本さんは天才です!)、しっかり子供の視点に立てているところが読後感を好印象へ動かす要因だと思う。それはきっと、誰もがみんな子供だった、という当たり前のことと関係があるんだろう。

    もうすっかり忘れてしまった(と思っている)子供の頃のものごとの感じ方やとらえ方、好きと嫌い、倫理観のようなものの手触り。そんなものをベイカーはしっかり再現する。もちろんそれは献辞にもある通り、実の娘からの声に助けられている面もあるだろうけれど、やっぱりそこにはミリ単位で心のうごきや文脈の変化を書き写すベイカーの能力があればこそなんだと思う。

    ベイカーに出会ったのは「中二階」という作品を通してであったけれど、そこに書かれていたのは、常に変化する周辺の状況と自分の心と身体の反応で、その描写の細かさにぐっと惹かれた。エスカレータを上って事務所に行くだけの間に起こるありとあらゆる雑念といっていい由無しごと。そのほとんどは頭の中だけで起こることだけれど、人間の頭って常に忙しい(忙し過ぎて考えている自分でさえ気づかない程に色んな思いがぐるぐるしている)んだってことに、あっと気づかされた。

    エンデの「はてしない物語」でも人間の持っているそういう能力、そして言ってみればそこから広がる可能性を物語にしてはいるんだけれど、すべての物語に意味がある訳じゃないってことまでは、エンデの本は教えてくれない。むしろ逆に全ての物語は決着を見なければならない、という宿命めいたものを重く押し付けられたような気になる。ベイカーの「おわらない物語」は、全く逆だ。子供の話すほとんど意味のないような話の中にこそ聞き漏らしてはいけない何かが存在している、ということを教えられたような気になる。

    ベイカーといえば、上司と並んで用を足す時の心情であったり、一瞬を限りなく引き伸ばすことができる力を持ったら何を思うかということであったり、はたまた間違い電話からどこまでも脱線してゆく会話であったり、と、意識下の一瞬の中に封じ込められた可能性をぐんと引き伸ばして意識に上らせるのが特徴だと思う。それは大抵あり得ないような話の響きがするけれど、本当のところは全て頭の中では起こっていること。

    別な言い方をすれば、小さなことがこれでもかと積み上げられていて一瞬とても非現実的な印象にも囚われるけれど、実はその一つ一つがどれもみな、ああそういうこともあるよね、というステップで構築されていて、もちろんこれは作り話なんだけれど、本物だなあという印象が残る、ということか。

    そういう視点から括ると、大概世の中をやや斜め上から見るような視線を感じるベイカーの作品のなかで、この本は表面上はやや異質なのかも知れないけれど、岸本さんも言うように、とてもベイカー的な作品であると言えると思う。

  • 2009.01.16. 子どもの1日って、すごくすごく長くて、細かいことが気になったりして、こんなだったんだなぁ。リアルというか、本当に小さな子どもがそばに寄ってきて「ねぇねぇ」って、話しかけてきてるみたい。不思議な気持ち。想像力がとっても豊かなノリーは、本当に魅力的。いじめだって、自分の頭でこんぐらがるまで考えて、いい方法を探すもんね。楽しいだけの毎日じゃないのが、またいいなぁ。おもしろかった!

  • 岸本佐知子さん訳のベイカー作品です。

    アメリカからイギリスへ引っ越してきた9歳の女の子、ノリーが学校で出会うあれこれが、彼女の作ったお話もまじえながら彼女目線で語られます。ノリーはのびのびとした教育の学校から転校してきたようで、寄宿舎然としたイギリスの学校に「?」と思いながらも、毎日楽しく学校へ通っています。もともとちょっと能天気らしく、泣きそうになることがあってもがんばる姿が素敵(悲壮感は薄い:笑)。

    ノリーの目線から見た、学校や家でのできごとが、おとぼけっぽいながらも鋭くてくすくす笑ってしまいます。なんといっても、岸本さんの訳が見事!難しい言葉を覚えていくときの使い間違いやつづり間違いをそのまま利用して物語が進んでいくのですが、これを素晴らしい呼吸で子どもの日本語に置き換えていらっしゃいます。「やせさばらえて」とか「悪るい」とか。たぶん、原文を読んでもこの細かい面白みは分からないので、ここは岸本さんの訳に思いっきり頼ってしまうのが得策です。ノリーの弟、通称チビすけ(2歳)のもの言いがまたかわいい!

    ノリーのクラスメイトとのやりとりと平行してもう1本のストーリーが進むのですが、これがちょっと心に痛い。もともとこちらはサイドストーリーとして走っていたものですが、ある瞬間から前面に出てきます。気になって気になって、ノリーのお話をちょっと飛ばし読みしてしまうときもありました(笑)。ごめんね、ノリー。

    ベイカーの作品は細かい(細かすぎて伝わらないほど)描写で知られますが、これは児童文学のような、オトナの文学のような、そのすき間を行く面白い作品だと思います。それにとてもラブリー。子ども子どもしたかわいい文体がちょっと苦手なかた(私だ)も楽しめる1冊です。岩波新書の「翻訳家の仕事」に、この作品の翻訳うらばなしが寄せられており、こちらも併せておすすめです。

  • そのむかしインドア派小学生だった私は、ノリーの無駄に悩む思考がたいへん懐かしかったです。

  • 読売書評04/9/26

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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