外国語を身につけるための日本語レッスン

著者 :
  • 白水社
3.78
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本棚登録 : 382
レビュー : 44
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560049884

作品紹介・あらすじ

母語である第1言語の土台が貧弱であやふやなものであれば、その上にのる第2言語つまり外国語は、母語の程度に見合ったものにしかならない。外国語の学習の基本は母語にあり。まず日本語を鍛えよう!

感想・レビュー・書評

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  • 外国語を話そうとするとき、ふと自分が話している日本語そのものに欠陥があることに気付くことがある。「あれ」や「なんとなく」などという曖昧な言葉を使ったり、とりあえず思いついたことを思うままに喋ったり。母国語だからこそそれでなんとかごまかせるが、外国語という自分では不自由な道具を使うときにはそれらが障害となってしまう。

    本書は外国語を話すためにはまずは日本語そのもの(話の構成の仕方や問いに対する答え方など)を立て直さなくてはならない、という考え方が根底にある。つまり、外国語を身につけるための「日本語」レッスンなのであって、この本には外国語そのものは出てこない。そのかわり、欧米人が当たり前に身につけるとされる言語技術についてが、日本語でふんだんに記されている。
    外国語に関する本は数多あれど、日本語そのものに着目した本も少なかっただろう。そしてこの着眼点は自分もなんとなく大事だと思っていたことなので、とても興味深く読むことができた。良著。

    ◼️p26-27 「おめでとうございます。今日のジャンプはどうでしたか?」すると、さすがベテラン通訳は冷静なもので、「おめでとうございます。今日のジャンプは、素晴らしい大ジャンプでしたね。このジャンプについて、あなたはどう考えていますか?」と、即座に言葉を補って、具体的な質問に変化させていたのです。そして、選手が長々と「今日のジャンプ」についての自分の考えを披瀝すると、通訳は再びすました顔で、「自分でも会心の出来だったと思っています。最高の舞台でベストを尽くせたことを嬉しく思います」などと、かなりはしょって「どうでしたか?」でアナウンサーが求めていたと思われる言葉のみを部分的に取り上げて通訳していたのです。

    外国語を単に使うだけじゃなくて、それで「コミュニケーションをする」というのなら、上記のように日本語の使い方についてももっと省みる必要があるだろう。この本はそのきっかけと多くの役に立つヒントを与えてくれるはずだ。

  • 英語を身につけるための本ではなくて、英語でもコミュニケーションを取れるようにするために日本語のコミュニケーションスキルを身につけるのが目的。
    僕が高校までの国語教育に対して抱いていた疑念に見事に応えてくれていて、英語スキルの肥やしにしようと思っていたが、なぜか国語教育の改革の必要性を確信してしまった。

  • この年で外国語を身につけたいというよりは、自分は日本語もまんざらにできないのでは?という危惧と猪瀬さんの「言葉の力」、田嶋さんの「「言語技術」が日本のサッカーを変える」で引用されていて、ぜひ勉強しなくてはと手にした一冊でした。
    内容は「目からうろこ」の記事がいっぱいで、このような教育を小さいうちからできていれば、私の「国語嫌い」もかなり、違った方向に進んだのではないかと思います。
    日本文化を客観的に見直すとともに、言語技術を身につけるために、多くの日本人に読んでいただきたいですね。

  • 「外国語を身につけるための」とありますが、外国語を学ぶハウツー本ではありません。
    日本語として言葉を使ってものごとをどのように解釈し、
    他者と考えを交換するのか、その根本を考えることができました。

    「テクストの分析と解釈」が絵、音楽、詩、物語などを味わう上で
    幅広く応用でき、それは欧米のスタンダードであるからこそ、
    外国人とのコミュニケーションをとる上で効果的である、との視点から、
    具体的に素材を例示しながら扱い方を示してくれています。

    あえてまとめるなら…。

     欧米人が歴史的に受けた教育には、作品を鑑賞し、議論する上で
     共有されているフレームがあり、そのフレームに沿って作品から得られる
     事実をていねいに確認していき、解釈の違いをもとに議論する。
     答えはひとつではないので、いろいろな人の考え方をすることも学びに含まれる。

    でしょうか。

    良し悪しではないのでしょうけれど、日本の国語教育がグローバルの視点では
    やや特殊性を持っていて、特殊であるが故にPISAでは結果が出にくかったり、
    さまざまな国の人と議論したときについて行けなかったり、ということが
    起きるんだなとわかります。

  • 母語以上の能力を外国語で発揮することはできない。

    気づいてはいたものの、痛いところをつかれた。
    ある程度のレベルまでは外国語が日本語を引っ張っていってくれることもあるが、
    そこからさらにレベルをあげるためには、その外国語にまつわる文化と歴史を理解するとともに、母語のレベルもあげなくてはいけない。

    ただ、この本に書かれていることは、日本語のレベルを挙げるためのテクニックではなくて、
    より外国語を通してのコミュニケーションを円滑にする為のスキル。
    日本語を鍛えるというのとは少し違う。

    とはいえ、いまの世の中で学ぶにせよビジネスシーンにせよ、曖昧さを潰してコミュニケーションを円滑にするスキルは必要不可欠。
    その為には具体的でわかりやすい方法が書かれている。

    • -aniani-さん
      英語をナチュラルに話したいと勉強中ですが、レビューを読んでとってもこの本、気になりました!
      英語をナチュラルに話したいと勉強中ですが、レビューを読んでとってもこの本、気になりました!
      2010/10/25
  • 英語学習のサポートをする仕事を始めたため、目に止まった一冊。外国語を身につけるためには、日本語能力がないと意味がないとある人から指摘をうけ心に引っかかっていたことも読もうとおもったきっかけだ。印象に残っているのは、語順、要不要な品詞の違いから、そのまま翻訳した単語を当てることでは、ニュアンスは伝わらないということだ。

    当たり前に日本語会話の中で使うセンテンスを、そのまま英語の中に持ち込むと、全く何を伝えたい/聞きたいのかが分からなくなる...の例は深く肯いてしまった。

    言葉や文化の特性をしり、母国語(私なら日本語)との感覚の差を理解して初めて、相手に伝わる外国語(英語など)^_^が使えるようになるんだと理解できた。

    がm実践はまだこれからだ。

  • 作品外国語を身につけるための日本語レッスン
    日本人のコミュニケーション能力の欠落というものを痛感いたしました。

  • 日頃から、私はなぜ人と会話が噛み合わないのだろう?とか、この人はなぜこちらの質問に答えずに違う話ばかりするのだろう?とか、コミュニケーションでの悩みのモヤモヤが一気に晴れた。日本以外の国の教育課程で必ず行われていると言う言語技術が、なぜ日本で行われず、情緒的な日本語鑑賞が優先されているのか。その一方で試験では論理的思考力が試されており、その剥離に疑問を持っていた。外国語習得努力と並行して、ちょっとこの方の著作を深追いしようと思う。

  • 全体としてふむふむと納得しながら読んだんだけど、最後の方の道案内とかはおかしいだろ、と思う。
    道案内するときになんで「これから道案内します」という前振りがいるんだ!どんなシチュエーションやねん、と違和感ばかり。

  • 参考になるノウハウ、概念がある。母語学習法は再話、要約、分析・解釈・批判(クリティカルリーディング)。外国語学習も、文法、語彙の後はすぐこの段階に進む。
    中間日本語。機械翻訳に食わせやすいように元の日本語を整理することはあるが、すでにこういう用語が存在していた。
    だいたい「実のある会議をしよう」と考えると自ずと身に付いていくところではあるが、言語化されていてスッキリ頭の中で思考が整理される。

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著者プロフィール

三森ゆりか(さんもり ゆりか)
つくば言語技術教育研究所所長。東京都生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。株式会社丸紅勤務後、上智大学文学部博士前期課程中退。1984~1988年に外交官の子弟を対象とするドイツ式作文教室、1990年に「つくば言語技術教室」(現「つくば言語技術教育研究所」)を開設する。現在は同研究所の他、日本サッカー協会、日本オリンピック委員会、学校、大学、企業などでも講師を務める。平成17年度文科省読解力向上に関する検討委員会委員、平成18/19年度言語力育成協力者会議委員、平成22年度文科省コミュニケーション教育推進会議教育WG委員。平成21年より(財)ソニー教育財団評議委員。

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