外国語を身につけるための日本語レッスン

著者 :
  • 白水社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560049884

作品紹介・あらすじ

母語である第1言語の土台が貧弱であやふやなものであれば、その上にのる第2言語つまり外国語は、母語の程度に見合ったものにしかならない。外国語の学習の基本は母語にあり。まず日本語を鍛えよう!

感想・レビュー・書評

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  • 2008年か2009年ごろに当時の会社の先輩から紹介されて購入した本。その後海外への引越し等で紛失。どこに行ったのかと思ったら、偶然発見。

    現在、海外で生活し、英語を日常的に使う環境にある。著者の指摘する日本語と外国語の違いを感じていたが、それを見事に言い当ててくれている。
    ナンバリング、ラベリングはビジネスの現場で言語に関係なく重要なものである。その他第3章、4章は外国語習得だけでなく、正しくコミュニケーションを日本語で行うためにも必要最低限なスキルである。

    本が見つかってよかった。

  • 日本語で、外国語に翻訳しやすくするために、どのように日本語を書いたらいいのかについてのレッスン。日本語に慣れ親しみ過ぎていると、会話が成立していなくても気にせず進めることができるが、他言語ではそうはいかない。
    日本語は相手の返してきた言葉が、直接の回答でなくても、ついかで質問をしたりするなど、「空気」を読んで会話が成立したっぽいことにしてしまう。
    この本のなかで、「最近どう?」とっていう切り出しが、相手に回答を委ねるために、本来聞きたいことが聞けない可能性や、理由をしつこく聞かないことが、日本語の特質とあって、人によるが、まあ、そういうこともあるな。とは思った。
    外国語を学んでも、日本語感覚でしゃべると、たしかに、詰問されている感じになってしまうかもしれないが、それは単に明解にしゃべっていないからなのだという話。すごい。というと、何がどうすごいのか。と分解して具体的な数値やテクニックなどのディテールについてしゃべることができるか否か。という練習がいるよね
    ってはなし。

  • 外国語を話そうとするとき、ふと自分が話している日本語そのものに欠陥があることに気付くことがある。「あれ」や「なんとなく」などという曖昧な言葉を使ったり、とりあえず思いついたことを思うままに喋ったり。母国語だからこそそれでなんとかごまかせるが、外国語という自分では不自由な道具を使うときにはそれらが障害となってしまう。

    本書は外国語を話すためにはまずは日本語そのもの(話の構成の仕方や問いに対する答え方など)を立て直さなくてはならない、という考え方が根底にある。つまり、外国語を身につけるための「日本語」レッスンなのであって、この本には外国語そのものは出てこない。そのかわり、欧米人が当たり前に身につけるとされる言語技術についてが、日本語でふんだんに記されている。
    外国語に関する本は数多あれど、日本語そのものに着目した本も少なかっただろう。そしてこの着眼点は自分もなんとなく大事だと思っていたことなので、とても興味深く読むことができた。良著。

    ◼️p26-27 「おめでとうございます。今日のジャンプはどうでしたか?」すると、さすがベテラン通訳は冷静なもので、「おめでとうございます。今日のジャンプは、素晴らしい大ジャンプでしたね。このジャンプについて、あなたはどう考えていますか?」と、即座に言葉を補って、具体的な質問に変化させていたのです。そして、選手が長々と「今日のジャンプ」についての自分の考えを披瀝すると、通訳は再びすました顔で、「自分でも会心の出来だったと思っています。最高の舞台でベストを尽くせたことを嬉しく思います」などと、かなりはしょって「どうでしたか?」でアナウンサーが求めていたと思われる言葉のみを部分的に取り上げて通訳していたのです。

    外国語を単に使うだけじゃなくて、それで「コミュニケーションをする」というのなら、上記のように日本語の使い方についてももっと省みる必要があるだろう。この本はそのきっかけと多くの役に立つヒントを与えてくれるはずだ。

  • 英語という外国語を日本語から翻訳するとき、肝要なのは言うべきこと、言わんとしていることが明確になっているかどうかだ。「察し」の文化である日本語話者はこの点をついついないがしろにしてしまう。

    主語と述語。指示代名詞が何を指すのか。

    日本語は主客同一の世界である(例:川端康成「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった(雪国)」)。そのために主語を明確にする英語・独語・仏語へ翻訳するときに齟齬が出てきてしまう。

    例えば先の『雪国』冒頭を日文研究科のサイデン・ハッカーが訳すとこうなる。
    THE TRAIN came out of the long tunnel into the snow country.

    日本語が明確でない理由は主語が明確で無いことに起因することが多い。
    英語は結論が先に来る(SVO構造)のに対し、日本語は文末に来る。
    著者はこのような日本語の特性を「羅列型レトリック」と呼び、対して欧米は「問答型レトリック」であるという。

    いわれてみれば、日本語で会話するときに自分が思っていることをただ羅列して対話にならない人、ことが多い。事象を説明して、「どうですか?」という抽象的な問い。

    本書の題名に「レッスン」とあるように、そのような日本語から外国語(欧米語)を身に付けるために対話力をつけるトレーニング方法が紹介されている。

    このトレーニングをするにあたって、以下の4つを意識して、下記6つのトレーニングを行うとよい。

    【意識】
    1.主語を入れる。目的語を入れる。
    2.結論とその理由を述べる。印象から分析へ。
    3.ナンバリングを用いる。
    4.結論を限定する。

    【トレーニング】
    1.好きか嫌いかを問う。
    2.どちらが好きかを問う。
    3.〜はどうでしたか?と問う。
    4.それは事実か意見かを問う。
    5.賛成であるか反対であるかを問う。
    6.たしかに〜でも、…と相手の意見を受けて、自分の意見を問う。

  • 英語を身につけるための本ではなくて、英語でもコミュニケーションを取れるようにするために日本語のコミュニケーションスキルを身につけるのが目的。
    僕が高校までの国語教育に対して抱いていた疑念に見事に応えてくれていて、英語スキルの肥やしにしようと思っていたが、なぜか国語教育の改革の必要性を確信してしまった。

  • この年で外国語を身につけたいというよりは、自分は日本語もまんざらにできないのでは?という危惧と猪瀬さんの「言葉の力」、田嶋さんの「「言語技術」が日本のサッカーを変える」で引用されていて、ぜひ勉強しなくてはと手にした一冊でした。
    内容は「目からうろこ」の記事がいっぱいで、このような教育を小さいうちからできていれば、私の「国語嫌い」もかなり、違った方向に進んだのではないかと思います。
    日本文化を客観的に見直すとともに、言語技術を身につけるために、多くの日本人に読んでいただきたいですね。

  • 母語以上の能力を外国語で発揮することはできない。

    気づいてはいたものの、痛いところをつかれた。
    ある程度のレベルまでは外国語が日本語を引っ張っていってくれることもあるが、
    そこからさらにレベルをあげるためには、その外国語にまつわる文化と歴史を理解するとともに、母語のレベルもあげなくてはいけない。

    ただ、この本に書かれていることは、日本語のレベルを挙げるためのテクニックではなくて、
    より外国語を通してのコミュニケーションを円滑にする為のスキル。
    日本語を鍛えるというのとは少し違う。

    とはいえ、いまの世の中で学ぶにせよビジネスシーンにせよ、曖昧さを潰してコミュニケーションを円滑にするスキルは必要不可欠。
    その為には具体的でわかりやすい方法が書かれている。

    • -aniani-さん
      英語をナチュラルに話したいと勉強中ですが、レビューを読んでとってもこの本、気になりました!
      英語をナチュラルに話したいと勉強中ですが、レビューを読んでとってもこの本、気になりました!
      2010/10/25
  • 日本人同士の会話は曖昧不確かに感じる事がある。
    日常使いの日本語を元に他国語を使おうとすれば不都合が生じる。
    日本語教育再考には私も賛同である。
    他国語だけでなく日本語使いにも良い効果を生むのではないか。

    ただし再読したら賛同しかねる事項もあった。
    会話であれば矢継ぎ早な質問に対して、ゆっくり話してもらっても良いのでは。
    道案内は質問されて答えるものと私は考えているので
    「これから説明します」という口上は不要なのでは。

    目次と補足
    第一章 外国語と日本語の違いを意識する
    1.日本の国語教育では外国語の習得に対応できない
    2.国語教育の弊害
    3.言語感覚の違い - 四カ国語の説明 →日英中韓
    4.欧米の言語教育
    5.「中間日本語」を身につける

    第二章 翻訳できる日本語へ
    1.主語を意識する →以下の場合は主語を挿入
    〈1〉段落の最初の文
    〈2〉新しい主体が登場した場合
    〈3〉同じ主語が入る文が続く場合、最初の一文と四番目の文
    〈4〉後続する文に、一つ前の文と異なる主語が入る場合
    2.「あれ」の中身を認識する →
    ・名詞の置き換え
    ・状況や状態、感情などの置き換え
    ・無意味なもの
    3.質問の内容を具体的に考える
    4.5W1Hを明確にする
    5.根拠を明確にする →「なぜ」「どうして」と聞かれないように
    6.構文からものの考え方を知る

    第三章 「対話」の技術
    1.かみ合った対話 - 羅列型と問答型 →意見羅列な日本の座談会
    2.問答トレーニングの意味と目的 →
    ・具体的な質問に的確に答える
    ・結論先行で答える
    ・ナンバリングとラベリング →数えられる項目、簡潔な内容予告
    3.問答トレーニングの実践 →
    主語を入れる、目的語を入れる、結論を先に言う、理由を述べる
    5W1Hな質問、事実か意見か、確かに(なるほど)でも(しかし)

    第四章 「説明」の技術
    1.わかりやすい説明(描写)とは何か →
    概要から詳細へ、空間的秩序(視点の移動)、時間的秩序(時間の経過)
    情報の整理、客観的な表現、情報の受け手の設定(相手の知識や言語能力)
    2.「描写」のレッスン - どのように見えるのか →説明を聞き、相手は図示できるか
    3.「説明」のレッスン - どのように行なうのか →道案内は解ってもらえるか

  • 日本語の言語の構造と様々な外国語の構造を比較しつつ語学学習について語る的な本かな?と思って読んだら方向性が違った。
    外国語の文法や単語や発音を学んだとしても、言語技術、つまり思考と表現の方法論も学ばなければその言語を使う人々と対等に意見を交わすことは難しい。自分の意見を適切に主張できるようになるために、まずは母国語である日本語で言語技術を身に付けるべき、というような本。
    筆者の主張には概ね賛成だけど、タイトルと本書の内容は少しズレている気がする。どちらかというと「(外国語を身につける前にやっておくべき日本語での)言語技術レッスン」ぽいイメージ。

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著者プロフィール

つくば言語技術教育研究所所長。日本読書へのアニマシオン協会副会長。財団法人ソニー教育財団評議委員。平成18年度文部科学省言語力育成協力者会議委員。
日本サッカー協会コミュニケーションスキル専任講師、麗澤中学・高校非常勤講師、茨城県立中央看護専門学校非常勤講師、朝日カルチャースクール講師、
東京生まれ、中高4年間をドイツで過ごし、ドイツ式論理トレーニングを学ぶ。上智大学ドイツ語学科卒。丸紅勤務後、1984年にドイツ式作文教室を主宰、1990年言語技術教室開設(現つくば言語技術教育研究所)。
主な著書=『外国語を身につけるための日本語レッスン』『子どものための論理トレーニングプリント』

「2002年 『手のなかのすずめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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