錬金術 (文庫クセジュ)

  • 白水社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560055250

感想・レビュー・書評

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  • 賢者の石にはどうして不老長寿と黄金変成の二機能あるんだろう?錬金術関係って異称とか隠語が多くて混乱するけど、これってなんの意味だっけ?……というような、さまざまな疑問がこの本のおかげで解決しました。虚構のなかの聞きかじりの知識しかなかったので、第一章から目から鱗の連続です。重要語には原語と邦訳を併記してくれているのもありがたい。エメラルド板の邦訳、錬金術師たちが用いた象徴など、中二心をくすぐるアイテムも満載なので、幻想文学好きなら楽しく読めるのでは。

  • "呪われた"術として人々の間で秘伝的に伝えられながら、独自の思想体系を築き上げていったヨーロッパの錬金術を概説した書。セルジュ・ユタン著"L'Alchimie"(4e edition,1971)の邦訳で、西洋錬金術の歴史と理論、各方面に与えた影響を解説する。
    本書は、初学者向けに西洋錬金術の概要をコンパクトに解説したものである。ヨーロッパにおける錬金術がどのようなものであったか、また如何なる歴史を経てその理論を打ち立てて行ったかを概説的に紹介している。前半部では錬金術の概要とその歴史を、後半部では錬金術(及びその背景を形作るヘルメス哲学)の具体的理論を解説する。
    著者は本書において、西洋錬金術が単なる金属変成(及びそれを騙った詐術)の類・化学の(過誤に満ちた)前段階ではなく、寧ろ西洋の歴史・文化に隠然と影響を与え続けてきた神秘思想・隠秘学の一大体系であると述べる。それは宇宙の全一性・物質の原一性を説くヘルメス思想に基づく真理探究の術であり、また金属変成という物質的作業と人間存在の昇華という霊的作業の一致であった。本書後半では錬金術の具体的理論や作業(賢者の石生成の為の「大いなる作業」)について詳しく解説しており、一種の宗教思想・哲学としての錬金術の姿を眺めることが出来る。(新書ということもあり)錬金術特有の象徴的な図版があまり取り上げられていないのが少々残念ではあるものの、理論面で錬金術を知りたいという初学者にお勧めだといえよう。

  • 新書文庫

  • [ 内容 ]
    近代思想の背後から、いま呼び返される錬金術。
    物質の変成を通じて宇宙再生の秘儀に参加し、火による魂の浄化をくぐって死の彼方に復活することを説くこの呪われた秘伝的教理は、西欧精神の隠された暗黒部分を照らし、驚くべき象徴的世界像を描き出す。
    その歴史と理論と実際をめぐる好個の入門書。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2009/
    2009/

    有田忠郎の訳した本が読みたいので登録。

  • 錬金術、ヘルメス文書、等々、にご興味をお持ちの方にはおすすめします。さすが、「クセジュ」です。☆☆☆☆☆この著の訳者、有田忠郎の翻訳で、シャルル・ギヨ『沈める都 イスの町伝説』という、とてもとても美しい、そして惨くも哀しい物語(鉱脈社、1990年)がある。ほんとうはこの本について感想を残したいのだけれど、たなぞうにはデータがないので、以下、この場を借りることにする。「この海に潜る人はいつの日か海底からイスの町の教会の鐘を拾い上げてくるであろうか」このように引用すると、ドビュッシーの前奏曲「沈める寺」やフィオナ・マクラオド『かなしき女王』や、「グランドロンの歌」をご存じの方ならば、「ああ、あの、海に沈んだ……」とご理解いただけることでしょう。訳者解説によれば、ギヨの著自体は1926年刊、ギヨ自身については、「ラルース」も「ロベール」も触れていないとのこと。「イスの町が消えたように、痕跡を残していないわけである??ここに訳出した小説以外には。」と解説するこの本もまた、イスのように、消えてしまったのでしょうか。この小説で語られる、イスの王女ダユこそファム・ファタル……私はそう思いました。善悪の彼岸も不条理も、なにもかも置き去りにして、でも、哀れな、ダユ。造作も美しいこの本、ケルトに惹かれる方々におすすめしたいのに。すすめたいときには、本は無し。私が死んだら、この1冊、誰かにあげる。

  • 文庫クセジュの「秘密結社」を書いたのもこの人。主に西洋の錬金術について書いてある。アラビアの人たちについては、ゲーベルが注の中に出てくる程度。アヴィセンナの名前が出てこない錬金術の本をはじめてみた。それでも、この本はわかりやすいとてもよい本。

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