ナジャ―小説のシュルレアリスム (白水Uブックス 78 小説のシュルレアリスム)
- 白水社 (1989年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560070789
感想・レビュー・書評
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あるちょっと変わった絵をデザインする20代の女性について、中年の既婚の男性がその才能を分析し始める。ナジャのこだわる部分は、奇妙なちょっとしたアクセントにある。すれ違いと出会いを装う。
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2011年11月13日、再々々読ぐらい(?)→記事編集。
アンドレ・ブルトンの自伝的小説で、
ナジャと名乗る風変わりな女性との交際について綴られたものだが、
一つ一つの出来事に
シュルレアリストとして特殊な意味づけを施しながら進行する。
が、そうした細部を取っ払えば――いや、それじゃダメなんだけど(笑)――
一種の不倫小説として読むことも可能。
姿を消した女生徒を捜索していると、
その少女は夜明け前、医療戸棚の中から頭を下にして床に崩れ落ちてくる
……という『気のふれた女たち』なる、
グラン=ギニョル風の芝居を上演する《雙面劇場》の条が印象的。
ちなみに、雙面劇場ことドゥー・マスク座は、モンマルトルにあった劇場で、
グラン=ギニョル劇場と類似の芝居を上演していたライバル的存在だったそうな。 -
2008年11月23日~23日。
巖谷 国士は翻訳者の名前。作者はアンドレ・ブルトン。
これがシュルレアリスムなのか。だとすると、僕がイイメージしていたものと、かなり違う。そして僕がイメージしていた以上に魅力的だ。 -
素直に面白いと思えた。巌谷先生の解説も非常にわかりやすくブルトンへの興味もより深まった。人称認識について考えさせられる
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シュールレアリストはブルトンひとり
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再読。こちらを最初に読んだ数年後に岩波文庫の改訂・改訳版(同じ翻訳者)も読んだのだけれど、なぜかそちらのほうはつまらないと感じてしまって、年の所為かなーとか思ってたんだけど、改めてこちらを読んだらやっぱり面白かった。改訂されないほうが良かったのだろうか(自分には)。岩波は注釈が細かくて親切なのだけれど、そちらに囚われると素直に作品自体を楽しめなくなるのも敗因だったかも。訳も微妙に違うんですよね。最後の一行、こちらの「美とは痙攣的なものだろう。さもなくば存在しないだろう。」のほうがしっくり来る気がする。
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ずっと日本文学を読んできたなかで、久しぶりの海外翻訳。
翻訳小説は好きだが、そのワケが少しわかった気がする。
だから必ずしもこの本に限った感想ではないが。
内容はよくのみ込めないが、スラスラと読めてしまう。翻訳小説の文章はたぶんに「音楽的」だ。翻訳小説はある程度「よくのみ込めない」を前提として読むことが多いから、そういうちょっと、手抜きともいえる読み方をしてしまいがち。
でもかえって、見開きのページがところどころ穴あきに感じられるくらいが、ちょうど読みやすいといえば、その通りなんだろう。
さて、『ナジャ』。
僕にはいまいちシュールレアリスムのなんたるかがまだハッキリしないが、たぶん内容的にというより、ブルトンの文章自体がシュールレアリスムの体現であるのだろう。
偶然性、目に見えないつながり、デペイズマン……
解説のこじつけっぽさはなんていうか、あんまり好きになれないけど、この行き当たりばったり加減がシュールレアリスムなのかな?
中盤のナジャとの交友の場面は好きなんだけど。 -
シュールレアリスムの代表作。ナジャのキャラクターは優れているけれど、全体的にあまり理解できなかった。
また描写を排除する目的で何枚もの写真が差し込まれているが、それ自体がよくわからないシュールなものでおもしろい。 -
世界中の寂しがり屋さんたちは<BR>
とびきりかわいいうそをつく -
自動記述というものの思ったほど支離滅裂ではない