鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

制作 : Paul Auster  柴田 元幸 
  • 白水社
3.67
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  • (6)
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本棚登録 : 858
レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560070987

作品紹介・あらすじ

美しい妻と傑作小説の原稿を残して失踪した友を追う「僕」の中で何かが壊れていく…。緊張感あふれるストーリー展開と深い人間洞察が開く新しい小説世界。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年1月29日~30日。
    「ニューヨーク三部作」のラストを飾る作品。
     個人的には三部作の中で一番面白かった。
    「シティ・オブ・グラス」や「幽霊たち」そしてポール・オースター本人ともリンクするという重層的な内容でもあり、またそんなことを気にする必要もないくらいに密度が濃い。
     もっと早く読んでおくべきだった。

  • ニューヨーク三部作の最終作。私としては、ニューヨークという場所の匂いが三作の中では最も薄く、むしろパリの香りが強いように感じられた。
    三作のなかでは最もリアリティを感じる内容に思えた。

  • 友人の失踪とその妻ソフィーからの依頼、残された原稿、ソフィーと僕を引き合わせる元となった見えない力、「君のままでいれくれ、僕については話は別だ」、「いくら多くの事実が語られたところで、いくら多くの細部が伝えられたところで、いちばん大切な部分は語れれることを頑なに拒むのだ」、ファンショーの伝記、ファンショーが死ぬことを欲していた、「僕が彼を探しているということ信じるとすれば、必然的に彼は他の場所にいるということ。だかそれは違う。彼ははじめからずっとそこにいた。彼の姿を想像しようと苦闘していた。いつも浮かび上がらせるひとつの空白、それは鍵のかかった部屋のドア。この部屋は僕の頭蓋骨の内側にあるのだ」…訳者あとがきから「たがいがたがいの影であり分身であるような印象。謎は自己の外にではなく中にある。ファンショーとはわれわれ自身の内部にひそむ、けっして到達しえない他者の影だということ」

  • 先が読めない、読み手の思考すら崩壊させてしまいそうな展開。
    破滅の気配に、読み手自身に呪いが掛かるかも…、仕事に影響するかもと心配になり、読むのを一時中断したほど。
    terrible,awesomeな読書体験。
    前2部作にはない、脱線エピソードや、NY3部作に言及するメタなひっくり返しまである。その自由さと乱れもまた、味わい深い。

  • 『幽霊たち』『シティ・オブ・グラス』に続くニューヨーク3部作の3作目。『シティ・オブ・グラス』は未読なのだけど、未読でも支障はないようなので良かった。これは面白かった!柴田元幸さんの翻訳も読みやすくてほんと好きだ。行方不明のファンショーを追っているうちに段々、自分の存在が曖昧になっていく感じ。読んでいてファンショーと主人公の境界がどんどん曖昧になってきて混乱しそうになった。2012/559

  • 上手く感想が書けない本だ……疲弊。

    分かるような分からないような。やっと解りかけたと思ったらス〜ッと離れて行ってしまう、まるでこの本自体がファンショーのよう。自分にとって難しい本を読む時は奥歯を噛み締める癖があるので、これを読んでいる数日間はずっと頭痛。おまけに主人公とファンショー、二人の妻となるソフィーの事をグルグル考え続けていたので気持ちが塞いでいた。そうまでして通勤時間に読書して何か良いことあるのか……?とか。

    親友ファンショー。少年時代のカリスマ。「僕」にとって太陽の様な存在。崇拝していた。しかし最愛の親友には、僕には見せない部分がある。イメージするのは鍵のかかった部屋。彼の全てが自分の物にならないのなら、憎み、遠ざける。彼の代わりに彼の周りの人間を自分のものにする。そして自分の中から彼になってしまいたいという隠れた欲望。主人公の暗い感情は私にも覚えがあるものだ。

    自分自身になるために、死に向ってでも書かずには居られなかったファンショーと、書くのを止めて自分自身を取り留めた「僕」。どう受け止めればいいのかまだよく分からない。しかも読み終わってから「ニューヨーク三部作最後の作品」とある事に気が付いて呆然……。それぞれ独立した作品とはいえ……ポール・オースター読むの初めて(恥かしい)だから失敗してしまった。

    好きだとは思えないけど引力のある作品だった。ニューヨーク三部作の他の作品、「ガラスの街」、「幽霊たち」も読もうと思う。

  • 先週読了。

    体調不良でしんどい時に読んだ。
    もーやばいくらい
    なんか色々と考えこんでしまった。

    自己同一性は
    奇跡とも言いえる
    物語り的偶然の
    複雑な積み重ねにより
    成り立っている。
    誰かの不在に、
    その積み木はバランスを失い、
    少しずつ少しずつ、
    同一性は霧散していく。

    消え去りしその者が
    誰だったのかすらわからなくなり、
    「鍵のかかった部屋」の
    向こうに幽閉されてしまったとしたら・・。

    晩秋の、底なしの暗夜に
    「神秘的な孤独」を追体験するのも良いかも。

  • ポール・オースター「ニューヨーク三部作」の第三弾。
    美しい妻と傑作小説の原稿を残して失踪した幼なじみ。その彼を「僕」は追い始めるのだが、自分の中で少しずつ何かが壊れていく。でも、追うことは止められない。まるで底なし沼に落ちてしまったかのように。元週刊ファイト編集長の故井上義啓氏が「底がまる見えの底なし沼」という名言を残したが、「僕」の状況を表す表現としてワタシの頭の中にふと浮かんだ。きっと「僕」には「底」が見えたのだろう、とワタシは想像する。
    そう、結局、この第三弾も前作同様、読者は想像するしかないのだ。「底」に何があったのかはどこにも出てこない。ただ、「僕」には見えたのだろうとワタシが想像しているだけだ。必ずしも明確ではない物語の終わり方は、下手をすると尻切れトンボで読者にフラストレーションを残すが、オースターの三部作は、読者に想像を残す。傑作だ。

  • 確かに非常に緊張感のあるストーリーだった。他人を探していくうちに自分というものを見失っていくというところが面白い。結局自分とは何か?最後にファンショーとドア越しに再会するところは「羊をめぐる冒険」を思い出した。ラストシーンで最後の小説が書かれたノートを一枚一枚破り捨てるのが、ハードボイルド映画っぽくてかっこ良い。

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