木のぼり男爵 (白水Uブックス)

制作 : Italo Calvino  米川 良夫 
  • 白水社
3.78
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本棚登録 : 282
レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071113

作品紹介・あらすじ

イタリアの男爵家の長子コジモ少年は、十二歳のある日、カタツムリ料理を拒否して木に登った。以来、恋も冒険も革命もすべてが樹上という、奇想天外にして痛快無比なファンタジーが繰り広げられる。笑いのなかに、俗なるものが風刺され、失われた自然への郷愁が語られるカルヴィーノ文学の代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 1767年、男爵家の長男12歳のコジモは意地悪な姉のカタツムリ料理にブチ切れたことをきっかけに(もちろんそれ以前に日頃の鬱憤がたまりまくっていたのだろうけど)木に登ったきり降りてこなくなる。最初は軽い反抗期かと思いきや、意外と頑固、そして木の上の生活が意外にも快適だったのか、コジモはそれきり樹上生活者となってしまう。65才で死ぬまで、二度と地上には降りてこなかったコジモの人生がその弟の目線で描かれている。

    序盤は冒険ファンタジー的な要素もあって、わりとお気楽に楽しい。樹上にいながらもロマンスもあるし、山賊、海賊、狼退治と、コジモの機転で領地の人々はピンチを救われたりもして、変人だけど悪い領主ではなく、ある意味人気者でもあり。しかし最愛のヴィオーラに去られ、終盤には革命や戦争の影が差し、奇人ではあるけれど狂人ではないとされていたコジモも老いて本当の狂人のようになっていってしまうのは寂しかった。

  • 初めて読む作家の本ってドキドキする。あらすじなどの予備知識なしにタイトルだけで選んだ場合は特に。「木のぼり」と「男爵」、どう考えてもミスマッチ。いったいどんな話なのだろう?と思ったら、なんと言葉通り。木の上で暮らす男爵の話だった。
    木の上に寝床を拵えたり狩りをしたり盗賊や海賊が出てきたり、トム・ソーヤーなど少年の冒険小説のような雰囲気でけっこうワクワクしながら読んだ。
    解説を読んでようやく、なぜこんなヘンテコな設定になったのか納得。「≪地上不在のモラリスト≫の≪樹上からの参加≫」、なるほど!そして「ある種の低さにはけっしておりないという決意」。作家は物語に託していろいろなことを語っているのだな、としみじみ感じた。文字通りの意味だけじゃなく、言葉の裏を読めるようになりたいものだなぁ。

  • イタリアの男爵家の長子コジモ少年は、十二歳のある日、カタツムリ料理を拒否して木に登った。以来、恋も冒険も革命もすべてが樹上という、奇想天外にして痛快無比なファンタジーが繰り広げられる。笑いのなかに、俗なるものが風刺され、失われた自然への郷愁が語られるカルヴィーノ文学の代表作。

  • 突飛な設定が枷になることもなく、
    物語を楽しませてもらった。
    メタファとして樹上生活をとらえてみると、
    歴史や文学におけるある程度の教養も必要だが、
    なかなか深い物語である。

  • 寓話というのは現実に少しだけ非現実要素を持ち込む事で、現実に対する認識を相対化させることにある。ふとした癇癪で12歳の時に木の上に登って以来、半世紀以上もの間地に足を付けることなく生活した男爵の話。18世紀後半から19世紀へと入る動乱の時代を一歩離れた目線で語る事によって、混迷する現代をその射程に置くことに成功する。ルソーやヴォルテールと文通をしナポレオンと対面したかと思えば、トルストイの作中人物と遭遇するというのも現実と非現実の境目に意識的な故か。それにしても「私に登ったら?」という誘い文句はエロい。

  • 意地悪な姉が振る舞う鬼畜かたつむり料理を拒絶し、木の上に逃亡したコジモ。それから死ぬまで一度たりとも地面には下りなかった。
    はちゃめちゃではあるけどどことなく哀愁が漂い、なんとなくちょっと愛おしいような小説だ。

    特に隣家のヴィオーラとの恋愛は、追いつこうと思ったら離れていき、決して添い遂げることは叶わない……そういう書き方が哀切があってとってもよかったな。

  • 恋愛できない非リア充は読むなってことですか!
    時間の経過が分からない、何が言いたいのかも微妙。

    面白い、のかなあ。『不在の騎士』の方が好きかも。

  • まさか、そんな。いくらなんでも頑固すぎる。自然の描写がきれいすぎる。コジモ!

  • 27章くらいからすごい

  • なかなか手が出せずに数年経過。

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著者プロフィール

1923年キューバ生まれ。両親とともにイタリアに戻り、トリノ大学農学部に入学。43年、反ファシズム運動に参加、パルチザンとなる。47年、その体験を元に長篇『くもの巣の小道』を発表、ネオ・リアリズモ文学の傑作と称される。その前後から雑誌・機関誌に短篇を執筆し、49年短篇集『最後に鴉がやってくる』を刊行。エイナウディ社で編集に携わりつつ作品を発表、一作ごとに主題と方法を変えながら現代イタリア文学の最前線に立ち続ける。主な長篇に『まっぷたつの子爵』(52年)『木のぼり男爵』(57年)『不在の騎士』(59年)『見えない都市』(72年)『冬の夜ひとりの旅人が』(79年)などがある。85年没。

「2018年 『最後に鴉がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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