- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560071212
感想・レビュー・書評
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過去、現在、未来、現実と幻想、歴史と寓話のあいだを揺れ動くうちに、だんだん重力を感じなくなる。恋の疫病とやらでバタバタ人が死ぬ変なエピソード、強烈な描写と表裏一体のナイーブさ、言葉の美しいけど跡を残す手触り、そのバランスに、痺れる。
割と最近、別の小説でも時間論を読んだけれど、この小説ではまた別の考察がされていたのも興味深い。付箋がたくさん立つ小説がひさしぶりだったので嬉しかった。岸本佐知子訳の影響か、ウィンターソンを読むと、バドニッツが読みたくなる。 -
新刊が楽しみな作家の一人。お金が余ってたら配って歩きたい。
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図書館で。
アトラスの話が面白かったので読んでみました。最初とっつきにくいなぁと思ったんですが犬女の登場辺りからこれはこういうスタイルなのね…とわかると面白く読み終えることが出来ました。
それにしても犬女の彼女はすごいキャラだ(笑)後書きの「気は優しくて人殺し」ってフレーズがまさにって感じ。彼女は不言実行タイプなんだろうなぁ…
男性が英雄を目指し、時空を越えて犬女の魂を持つ彼女と出会うくだりはロマンティックとも言えるかもしれない。正しいと思う事を正しく行える人は滅多に居ないから、だから煙たがられるのだろうか?まあ…大抵の場合人は民主主義の多数に圧倒されますからね… だからこそ目を瞑りたくなるのかもしれない。
とりあえず他の本も読んでみようと思いました。 -
101226*読了
時空間を完全無視した構成がすごい。大女は今までに出会ったことのないぶっとんだキャラクターで好き。これでもか、これでもか、と作者の信念が文章につめこまれていて、おおおー、と圧倒された。読みながらいろいろ考えさせられる本こそが究極の名作だと思う。イギリスはひいきの国なので、そこも読んでいて嬉しかったポイントの一つ。この本は今まで読んできた中でも上位に入る好きな本になりました。やっぱり名作は読まないとなー。国内も海外も。何年経っても文学と呼ばれる作品にはそれだけの価値がある。 -
象をもふっ飛ばす大女『犬女』と、その拾われ子で船乗りのジョーダンの二人が交互に話を披露する、という体裁をとった小説。
話は時間軸を超え、空間を超え、現実と幻想の境も飛び越え、奔放に展開される。話として一つのまとまった筋があるタイプの小説ではなく、個々の挿話を楽しむもの。
全体的に漂うユーモアと、幻想的なシーン、そして犬女の大活躍が何とも楽しい。
構成として一つ面白いと思ったのは、存在自体がギャグみたいな犬女の語る話の方が(比較的)現実味が感じられるのに対し、逆に、存在自体はいたって普通の人っぽいジョーダンの語る話は遥かに幻想的である点。そのギャップがまた何とも言えない魅力の一つになっているように思う。
気づけばあっという間に最後まで読んでしまうタイプの良書。 -
読みやすい。
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おとぎ話の12人の踊るお姫様は毎夜、秘密の場所でダンスを踊って楽しく暮らしていました。
でも12人の王子様とめでたくご結婚、ダンスは卒業。めでたしめでたし・・・。でもでも、その後のお話は?
巨大な犬女とジョーダンは16世紀と現代のイギリスを軽やかに越え旅を続けます。
おとぎ話の12人のお姫様のモノローグが挿入され、幾重の物語が交差し、時間と場所を越えた世界へと向かっていきます。
モダンダンスのように軽やかな躍動する文体、行間から溢れる女神達の溜息。訳者の岸本佐知子との相性は完璧です。