中二階 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

制作 : Nicholson Baker  岸本 佐知子 
  • 白水社
3.57
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本棚登録 : 545
レビュー : 64
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071229

作品紹介・あらすじ

中二階のオフィスに戻る途中のサラリーマンがめぐらす超ミクロ的考察-靴紐はなぜ左右同時期に切れるのか、牛乳容器が瓶からカートンに変わったときの感激、ミシン目の発明者への熱狂的賛辞等々。これまで誰も書かなかったとても愉快ですごーく細かい注付き小説。

感想・レビュー・書評

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  • はじめて友達になれそうなアメリカ人を見つけた気がする。
    当然のことではあるが、アメリカ人だからといって「ヘンベーガー!コゥカコーラ!テキサース!」みたいな人間ばかりとは思っていない。しかし、まさかエスカレーターを脚で登ることの是非について1章をかけて悩み尽くしたり、洗面所で同僚と隣り合わせたときの排尿に緊張を覚える人物がいたとは、さすがに意外だった。

    あなたは、「今自分が聴いているこの曲を、世界のどこかでまさに同時に聴いている人間は何人いるだろう?」とふと考えてみたことはあるだろうか。
    または、「今自分が不燃ゴミの袋に放り込もうとしている輪ゴムひとつとっても人知れず改良の長い歴史があり、これが何千何万とベルトコンベヤー的な何かに乗って生み出される工場が少なくともアジア圏内のどこかにあり、そこの工場長や更にその監督責任者がおり、その管理ないし研究に一生を捧げる人もいるんだろうなあ」とふと想像したりしたことは、果たしてあるだろうか。

    上記のような妄りな時間を頻繁に削りだしてしまう(私のような)人は、この本を楽しめると思う。そして、さらに「どんなしょうもないことでも上には上がいる」とあらためて痛感するとともに、妄りな時間は増えるだろう。したり顔の楽しみとともに。成層圏上でアメリカと自分をつないでいる星々の輝きとともに。

  • ああもう、おかしくてたまらない!
    前代未聞の「極小文学」と帯にはある。
    ある男性がオフィスのエスカレータに足をかけて物語は始まり、
    エスカレータが中二階に到着して男性が足を降ろした所で物語は終る。
    ただそれだけの間に男性が考えたこと、そしてその考えを裏付ける経験、理論、また考えたこと、に枝分かれ枝分かれ…しめて191ページ!

    ストロー、トイレのペーパータオル、靴ひも、エスカレータ、ファーマシー、トースト、ネクタイ、ガールフレンド……
    普段は気にも留めない日常生活の光景一つ一つに焦点をあて、それぞれ記憶を探っていく。
    20数年の短い人生の中で蓄積された記憶と、それから得られた主人公独自の理論。
    それが次々と、流れるように出てきてもうなんだか息をつく間もない。
    ありふれたネタのはずなのに(そして主人公が打ち出した理論のいくつかは、実際に自らの生活においても見い出したことがあるはずなのに!)ただただ圧倒されるだけ。



    経験によって巧妙に、そしてかなり精密に理論づけられた、あるあるネタ、って感じかなあ。
    とにかくどれもこれも共感できる。
    だけどどれも本当にくだらないテーマで、それをまじめにまじめにまじめに分析している所が本当にもうおかしくてたまらない。
    ストローとトイレのペーパータオルが特に面白かったかなあ。あと牛乳!

    ニコルソン・ベイカーって初めて読んだけど、頭のなかどんなんなってるんだろー。(こればっかり)
    これ処女作なのね。すげぇ
    他のも読んでみたい。
    訳者のエッセイも面白いみたいねー。
    白水社も良い仕事してるのね!

    とにかく、2011年ファーストヒット。
    今年は日本の現代作家を読みたい。あとやっぱり三島。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「変愛小説集」の「柿右衛門の器」をどーぞ。。。
      「変愛小説集」の「柿右衛門の器」をどーぞ。。。
      2012/04/12
  • 重箱の隅をつついてほじくり返して、とりとめもなく理論的に広げて途中枝葉も広げまくって、結果脚注がとんでもなく長くなって、それは本文を圧迫するほど。脚注の美学。
    今まで、レーズンパンのトーストにバターを塗る時の音についてなんて深く考えたことがあっただろうか。コーヒーの自動販売機の背面パネルに描かれている時代遅れのカップ&ソーサーについて深く考えたことがあっただろうか。理想的なドアノブについて深く考えたことがあっただろうか。いや、考えたことはあってもこんなにも緻密に文章にした人なんていないに違いない。

    そんな些末な事柄の緻密な考察が後から後から出てきて、面白すぎて5ページ/日くらいずつしか読めません。
    当たり前のことを疑問視出来る目を持った人にはたまらない一冊。

  • 自分もよくこういう風に
    ひたすら思考を巡らせたり
    しかも途中で全く別の事を考え出したりする所があるので
    自分の頭みたいで読んでいて苦笑してしまった。


    でもやっぱり読んでいて飽きる…。


    私のようなタイプには
    「聞いているフリ」が大事と言われる理由が
    よくわかりました。

  • 文学

  • 114冊目

  • 2005-00-00

  • 前人未到。こんなに「注」の面白い本はない。原書探して読んだら、おんなじ造りでやんの。ビバ・岸本佐知子!

  • ストーリーはあってないようなもので「主人公の靴紐が切れたのでお店に靴紐を買いに行く」というただそれだけなのだけど、とにかく主人公が目に入る様々な瑣末な事柄をこれでもかと描写していく。
    トイレの温風機、ポップコーン、牛乳容器、エスカレーターを掃除する清掃員etc。それらありとあらゆることに対する主人公の思考が、延々と文章化されている。さらには注釈の量がまたとんでもない。2ページまるまる注釈という箇所もしばしば。その度筋から離れ、注釈を読むことを余儀なくされる。
    かなり変わった小説。

  • ”極小<ナノ>文学”、まさに。
    すげー細かくてどうでもよくてくだらない、
    つまり最高の作家に出会えたという感動でいっぱいだ。

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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