フェルマータ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

  • 白水社
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本棚登録 : 113
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071243

感想・レビュー・書評

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  • 岸本佐知子さんのエッセイを読んで以来,いつか本業の翻訳のほうも読もうと買ってあった本.
    ある日,体調が悪く,ベットから起きれず,1日この本を読んで過ごしてしまった.

    時間を止めることのできる男の自伝の形の小説.この男,時間をとめて何をするかといえば,女性の服を脱がせるのだ.描写は詳細に渡り,その想像力の飛翔はとどまることを知らない.私は何も考えずに面白がって読んでしまったが,女性の方で怒らずに読み通せない方がいることは想像に難くない.そして面白がった私も叱られそうだ.

  • 2/27 読了。
    ベイカーの既訳書ぜんぶ読んでしまった〜。「もしもし」に枠となるストーリーを組み込んだような進化形。

  • もしも時間が止められたら、という妄想炸裂っぷりに、ねちっこい描写力。
    馬鹿みたいに面白い。

  • [ 内容 ]
    時間を止めて女性の服を脱がせる特技をもつ男の自伝。
    Hで愉快な電話小説『もしもし』と、極微的身の回り品考察小説『中二階』で読者の腹をよじらせた著者が、今度はどんな手で面白がらせてくれるのかと思えば、なんとこれが、時間を止めて女性の服を脱がせる特技をもつ男の自伝(!?)である。
    もちろんあの桁外れの想像力と微細な描写も健在。

    [ 目次 ]


    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 『モデラート・カンタービレ』の隣にこれを並べたら……、デュラスが怒るかな(他に『スタッカート』とか『ダル・セーニョ』とかいうタイトルの珍妙な小説はないかしらん)!?ニコルソン・ベイカー的妄想炸裂。私に(だけでなく日本の読者はみんなそうだと思いますが)「岸本佐知子=ニコルソン・ベイカー日本代理店」という印象を決定づけた1冊。要約してしまったら元も子もなし身も蓋もなし、偏執狂的に(ほとんどヘン○イ?)微細な叙述が好きかどうか、好みが分かれるところでしょう。この細部こそが彼の小説の魅力だし、そういう意味では殊更にエロティックだとも思えないし。私は、もちろん嫌いではありません、むしろ、好んで面白がりました。でも、ちょっと困る。楽譜のフェルマータ記号に出くわすたびに(しょちゅうだ)、なんだかヘンな気分になってしまうじゃないか。

  • P16
    たったいま僕は椅子を回転させ、もう一度あらたな驚きをかき立てるために、
    ジョイスの陰毛を眺めたところだ。
    何十年も経った今もなお、自分にこんなことができるという事実に驚かずには
    いられない。

    P18
    ふだんの僕は、決して陰毛フェチというわけではないし、そもそも現時点では
    いかなる種類のフェティシズムも持ち合わせていないつもりだ。・・・中略・・・
    それにジョイスの場合、べつにもじゃもじゃに縮れているわけでも、顎ひげみたいに
    塊になって密生しているわけでもない。濃さからいけば、むしろ普通か、普通よりも
    ちょっと薄いぐらいだ。
    ただ、毛並みが黒くつややかで、文字通り光り輝いていることと、生えてる面積が、
    何と言うか、普通より広いのだ。-丸みをおびた生え際のラインが、人よりほんの
    少し上まできている。"ほんの少し?"何を寝ぼけたことを言ってるんだ?
    はっきり言おう。
    ジョイスの陰毛は、形といい大きさといい、南米大陸そっくりだ。
    もしも半月前、派遣会社のジェニーがいくつか挙げた候補の中からこの銀行を
    選んでいなかったら、これを見ないまま死んでいたかもしれないと思うと、
    空恐ろしくなる。
    もしかすると彼女の陰毛のすばらしさは、普通の女性のそれよりも上の方まで
    生えているために、よりセクシャアルであると同時に全然セクシャアルでない、
    という点にあるのかもしれない。

    P299
    僕はひざまずいてドクターの白衣の前を開き、グリーンのリブ編みのタートル
    ネックの裾をズボンから引き抜いた。そしてそれを鎖骨のあたりまでたくし上げ、
    ブラのカップを下ろして乳首をはみ出させた。彼女の乳首は立っていて
    -そのことで僕は気を良くした-そして驚くほど色が濃かった。
    まるでチョコレートレーズンを二つ並べたようだ。
    「もう我慢できない、あなたのおっぱいを吸わずにはいられないんだ」僕は
    彼女にそう言い、そしてその通りにした。-的確に、真心をこめて。
    それが済むと白いポスト・イットに"ありがとう"と書いて、彼女の左の胸に貼った。
    そしてさっさとスキャン・ルームに戻ると、機械の中に入って前と同じポーズをとった。

    P308
    もしも今の僕が少々独善的な物の考え方に陥ってるとすれば、あるいはそれは、
    僕のもっかの一番の関心ごとであるジョイス・コリアー、愛すべき黒い陰毛の
    ジョイスとの間に、つい先日ちょっとした進展があったせいかもしれない。


    ☆きっかけは本読みHP

    読了日:2010/05/07

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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