人喰い鬼のお愉しみ (白水Uブックス 136 海外小説の誘惑)

  • 白水社
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本棚登録 : 90
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071366

作品紹介・あらすじ

パリのデパートに勤めるマロセーヌの仕事は苦情処理係。客の前で上司に叱られ派手に泣いてみせるという毎日だ。ところがそのデパートで謎の連続爆破事件が起こり、彼に疑いの目が向けられる。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが。ベストセラーの痛快コミック・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • パリの百貨店に勤務するマロセーヌ。お客様のクレームを一手に引き受けるカリスマ苦情処理係といえば聞こえはいいが、真実は客の面前で上司から罵倒され、理不尽な処分を言い渡されることで同情を引き、寄せられたクレームをうやむやにするための「身代わりのヤギ」。そんな彼の目前で繰り返されるナゾの爆破事件。突然周囲から疑惑の目で見られるマロセーヌ。マロセーヌ危機一髪!はたして彼のヘンテコな友人や家族たちはマロセーヌの疑惑を晴らすことはできるのか……

    というのが、この本のストーリー。もともと作者のペナックは児童文学の世界で人気の作家とのことで、この作品にもどこか童話のような残酷さやドタバタ騒ぎがあり、いわゆるミステリとは一線を画す。そば屋のエビ天よろしく、フランス文学臭たっぷりのレトリックが衣のごとくたっぷりまぶされふくれあがっているので読み進むにはかなり難儀した。そういうのが苦手じゃないというひとなら、ゲップの心配なくきっと楽しく読めるはず。

  • 面白かったです。
    最初は彼がいかに凄腕の苦情処理係かということと、彼がとれだけこの職業を嫌悪しているかということ、養わなければならない家族が大量にいること、などかなり所帯じみた苦労がユーモアたっぷりに描かれています。でも途中で大事件勃発。
    それとともに彼の周囲もめまぐるしくなり、事件にまきこまれるわまきこむわの大騒ぎ。
    ↑の書評では捜査に乗り出す・・とか書かれていますが、乗り出す前に始終翻弄されています。
    とりあえず彼の忍耐力に脱帽ですね・・・あんな職場とおかしな家族がいたらわしなら精神崩壊をおこしていますよ・・・・それでもなんとか働いて家族をやしなって・・・そしてなんとか話も事件も終わらせる。
    怒涛のようにはじまって、怒涛のように終わる。
    ちょっと雰囲気はちがいますが、犬の「ベートーベン」という映画がありましたよね。あのかわいそうな(笑←笑うとお父さんがかわいそうだけど;)お父さんを主人公に重ねてしまいます。
    抱腹絶倒とまではいきませんが、家族の件でめまいをおこす主人公に噴出すシーンもしばしば。
    結構読み応えもあるし、好きな作品です。

    新潮クレストブックとこの白水Uブックスがオススメです。
    白水は、一見新書っぽいので皆敬遠しがちですが、こういう面白い翻訳モノがかなりそろってます。あの不愉快な傑作「豚の死なない日」もここに入ってますYO!

  • フランスユーモアミステリーの粋。
    老人が麻薬中毒だったり、主人公の職業が「スケープゴート」つまり苦情専門受けつけ係だったり……。ブラックジョークの質が底抜けている。
    ぺナックはフランスで一番人気のある作家の一人。フランス人が支持するどぎついジョークを愉しんでみては?

  • これは、シリーズものの一作目にあたるものです。タイトルに惹かれて偶然手に取って、「あたり」だった本です。
    主人公の青年は、まるで映画「誰も知らない」のような自由奔放な母親が産み続けたすべて父親の違う弟妹たちの生活費を稼ぐべく、デパートのお客様苦情係という、日々お客様からの製品への苦情を聞き、ひたすら頭を下げつづけるつらい仕事をしています。
    ところがある日、そのデパートで謎の爆破事故が起きて…。と話は展開してゆくのですが、そこはフランスでベストセラーのコミック・ミステリー。一筋縄ではいきません。
    コミカルな文体にだまされてはいけません。結構内容はハードです。でも、ハマればどんどん読めてしまうし、どんどん続きが気になります。
    ひねくれ者にはお勧めの一冊です。

  • フランス独特の比喩表現などがあって、始めは読みにくいけど、慣れてくると快感。

  • これはジャンルとしてはコミックミステリ?ユーモアミステリ?になるのかな。

    デパートで苦情処理係、『いけにえの山羊』として働く主人公マロセーヌの周囲でおこる連続爆破事件。
    犯人として疑われるマロセーヌが頑張ったりする話だけど、マロセーヌ自身に探偵的才能はおそらくほぼないので周りの人々の協力によって少しずつ前に進む感じだった。
    なのでミステリを期待して読むと少し肩透かしかもしれない。

    本書のいいところは、登場人物がみんな個性的で語り口がおもしろいというところにあると思う。
    ただ、序盤はその語り口とフランス特有のネタみたいなところに馴染めなかったりよくわからなかったり、話の展開としてもマロセーヌの職場や家族の紹介が多かったためあまり楽しめなかった。
    中盤以降慣れてきて事件も進んでくると面白くなり、終盤は一気に読めた。

  • パリのデパートに勤めるマロセーヌの仕事は苦情処理係。客の前で上司に叱られ派手に泣いてみせるという毎日だ。ところがそのデパートで謎の連続爆破事件が起こり、彼に疑いの目が向けられる。かくてはならじと捜査に乗り出すのだが。ベストセラーの痛快コミック・ミステリ。

  • 最高に面白いフレンチミステリ

  • 瀟洒で皮肉でエスプリってこんなん?

  • ミステリーなのだが、ミステリー自体よりも、登場人物たちのユーモラスなかけあいが何よりも面白い。どちらかといえばユーモア小説というべきかも。これでミステリーの質も高ければ、文句なしの5つ星だったのだが。

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