バーナム博物館 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

制作 : Steven Millhauser  柴田 元幸 
  • 白水社
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本棚登録 : 325
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071403

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読んだ作家でしたが、面白かった。

    永く永く続く一瞬の出来事。
    手を触れればたやすくぐんにゃりと融けてしまう現実。あるいは非現実。
    そう。ダリの「柔かい時計」のような。

    現実と非現実の不確かさを感じながら読んでいたはずなのに、最後の作品「幻影師、アイゼンハイム」でも、いつ現実と非現実が入れ替わったのか、さっぱりわからない。

    想像を現実化していく主人公たち。
    だが、彼らだって作者の創造した人物なのだ。
    そして、現実に生きているはずの私を、現実だと証明しうるものは今のところない。
    これすらも、誰かの想像の産物なのかもしれないのだ。

    バーナム博物館。
    あったら行きたなあ。
    世の中は不思議なことだらけのようだよ。京極堂。

    ことのほか面白かったのが、「アリスは、落ちながら」と「クラシック・コミックス #1」
    特に「クラシック・コミックス #1」は、詩を漫画化したものを文章で説明するという、ほぼ無意味な試み。
    しかし、面白い。
    真面目にやっているはずなのに、だからこそ、形式の違いによる着眼点のずれが実に愉快。

    読み終わってもしばらくニヤニヤしていたのは内緒だ。

  • 想像につぐ想像の世界は、まるでコーヒーの表面で粉末状のミルクが永遠にゆるゆると浮沈しながら奇妙な模様を描いていくようでもあった。他者の想像をのぞくということが、いかに淫靡で魅力的で、はっと気づいたときに少しばかり居心地の悪い恥ずかしさを感じてしまうものか……言うなれば、読んでいるうちに否が応でも自分の浅ましさをほじくり返されるという(苦笑)、あまりありがたくない小説だった。

  • 例えば『セピア色の絵葉書』は、終始、絵葉書に関しての情景描写について語られている。絵葉書についての状況が変わっていくに連れて、描写も変化していく。どの物語についても同じことが言える。耽美的で、幻想的で、精緻な語り口は、読者の想像力をかき立ててくれる。めくるめき万華鏡の世界に浸りたい方には是非お勧めします。

  • ちょっとしんどかった。
    訳者ノート読まないとよくわからない。

  • 原書名:The Barnum museum

    著者:スティーヴン・ミルハウザー(Millhauser, Steven, 1943-、アメリカ・ニューヨーク州、小説家)
    役者:柴田元幸(1954-、大田区、アメリカ文学)

  •  ミルハウザーを読むのは2冊目。
     初めて読んだ「ナイフ投げ師」は僕にとって極上の一冊だったのだが、本作もそれに勝るとも劣らぬ一冊となった。
    「探偵ゲーム」というタイトルながら、内容はまさに心理を読み合う「心理ゲーム」であったり、「セピア色の絵葉書」はちらっとフリオ・コルタサルの「悪魔の涎」を思い起こさせたり、何も無いところから人間(らしきもの)が登場してくる内容の「ロバート・ヘレンディーンの発明」「幻影師 アイゼンハイム」があったり、どこまでも落ちていく「アリスは、落ちながら」があったり……。
    「雨」や「青いカーテンの向こうで」などは小品ながらも、現実の中に突然現れる非現実な世界を見事に描いていると思う。
     いわゆるマジックリアリズムとも違う(もっと現実側に寄り添った感じだろうか)その不思議な世界は、はまると二度と抜けられなくなる。
     情景描写がかなり多いので、その点を「読みづらい」と感じる方も多いかと思うが、一度その面白さを味わってしまったら、もっともっと読みたくなる中毒性を持っている。

  • 細密画を描くが如く言葉を紡ぐミルハウザーの幻想世界がたまらなく好き。

  • 数多の修飾語に彩られた美しい本。
    情景描写が多いのに、しつこさを感じさせないのが凄い。
    『アリスは、落ちながら』『雨』『探偵ゲーム』『シンドバッド第八の航海』が好み。

  • いかにもミルハウザー的なものから、古典的名作のパロディまで秀逸な短編集。
    「シンバッド第八の航海」
    最初の夢のような冒険譚で、がっちりと心を掴まれる。
    「アリスは、落ちながら」
    アリスがゆっくりと落ちながら、終わりの見えない不安も増幅していく。
    「探偵ゲーム」
    ゲームを行うロス家の人々の話しと、ボードゲームの登場人物の世界が同時に進行する。それぞれの思いが交錯して、面白い作品。

  • ミルハウザーは現代アメリカ文学を代表的する作家の一人。その幻想的な雰囲気といい、細微眼的な筆致といい、どこから見ても自分好みなのだが(しかも、大好きな白水Uブックス「海外小説の誘惑」シリーズに収められているのだが)、なぜか今まで読んだことがなく、某巨大匿名掲示板のおススメで初読。

    どの作品もそれなりに気に入っているのだが、あえて一番を選べば架空の博物館「バーナム博物館」の様子を微に入り細を穿って描いた表題作の『バーナム博物館』。次いでボードゲーム「クルー」を題材に、ゲーム内の登場人物の虚構世界を想像力たっぷりに描きつつ、プレーヤーの現実世界(も、柴田元幸が指摘する通り虚構なわけだが)を並行させた『探偵ゲーム(A Game of Clue)』。これは「クルー」で遊んだことがあればもっと楽しめただろうにと思うと、少し残念。「不思議の国のアリス」を題材にした『アリスは落ちながら』も好き。

    ミルハウザーは、もう何冊か読んでみる。あと、これのせいで千一夜物語を読みたくなった…。

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著者プロフィール

1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞。邦訳に『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』(1998年、表題作でO・ヘンリー賞を受賞)、『ある夢想者の肖像』、『魔法の夜』、『十三の物語』がある。(以上、柴田元幸訳、白水社刊)ほかにFrom the Realm of Morpheus 、We Others: New and Selected Stories(2012年、優れた短篇集に与えられる「ストーリー・プライズ」を受賞)、Voices in the Night がある。

「2019年 『私たち異者は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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