バーナム博物館 (白水Uブックス 140 海外小説の誘惑)

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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071403

感想・レビュー・書評

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  • シンドバットの第八の航海は
    物語と共にシンドバットのお話の作者別の解説みたいなのが挟まっていて
    詳細や違いを知りたい性格のわたしには面白く読めたが
    とにかく読むのに時間がかかる。。

    短編がいくつか入った一冊だったが
    時間の都合上、幻影師アイゼンハイムの、
    2作のみ読了。

    描写が細かくいろいろと想像力が刺激される
    脳内で描写が進む
    そんな時間でした。

  • 初めて読んだ作家でしたが、面白かった。

    永く永く続く一瞬の出来事。
    手を触れればたやすくぐんにゃりと融けてしまう現実。あるいは非現実。
    そう。ダリの「柔かい時計」のような。

    現実と非現実の不確かさを感じながら読んでいたはずなのに、最後の作品「幻影師、アイゼンハイム」でも、いつ現実と非現実が入れ替わったのか、さっぱりわからない。

    想像を現実化していく主人公たち。
    だが、彼らだって作者の創造した人物なのだ。
    そして、現実に生きているはずの私を、現実だと証明しうるものは今のところない。
    これすらも、誰かの想像の産物なのかもしれないのだ。

    バーナム博物館。
    あったら行きたなあ。
    世の中は不思議なことだらけのようだよ。京極堂。

    ことのほか面白かったのが、「アリスは、落ちながら」と「クラシック・コミックス #1」
    特に「クラシック・コミックス #1」は、詩を漫画化したものを文章で説明するという、ほぼ無意味な試み。
    しかし、面白い。
    真面目にやっているはずなのに、だからこそ、形式の違いによる着眼点のずれが実に愉快。

    読み終わってもしばらくニヤニヤしていたのは内緒だ。

  • 想像につぐ想像の世界は、まるでコーヒーの表面で粉末状のミルクが永遠にゆるゆると浮沈しながら奇妙な模様を描いていくようでもあった。他者の想像をのぞくということが、いかに淫靡で魅力的で、はっと気づいたときに少しばかり居心地の悪い恥ずかしさを感じてしまうものか……言うなれば、読んでいるうちに否が応でも自分の浅ましさをほじくり返されるという(苦笑)、あまりありがたくない小説だった。

  • 例えば『セピア色の絵葉書』は、終始、絵葉書に関しての情景描写について語られている。絵葉書についての状況が変わっていくに連れて、描写も変化していく。どの物語についても同じことが言える。耽美的で、幻想的で、精緻な語り口は、読者の想像力をかき立ててくれる。めくるめき万華鏡の世界に浸りたい方には是非お勧めします。

  • 思ったより理詰め?っていうのか、何だろうな…。
    幻想まみれって訳じゃない作風なんだな…。

  • 自動人形、盤上ゲーム、魔術、博物館……。『不思議の国のアリス』や『千一夜物語』を下敷きにして夢と現実の境を取りはらった驚異のミルハウザー・ワールド

    【シンバット第8の航海】
    千夜一夜からきてるようだけど、まず千夜一夜を読んでない…持ってるけど手付かず…
    これを読んだらもちろん読みたくなった。
    第八の航海とテキスト批評が交互に書かれていて最初よく分からなかったけど、面白い。
    千夜一夜を読んだら是非再読したい。

    【バーナム博物館】
    面白い!
    これは映画になったら観たい。
    こんな博物館行きたいし、通いたい。

    心に残った文面↓
    博物館ではなくても、誰にもこの博物館的な存在はあるだろう。どうしてかなどという答えなどいらない、こんな存在が。
    ひたすら外の生活のつらさを忘れるために私たちが博物館へ逃げ込むのだと決めつけるのは早計というものである。
    むしろ安らいだ心、内なる充足とともに博物館にやってくることの方がはるかに多いのである。私たちは日常の世界を決して忘れはしない。まさに日常の世界を意識しつづけていればこそである。

    本当ですよー。美術館や舞台や娯楽を現実逃避と言う人がいるけれど、それは違うでしょ。

    【幻影師、アイゼンハイム】
    舞台に行く予定だったけど、コロナで中止になり、行けなかったので本を。

    幻想的…。
    この話が元なのかは分からないけど、似たような映画とかあった気がする。
    アイゼンハイムという映画はあって、原作はこの本のようだけど、別物として捉えた方が良さそう。
    この本の内容はなかなか映像には出来ないだろうし、しようと思ったらそれこそフェイクだらけになってしまいそう。
    本って、文章って、文字って、偉大だ。

  • ■『エドウィン・マルハウス』もそうだったけど、細かいことをだらだら、だらだらと書いていて、……もう我慢ができない。この作者は好きなんだろうなぁ、こんな風に書くのが。
    ■エドワード・ノートンの『幻影師アイゼンハイム』はとっても良かったんだけど、原作は全くもって別物なんですね。全然知りませんでした……。

  • 原書名:The Barnum museum

    著者:スティーヴン・ミルハウザー(Millhauser, Steven, 1943-、アメリカ・ニューヨーク州、小説家)
    役者:柴田元幸(1954-、大田区、アメリカ文学)

  •  ミルハウザーを読むのは2冊目。
     初めて読んだ「ナイフ投げ師」は僕にとって極上の一冊だったのだが、本作もそれに勝るとも劣らぬ一冊となった。
    「探偵ゲーム」というタイトルながら、内容はまさに心理を読み合う「心理ゲーム」であったり、「セピア色の絵葉書」はちらっとフリオ・コルタサルの「悪魔の涎」を思い起こさせたり、何も無いところから人間(らしきもの)が登場してくる内容の「ロバート・ヘレンディーンの発明」「幻影師 アイゼンハイム」があったり、どこまでも落ちていく「アリスは、落ちながら」があったり……。
    「雨」や「青いカーテンの向こうで」などは小品ながらも、現実の中に突然現れる非現実な世界を見事に描いていると思う。
     いわゆるマジックリアリズムとも違う(もっと現実側に寄り添った感じだろうか)その不思議な世界は、はまると二度と抜けられなくなる。
     情景描写がかなり多いので、その点を「読みづらい」と感じる方も多いかと思うが、一度その面白さを味わってしまったら、もっともっと読みたくなる中毒性を持っている。

  • 細密画を描くが如く言葉を紡ぐミルハウザーの幻想世界がたまらなく好き。

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著者プロフィール

1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞。『私たち異者は』で2012年、優れた短篇集に与えられるThe Story Prizeを受賞。邦訳に『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』(1998年、表題作でO・ヘンリー賞を受賞)(以上、白水Uブックス)、『ある夢想者の肖像』『魔法の夜』『木に登る王』『十三の物語』『私たち異者は』『ホーム・ラン』(以上、白水社)、『エドウィン・マルハウス』(河出文庫)がある。ほかにFrom the Realm of Morpheusがある。

「2021年 『夜の声』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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