ノリーのおわらない物語 (白水Uブックス 172 海外小説の誘惑)

  • 白水社
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071724

感想・レビュー・書評

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  • こどもの目線・感覚で生き生きと語られるノリーの日々。「こどものリアルさ」だけじゃなく、見守る優しさも感じるのは、これがニコルソン・ベイカーが娘に寄り添ってできた作品だからなんだろうな。
    無数に散らばる言い間違いや造語なんかがとても面白くて、”首ネック”がじわじわ効いている。

  • 著者の娘がモデルとなった、小さな女の子の頭の中の空想の物語。こどもの発想は自由だな。

  • ノリーが語るこの物語、と書こうとして気がついたけど、これ、一人称では書かれていない。
    ノリーの気持ちに沿った誰かが、ノリーの視点で書いた物語なのだ。
    情報提供は作者の娘、アリスだそうで、毎日の学校への行き帰りに娘が父に語ったことが元になっているらしい。

    9歳の女の子の頭の中は結構いろんなものがぎゅうぎゅうにつまっている。
    学校での生活―親友、いじめ、勉強、先生etc
    家での生活―家族との時間、人形遊び、お話作り、怖い夢etc

    それらを事細かに、そう、ニコルソン・ベイカーらしく、からりとねちねち語り尽くす。
    そして、今回の主人公が少女だったからこそ思い出した。
    私もかつてアリスだったことを。

    小学校4年生だったから10歳の頃です。
    200字詰め原稿用紙17枚に書いた作文は、友だちと担任の先生の家に遊びに行った半日のできごと。
    それをまあ、ねちねちと書きつづったんですな。
    先生のコメントは、作文の内容ではなく量に対してだったことを覚えています。

    そうか。
    だから私はニコルソン・ベイカーに惹きつけられるんだ。
    直系の弟子といったら過言だが、心の弟子と称してもまんざら外してはいないのではないか。←過言だ

    「とまる、ねる、ころがる」火事の時のアメリカの標語。
    洋服に火がついたら、立ち止まって、床に寝て、転げまわって火を消さないと、大やけどをしてしまうから。
    小学生はみんな知っているみたいだ。
    なるほど、それは大切なことだ。日本でも習わせたらいいのに。
    と、私は思ったが、ノリーは、何べんも同じことばかり言い過ぎだ。もっと他に子どもに教えるべきことがあるんじゃない?って思っている。

    “いじめがすごくよくないと思うのは、ずっといじめられつづけてると、だんだんそれがふつうのことのような気がしてきて、もうなんとかしようと思わなくなっちゃうことだ。”

    子どもらしい言葉づかいで、時に勘違いしたり混乱しながらも、ノリーは自分の頭で考える。
    正しいことは何か。真実は何か。

    必ずや否や
    空前のともしび
    すごくリッチでまことしやかな気分

    ちょいちょい出てくる間違えた言葉がまた、かわいらしい。

  • 「これで一件着陸だ」とか「鬼のように楽しかった」とか好きな語感が沢山あったしノリーはほんとにいい子だ。すごくいい子。見守っているお父さんとお母さんも素敵だった

  • 「赤毛のアン」の類の、想像力豊かな女の子の物語というのは、正直言うとあまり得意でない。
    これもそういう系統と言えなくはないが、とても興味深く読めた。
    アメリカからイギリスへ移住したばかりの、空想好きの九歳のノリーを主人公とする物語。
    一人称とも三人称ともつかない語り口だから、読めたのかもしれない。
    スペリングが苦手で、慣用句もうろ覚えというところがあって、ああ、子どもってこうなんだなあ、と思わされた。(翻訳は大変だったろうな、とも思う。)

    それから、いじめられているパメラがノリーとかかわってく中で、状況が少しずつ好転していくところも、すごくいいところだ。

  • 10/1 読了。
    ベイカー大好きだ〜。この人のミクロな視線は、世界のあらゆるものに対してフェアでありたいという思いから来るものなんだなぁ、と感じた。

  • あまりにも自分と近い感覚を持っているが故に、読みながら子供の頃の辛い思いがよみがえってしまった。ただ違いからこそ大好物も随所に!

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著者プロフィール

1957年ニューヨーク州生まれ。イーストマン音楽学校、ハヴァフォード大学で学ぶ。1988年、『中二階』でデビュー。他の邦訳に『室温』、『もしもし』、『フェルマータ』『ノリーのおわらない物語』(以上白水社刊、岸本佐知子訳)がある。本書の執筆時(32歳)にはまだ駆け出しの若手作家だった。

「2018年 『U & I』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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