ほとんど記憶のない女 (白水Uブックス)

制作 : 岸本 佐知子 
  • 白水社
3.74
  • (18)
  • (20)
  • (16)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 344
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071748

作品紹介・あらすじ

わずか数行の箴言・禅問答のような超短編から、寓話的なもの、詩やエッセイに近いもの、日記風の断章、さらに私小説、旅行記にいたるまで、多彩で驚きに満ちた"異形の物語"全51編。「アメリカ小説界の静かな巨人」によるひねくれた独特のユーモア。

感想・レビュー・書評

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  • 小説として異質と感じずにはいられないし形式も内容も様々だけど、たしかに同じ作家の筆による作品だとも強く感じた。
    「読んだあと、世界が違って見える」という帯のコメントがまさにその通りだと。

  • 普段、心の奥底に潜んでいる悲しい事忘れてしまったはずの傷ついた出来事いつもはりついているような不安。大人になったら自信を持って生きていけると思ったのに、何処かに子供の頃と変わらない臆病な柔らかい部分をひらりと描いてくれた。その高い知性と明晰な言葉でひらりとすくいあげてくれた。大切な作家、大切な一冊になりました。

  • リズム、ユーモア、奇妙な感触、イタチゴッコの様な可笑しな文章…。
    ほぉと唸ってクスッと笑って、時折フワリと感覚に訴えかけてくる、
    そんな著書にすっかりヤラレてしまいました。

    『私が興味をもつのは、つねに出来事よりも、
    その裏で人間が何を考え、どう意識が動くか、そのプロセスなのです。
    出来事は、それを見せるための方便でしかない』
    こうキッパリと言い切る著者の他作品に興味津々。
    今後、未訳作品の翻訳予定もありとの事なので、今からワクワクムズムズとしています。

    • naminecoさん
      一瞬、Lでジャクソンな俳優さんかと思いました。サミュエル違いです。
      タイトルを聞いてテンションあがりました!
      早速調べてみた所、ジョンソン氏...
      一瞬、Lでジャクソンな俳優さんかと思いました。サミュエル違いです。
      タイトルを聞いてテンションあがりました!
      早速調べてみた所、ジョンソン氏の語録がこれまたツボで、こちらにも俄然興味が。
      もしかして出版も、もうそろそろなのでしょうか。待ち遠しいです!
      2013/03/12
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「もうそろそろなのでしょうか。」
      と言う噂なのですが、作品社のサイとには何も載ってません。
      でも「サミュエル・ジョンソンが怒っている」の他に...
      「もうそろそろなのでしょうか。」
      と言う噂なのですが、作品社のサイとには何も載ってません。
      でも「サミュエル・ジョンソンが怒っている」の他に「ブレーク・イット・ダウン」と言うのも準備中のようです。
      2013/03/27
    • naminecoさん
      むむむ…震えて待ちます…!
      むむむ…震えて待ちます…!
      2013/03/28
  • 原題は“Almost No Memory”。たしか『翻訳文学ブックカフェ』で、訳者の岸本佐知子さんがこの本を訳したきっかけを話してらして、「そんなことあるんだ」と気になっていながら、そのままになっていた本。Uブックスになったのをきっかけに、遅まきながら読みました。

    すごく静かに、いろんな長さで、いろんな話が並べられている短篇集。物語のきっかけは「エンピツを手に読む(ミシェル・)フーコー」だったり、「肉好きな夫」というふうに、ドタバタ感や壮大感はなく、むしろ小さくてリアルだと思う。それが、次の文としりとりのようにつながりながら、少しずつずれていき、最後には、最初考えていたこととはずいぶん外れたところに飛んで行ってしまう。ちょうど、2人で話していて、「AってBだよね」「BはどっちかというとCかも」「でも、CってDで進むかも」「Eもありだよね」「Fだったらどうよ?」と少しずれた連想をつなぎ、はっと我に返って、「…ちょっと本題と外れたよね」と思い直す、微妙というか、残念というか、ぽつんと残されてしまったような感じで苦笑い…といった雰囲気に近いかもしれません。

    でも、それぞれがイタいバカ話というのでは決してなく、硬質で知的な筆致で、理論のゲームを楽しんでる感じもします。心理や行動の描写がリアルだからか、混乱はしないけど、最後には言いくるめられて「いまひとつ納得がいかないけど、まあそういうことなんだろう」という感触で終わる。小説なのかな?評論?箴言?感覚がとらえきれなくて、ぱらぱらあちこち読み進めるうちに、「あっ、終わっちゃった…」と、すとんと読了しました。

    岸本さんの端正な訳で全51篇を読みましたが、いつもの岸本翻訳作品のとおりの明晰な「訳者あとがき」によれば、原文にも趣向が凝らされたものが多いらしく、気になるものは原著をめくってみてもいいかもしれません。爆発的な面白さじゃないんだけど、じんわり面白くて、ぱらぱらめくり返したりする本です。で、この☆の数。

  • 「読み終わった」には語弊があります。
    パラっと何作か読んで、飽きた。評価しません。

    最近めっちゃ忙しく、それでも、心の癒しにインスタントな感じで読める名著を探していたら、某所でとっても面白そうなレビューを見つけたので、しめしめと思ったんだけど


    でも、これ、この本が悪いというより、私が本に求める期待値が高すぎるせいだな。
    求めるのはせめて一回衝撃を受けたい。感動でも意外性でも、クオリティの高さでも着想でもなんでもいいから。
    これでこれは無理だった。味もそっけもない突飛さは標準レベルの海外文学に散見するレベルのもの、投げっぱなしの不条理感も同左。着想…表題作「ほとんど記憶のない女」の発想って結構平凡じゃないかな。ラテンアメリカ文学くらいぶっ飛んでほしい。記憶がなくて知性のある女の散文じゃつまらない。そこから、記憶のないことは、継時処理的な知性が積み重ならないことであって、同時処理的な知性だけの彼女が、どういった認知特性を持ってくるのか…的なSFまで突っ走ったらすごい好みだったけど、ただ詩的で散文的な雑感で終了…しかもその詩的さも全然抜きんでてない。

    悪口ばっかり書いているようで申し訳ありません。悪くないです。よくないだけ。

  • 訳:岸本佐知子、原書名:Almost No Memory(Davis,Lydia)

  • 文学

  • 内容紹介「とても鋭い知性の持ち主だが、ほとんど記憶のない女がいた」わずか数行の超短篇から私小説・旅行記まで、「アメリカ小説界の静かな巨人」による知的で奇妙な51の傑作短篇集。出版社からのコメント「とても鋭い知性の持ち主だが、ほとんど記憶のない女がいた」わずか数行の箴言・禅問答のような超短編から、寓話的なもの、詩やエッセイに近いもの、日記風の断章、さらに私小説、旅行記にいたるまで、多彩で驚きに満ちた〈異形の物語〉を収めた傑作短編集。カウボーイとの結婚を夢みている自分を妄想する「大学教師」、自分の料理を気に入らない夫の好みを記憶を辿りながら細かく分析していく「肉と夫」、思考する〈私〉の意識とメモをとる〈私〉の行為を、まったく主語のない無機質な文体で描く「フーコーとエンピツ」他、全51編を収録。「アメリカ小説界の静かな巨人」デイヴィスの、目眩を引き起こすような思考の迷路や言葉のリズム、また独特のひねくれたユーモアは、一度知ったらクセになる。

  • 2011-1-22

  • 短編小説集。短編どころか、ひどく短い掌編というか、一、二行で終わるものもあり、小説の多様性を感じさせる。作者が通常の物語を提示することを目的としておらず、その物語が生まれる過程、人間がどのように考え、何を意識して動いていくかを重視するという姿勢だけあって、起承転結がなく、宙ぶらりんのまま終わるような話が多い。禅問答のような話も多い。だが、その筆致は訳者あとがきにも書かれてはいるが、冷たくはなく、客観的に書かれてはいるが、コミカルであり、読むものを引き込むものがある。ポール・オースターと似ているなと思ったら、もともとポールオースターの妻だったようだ。

    ___________
    帯に書かれていたように、いつもの日常風景が違って見えてくるような気がする。「体験したあとに、世界が違って見える」というのは、文学作品だけに関わらず、良い文化的作品の基準といってもいいのかもしれない。それにしてもそれはいったいなぜなのだろうか。作品には、世界の一側面を切り取って集中させる機能があり、それによって、人は当然のものとして捉えていたことを新たに新鮮な目でとらえなおす。枠組みを提供し、その中である秩序に基づいた世界(それは秩序を持たない世界という秩序も含む)を示し、作品を見る者、聴く者、(ひょっとすると、食べる者や飲む者、嗅ぐ者という場合もありえる)に何かを気付かせるからではないだろうか。

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著者プロフィール

1947年マサチューセッツ州生まれ。著書に『話の終わり』(1995)、『ほとんど記憶のない女』(1997)、『サミュエル・ジョンソンが怒っている』(2001)、【Can't and Won't:イタ】(2014)他。マッカーサー賞、ラナン文学賞などを受賞したほか、短編集【Varieties of Disturbance:イタ】(2007)で全米図書賞にノミネートされる。2014年には国際ブッカー賞を受賞した。フランス文学の翻訳家としても知られ、ミシェル・ビュトール、モーリス・ブランショ、ミシェル・レリスなどの翻訳に加え、マルセル・プルースト『スワン家の方へ』の新訳を手がけた功績により、2003年にフランス政府から芸術文化勲章シュヴァリエを授与された。ニューヨーク州在住。

「2016年 『分解する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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