オレンジだけが果物じゃない (白水Uブックス176)

制作 : 岸本 佐知子 
  • 白水社
4.06
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本棚登録 : 197
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560071762

作品紹介・あらすじ

狂信的なキリスト教徒の母から特殊な英才教育を受けて育ったジャネットは、幼くして説教壇に立つようになる。しかし、初めて恋を知った彼女には、恐るべき"受難"が待っていた…。奇想とアイロニーに満ちた半自伝的小説。ウィットブレッド賞最優秀処女作賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 以前に読んだとき、あまりに面白くてしばらく他の本を読むことが出来ませんでした。ジャネットは不幸なひとではなかったと思う。養母は圧倒的なパワーの持ち主だけど、ジャネットを愛してるし。この本はめちゃくちゃ面白いです。客観的に人生を見つめる周りも見つめるジャネットの姿勢が好き。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ジャネットの姿勢が好き」
      クラクラするくらい素敵ですよね。どの作品も好きなんですが、私は「灯台守の話」が一番です!
      「ジャネットの姿勢が好き」
      クラクラするくらい素敵ですよね。どの作品も好きなんですが、私は「灯台守の話」が一番です!
      2012/12/05
  • 文学

  • 18/05/03、紀伊国屋書店新宿本店のLGBTビブリオバトルでのオススメ本。

  • 作者の自伝的な小説とのこと。
    閉鎖された社会で育ってきた子が、少しずつ「普通の」世界や「新しい」世界を知り、自らの価値観を作り上げていく。
    所々抽象的な挿話が入るのはいつも通りの構成。たまに分かりにくくなることもあるけれど、ふと分かったときは、その挿話がとても重要な意味を持つことを知り、なるほど、と思います。
    いろんな価値観をどう捉えるのか、そんなことを考えさせてくれる作品だと思います

  • まず目を引くタイトル、開くと旧約聖書からの章立て。何だろうと思って読み始めると、作家自身の半生のようでもあり、寓話であり。

    川の向こうの魔術師とのやりとりの寓話、とか、笑える断片をコラージュするあたり、織り交ぜ方が新しく、私にとって読ませる作家である。

    ジャネットが、どうやって自分と周囲とに折り合いつけていったかというと、それは物語なんだろう。嘆きと悲しみと絶望が深く深くあったはずなのだ。

  • これほどまでに個性的な小説って、なかなか読んだこと無い

  • 『灯台守の話』の作者の半自伝的小説。
    母(ジャネットは孤児院から引き取られた子なので養母)の所謂毒親ぶりがすさまじい。
    子どもにとっては母親は世界の中心であり、母親が言うこと・与えてくれるものは真実なのだから、その根幹が揺らぐというのは世界がひっくり返るのと同じことだろう。
    しかしジャネットの語り口はあくまでウェットになりすぎず、達観したような軽さがあり読みやすかった。
    様々な痛みと上手く折り合いを付けられた結果、書かれたお話だからそのように思えたのかも知れない。

  • 長い間積んでいたのをようやく読み始め、いっきに最後まで読んでしまった。

    一言で言うと、とても面白い。でも読んでいて胸がジクジクと苦しくなるのは、きっとジャネットの物語が、私自身の過去と共鳴するからだろう。

    世の中には、恵まれた人たちがいる。
    親い人たちを無条件で信じられる人たち、裏切られたことのない人たちだ。

    でもこの物語は、信頼していた家族や友人に裏切られ、否定され、傷つけられ、安易に人を信じることができなくなってしまった人たちのためにこそある。
    少なくとも私はそう思った。

    主人公ジャネットは、家族や親い人たちからの裏切りや、見えないが頑丈な壁のなかに、いいように隔離されてきた自分の人生を、シニカルな笑いを交えて淡々と語る。

    その物語を読むことで、自分自身のつらい過去や現在を受けとめて、笑って済ませることのできる日がくると、読者も信じることができるようになる気がする。

    今は無理でも、きっといつか。

  • 著者の半自伝的小説。

    狂信的家庭のなかで育ったジャネット。
    その中にいる間はそれが当然の世界であったのが
    成長するにつれ、その壁は崩れていきます。

    そして崩れた先にあったのは読んだ通り。

    でも最後のクリスマス。
    そう簡単には家族のつながりが切れないというラストで終えたのは
    著者が自分自身と家族を受け止めることができた証なのでは、
    と思いました。

    大変な人生を生きていくうえで「物語る」ことの意味を知る作家の、
    自分の孤独と苦しみをアイロニーで昇華した、これぞ処女作品。

  • 白水の海外小説の誘惑シリーズの面白さたるや、まあ世界中から優れた文学を選んでいるのかもしれないけれども、ほんとうにすごい。この本がいいな、と思ったのは、圧倒的な価値観のゆらぎを多角的な視点からえがいているから。自分の育ってきた環境の中で絶対とされてきたものと、自分の心の中から成長とともに湧き出てきたものが相入れないものだったときのゆらぎが、なんだかとても切実で、でも優しい。どちらが絶対にいい、というわけでもなくて、でもどこにもいけなくて、本当にひとりぼっちで孤独なはずなのに、それを包み込み落とし込む小説的なユーモア。全体的にユーモアが悲劇的な状況を見事に包んでいて、それが面白さと深みに拍車をかけているかんじ。こんなに素敵ながそこらじゅうに散らばっているなんて、まったく海外小説の誘惑シリーズは計り知れない。
    にしても、主人公の名前を自分にするっていうのは、ある種かなり危険なコミットメントであることは明白ですが、それをやってのける、いやそれをやらなければならなかったというのは、この本があまりにも切実であった証拠のようにおもう。処女作というのは、こういう切実さがあってわたしはとてもすきだ。

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