- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560071762
感想・レビュー・書評
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パワー系母(狂信的なキリスト教信者)と英才教育を施されて育った娘(のちにレズビアンだと自覚)の物語。
母のキャラクターをオレンジで喩えたりしながら母への愛憎を表現しつつ、自分の哀しみを独特な寓話の挿入で切実に描きつつも、暗すぎたりじめじめしすぎたりせず、皮肉とユーモアが効いている。
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本の途中で出てきたタイトルがそういう意味か、、!ってなった
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面白かったな~。海外小説久しぶり。
1985年の作品。ユーモアと皮肉にあふれている一方で、自伝的作品ということもあり後半は切実さが増す。
「物語」についての引用は旧約聖書からだそうだ。
ほかの作品も読んでみたい。 -
狂信的なキリスト教徒の養母、オレンジ、同性愛、自立。
イギリスの作家ジャネット・ウィンターソンの半自伝的作品。
メインのストーリーの合間にアーサー王物語みたいなものや昔話のような不思議な物語が配置されている。これが強烈な個性を持つ母親との生活や、彼女にとってはまったくワケノワカラナイ「外の世界」との折り合いをつけるために必要なものなのかな。
『さくらんぼの性は』の著者。 -
これほどまでに個性的な小説って、なかなか読んだこと無い
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『灯台守の話』の作者の半自伝的小説。
母(ジャネットは孤児院から引き取られた子なので養母)の所謂毒親ぶりがすさまじい。
子どもにとっては母親は世界の中心であり、母親が言うこと・与えてくれるものは真実なのだから、その根幹が揺らぐというのは世界がひっくり返るのと同じことだろう。
しかしジャネットの語り口はあくまでウェットになりすぎず、達観したような軽さがあり読みやすかった。
様々な痛みと上手く折り合いを付けられた結果、書かれたお話だからそのように思えたのかも知れない。 -
半自伝的小説。
主人公はキリスト教一派の熱心すぎる信者である養母に育てられる。信仰の中で育ちそれが絶対であり、進学しても周囲に溶け込めない。
信仰の中は安全であったけれど成長するにつれそれは崩壊して行く。
厳しいなと思う。その中しか知らないということ。それが正しいと思っていたのに。
母親の理想を離れると叩きのめされる。
所々に別の話が紛れ、はじめはこの話は何?と思ったけど、それは主人公がその中に逃避しなんとか折り合いを見つけようとしてるんだなと読み進めるうちに思った。
気の毒な境遇であるのに、笑ってしまうところもあり、そこが余計に微妙な複雑な心持ちになってしまう。
母子関係や子育てにおいて国内の何人かの作家の小説を読んだことがあるが、こういう書き方は絶対にしていない。そこが新鮮でもあり、やや入り込みにくさもあった。
それにしても養父の影が薄いのなんの。そこもポイントだと思う。 -
ジャネット・ウィンターソンは本当に孤独だったんだなあと思います。たぶん、この本は、自然と人から好かれる人、クラスや職場でいつも周りに人が集まってくるような人には面白くない、理解できない作品なのではないでしょうか。作品自体は、途中で全く本筋とは関係菜物語が挟み込まれたりしています。ただ、本筋と関係ないというのは見かけだけで、その時々のジャネットの頭の中、心の中を描き出したような物語が挟み込まれているので、決して読みにくいとか、要らない部分という感じにはなりません。『さくらんぼの性は』が品切れなのが残念です。