- Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560071816
作品紹介・あらすじ
名宝タピスリーに秘められた禁断の愛の物語。絵師ニコラ、貴族の娘クロード、織師の娘アリエノールらが織りなす、美と官能の極み。『真珠の耳飾りの少女』の作家による、世界70万部超ベストセラー。
感想・レビュー・書評
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多視点で貴婦人と一角獣のタペストリー制作に迫る。
それぞれ登場人物の運命の出会いが偶然を通り越して少々わざとらしくある。
小さい世界でごちゃごちゃしすぎている印象。
プロット的に絵師を泳がせながらタペストリーの貴婦人に登場人物を照らし合わせたアイデアの勝利。
登場人物が多い分、書き込みが足りずに読みごたえは薄め。
検証は十分にされているのだろうが、その時代の匂いを感じることもできない。
エンタメを重視したのかもしれないし、壮大な作品をこの分量にまとめるのに限界があったのかもしれない。
このタペストリーは過去に美術館に見に行きました。
あまり物語との関連性は高くないのですが、改めてガンダムUCでの絵の再現度は高いな。と思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルにひかれて。『真珠の耳飾りの少女』と同じ作者なのですね。貴婦人と一角獣のタペストリーが製作された時代を背景とした物語。
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タペストリーをみた後、ミュージアムショップで購入。
その後も何度か読んでいます。 -
ちょうど貴婦人と一角獣の展覧会のことを聞いた頃に読んだ。このモチーフのタピスはフランスでいくつか見たこともあり、親近感を持って読むことができた。
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久しぶりのトレイシー・シュヴァリエ。彼女の本はどれも文体が繊細で、美しくて、なおかつミステリアスで、とっても魅力的。日本語訳されている物が少ないのがちょっと悲しい。
今作は、いつもより少し官能的。タピスリーが来日した時に実物を見たので、より引き込まれました。海外小説にありがちな、オーバーではない、シュヴァリエの文体に忠実な翻訳も素晴らしい。 -
私のたった一つの望み…
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時代背景も必要な点を折々に描かれ、登場人物の造形も確かにこんな人もいるだろうと頷けるもの。
一角獣は時には乙女と一体で時には乙女を狙う男性の表れで、この作品ではなくはっきりと後者のモチーフなのだけれど、「一角獣は時に乙女に騙される」とあるとおりの話運びであった。
意図して騙そうとしなくても、見え見えの袋小路でも、突き進んでいってしまうものなのだろう。 -
何年も前に読もうと思って放置していたが、今読んだのは最高のタイミングだった。特に優れた本という訳ではない。同じ著者の「真珠の耳飾りの少女」と同様、名画を題材に、当時の時代背景にライトな恋愛や人間模様を絡ませる作りで、重厚さも複雑さもない。
但し、原田マハと大きく違うのは、比べるなというレベルだが、調査が細部まで行き届いていて面白く、物語への折り込み方に嫌味がない。ストーリーテリングも上手い。
本書でも、中世の社会、ブリュッセルの織物工場がきちんと描写されている。見たばかりで鮮明に記憶があるタピストリーの貴婦人それぞれに別のモデルを配し、モティーフの細部まで言及される様にはわくわくした。ああこの貴婦人は・・・視覚は、味覚は・・・と思い出し、織りあがったばかりの鮮やかなユニコーンと千花模様が壁を飾る様とは・・・と想像しながら、作品を二度三度と楽しむことができた。 -
タペストリーのように、物語が少しずつ織られていく。最初扉に掲載されているタペストリー絵をみても、小さすぎて、何とも思わなかったのに、底に描かれている貴婦人の顔、表情、意味が分かってくる。
色男ニコラと目の見えない織物職人の娘の話が特にいい。こういう女性の救い方は、日本の男にはできないよねぇ、と妙に感心した。 -
À mon seul désir
ガンダムUCから日本で展示されるという流れで読んだ、
ということはミもフタも無い話だが、
ひとつの(6つの)タピスリー(タペストリー)をめぐる物語は
二コラという人物を中心とした4人?の女と
彼女たちに深く関係する男たちの視点で織り成される絵巻のよう。
単に依頼で作ったのではなく、
ユニコーンを中心に物語と五感を表したのではなく
このような人間模様を残したのだと思えれば
創作だとしても、このタペストリーが
語りかけてくることをより感じることが出来るのではないか。