平和の玩具 (白水Uブックス)

著者 :
  • 白水社
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本棚登録 : 87
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072141

作品紹介・あらすじ

ショートショートの神様、最後の傑作群
 子供たちには武器のおもちゃや兵隊人形ではなく平和的な玩具を、という新聞記事に感化された母親が早速それを実践にうつすが……「平和の玩具」。その城には一族の者が死ぬとき近隣の狼が集まって一晩中吠えたてるという伝説があった……「セルノグラツの狼」他、全33篇を収録。
 1916年、一兵卒として第一次大戦の西部戦線にいたサキは敵弾に斃れた。その3年後、姉エセルの意を受けて編まれた短篇集を初の完訳。時局を反映して、緊迫する欧州情勢を諷刺した作も目につくが、軽妙な筆とユーモアは最後まで失われることはなかった。序文G・K・チェスタトン。付録として、オックスフォード大学図書館が所蔵するサキ及び近親者の書簡を収録。サキの人となりを伝える貴重な資料であり、戦地から幼い姪に宛てた愛情あふれる手紙は我々の胸を打つ。挿絵エドワード・ゴーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 思わずニヤリとしてしまうようなブラックユーモア溢れる短編集

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9694

  • 『救急庭園』ほしい。現代でも需要はある。

  • サキの短編集。序文や親族によるサキに関する
    手紙も読みごたえがあります。

    既読のものもありましたが相変わらずブラックな
    内容でサキは面白いなと読み進めていたら
    最後の三作品は、どうしてかちっとも面白くないと
    思っていたところ、これらは戦争中に書かれたもの。
    ユーモアにあふれたサキだったけれど、(44歳という
    年齢で!)自ら志願して戦争に赴き、亡くなる
    少し前はとてもやつれていたそう。戦争は
    ユーモアの天才すらこんなにも変えてしまうのかと
    思い至りました。

    サキが亡くなった後に姉エセルの意を受けて
    作られた短編集だそうですが、この姉のエセルは
    かなりの曲者らしく、周囲の人間から愛されていた
    サキとは違い親戚中から嫌われていたようです。

  •  やはりサキは「ふふふ」と、にんまりしながら読む話が多い。批判や人間のさが、ある意味でいとおしいような愚かさを、ユーモアでくるんだような短編集。

     なかには「セルノグラツの狼」や「浮かばれぬ魂の肖像」など、綺麗な(けれど悲しい)物語もあるのだけど、それと同じくらい、黒いユーモアに富んだ作品が私のお気に入り。

     「モールヴェラ」のオチがその典型。あーあ、やっぱりな、と思ってにんまりしてしまった。

     子どもたちに兵隊や要塞のおもちゃを与えるのは、教育上よろしくない。かわりに、議会と市民からなるおもちゃを与えよう。これが「平和の玩具」の始まりだけど、子どもたちは結局「平和の玩具」で殺し合うだけで、なんの解決にもならない。

     本作についてはチェスタトンが序文で解説しているけど、そうしたことを直接言うことなく、ユーモアで覆い隠してしまうのがサキの作品。

     末尾に付せられた、手紙などの資料も、人となりを知る貴重な資料。私はむしろ、作品と人となりのギャップを興味をそそられた。

  • ゴーリーとサキってナイスカップリングです。。。

    白水社のPR
    「平和の玩具」「セルノグラツの狼」他、奇想と残酷なユーモアの作家サキの没後に編集された短篇集を完訳。挿絵エドワード・ゴーリー
    http://www.hakusuisha.co.jp/book/b286945.html

  • ここんとこ、白水社さんが、
    ずっとサキの本を出してくれてるよ。
    この感じだと『四角い卵』も出してくれそうだよ!

    ミルンさん(プーさんの作者の)が、
    「独り占めしたいからサキが好きなことは内緒にしたい」
    と言うようなことを書いていて、
    私も同じ気持ちって、思ったよ。

    他のみんなもそうなのかい?

    巻末に親族の方が語ったサキや、
    サキが10歳の姪に送ったお手紙などが載っていて
    興味深かった。

    サキの実のお姉さんのことが
    うーん、驚きだった。

    翻訳の方は、ちょっとブツブツ切れるような印象があって、
    「七つのクリーマー」と言うお話も
    他の新潮や岩波の翻訳で読むと、
    「あらららら~(ニヤニヤ)」と言う感じだったのに
    こちらは「こんなことがあったよ(はい、おしまい)」と
    言う風。

    でもさ、それでも良いさ。
    単なる私の好みの問題かもしれぬ。

    『四角い卵』、楽しみにしているね!

  • サキ、初めてよんだが面白かった。パーティの過剰なおもてなしや婦人参政権運動に対する当てこすりなど、お得意とされる風刺や皮肉は100年後のいまからみると穏やかで風化してるのもあるが、どの短編の丁寧に作ってあるので結構読める。
    英領ビルマ生まれ、第一次世界大戦の志願兵となり45で戦死。序文はチェスタトン。

  • 『クローヴィス物語』『けだものと超けだもの』に続くサキの短編集、3冊目。
    サキの短編はどれも面白いが、本書では『平和の玩具』『まぼろしの接待』『七つのクリーマー』が好きだ。
    また、巻末に資料として収録されている『親族たちが述べたサキ』は、活字になるのは初めて(英語も含め)というかなり貴重なもの。どうも一次資料が少ないらしく、一部でも日本語で読めるのは有り難い。

    (ふと思い出してしまったが、風濤社の『サキ・コレクション』は、2冊で完結なのかな……?)

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著者プロフィール

Saki.
1870 - 1916.
作家・ジャーナリスト。
本名はヘクター・ヒュー・マンロー(Hector Hugh Munro)。
インド帝国警察に勤務したのち、ジャーナリストとして活躍。
そのかたわら数多くの短篇小説を執筆し、
短篇の名手と称される。第一次世界大戦時に軍に志願し、
フランスにおいて絶命。
近年の邦訳に
『サキの思い出 評伝と短篇』
(エセル・M・マンロー、ロセイ・レイノルズ、サキ 著、
花輪涼子 訳、彩流社、2017年)、
『四角い卵  白水Uブックス』(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『平和の玩具  白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2017年)、
『けだものと超けだもの 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2016年)、
『クローヴィス物語 白水Uブックス』
(和爾桃子訳、白水社、2015年)、
『ウィリアムが来た時』(深町悟訳、国書刊行会、2019年6月)、
『サキ短編 『スキャンダルの行方』 Kindle』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services International,
Inc.、2019年)、
『サキ短編 『ビザンチン風オムレツ』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)、
『サキ短編 『ラプロシュカの魂』『困った雄牛』』
(サキ全訳プロジェクト訳、Amazon Services
International,Inc.、2017年)ほか。



「2019年 『鼻持ちならぬバシントン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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