カモメに飛ぶことを教えた猫(改版) (白水Uブックス)

  • 白水社
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560072233

作品紹介・あらすじ

黒猫のゾルバが、ひん死のカモメに誓った三つの約束。その約束をまもるには、大いなる知恵と、なかまたちの協力が必要だった……。

感想・レビュー・書評

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  • 港町に住む猫たちが、力を合わせて一羽のカモメを空を飛べるようにするまでの物語。

    海の重油にやられ、死を覚悟した一羽のカモメが、たまたま近くにいた猫に産み落とした卵を託す。その際、3つの約束を交わします。
    卵を食べないこと。雛が生まれるまで、卵の面倒をみること。ひなに飛ぶことを教えること。
    先の2つはともかく、果たして猫はカモメに空を飛ぶことを教えることができるのか?

    物語の中で、大切なことをたくさん知ります。子供から大人まで読める、優しい物語でした。

  • ほぼ内容知らずに読んだ物語、童心に戻れてほんわか心も温かくなりました。
    約束を守ろうとすること、自分とは違っている者を認め尊重すること… うちの子にもいつか手に取ってみてほしいな。

  • 異なる者同士の愛、助けたいと思う気持ちをストレートに出せる猫の仲間たちがカッコいい。大きな愛に見守られるから、フォルトゥナータもやってみようと思えたんじゃないかな。個人的にはゾルバがバルコニーでしっぽをギターがわりにして人間を呼び寄せるっていうシーンが好き。すごいアイディアだよね。全力でやりたいと思えたり、やってみることができるのは、励ましてくれる存在に帰れるから。

  • 大人になる前に読みたかった一冊でした。
    猫のゾルバが母カモメとの約束を守ろうと一生懸命になる姿に泣きそうになりました。
    読んでると、人間というフィルターを挟まずに純粋に世界を見てるような感覚を味わえます。
    僕が子どもの頃にこの本に出会えてたら、人生のどこかのタイミングでこの本を思い出す日があったに違いない。

  • カモメの雛を育てることになったにゃんこのお話。
    ペリカンが子猫のゾルバにいったこと「猫は毛がふさふさで、身のこなしが速くて、スリッパの匂いがするもんじゃ。」スリッパの匂い、だって。こんな異国の香りの漂うこのかわいい物語だけれど、にんげんたちが汚してゆく海を嘆き、異なるものへの愛をうたう。たしかに、この世界の一部しか知らないのは、人間だけなのかもしれないね。
    本筋ではないけれど、船乗りのハリーのコレクションがたのしくてとてもすきだった。このコレクションのひとつひとつの題目を眺めていると、またあたらしい物語が紡がれてゆくような。そんな楽しい想像の余白がたくさんあって、子どもたちの創造力までも刺激されるようなすてきにかわいい本。

  • 「飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が、全力で挑戦したときだけだ、ということ」

  • 素敵なお話でした。

    これを劇団四季が演じたら、どんな演出かなと思いながら読んだら、とても楽しかった。

  • 猫に限らずかもしれないけど、猫と暮らしている人はよく「何々と言っているように聞こえる」ではなく、「何々と言っていた」という言い方をする。自分もいつか猫と会話できるように、いや、会話して頂ける人間になれるように精進していかないといけない。

  •  元々、小学校の学芸会で小学校6年生の次男が取り組んだ劇として知った作品。月刊ふらんす誌3月号で河野万里子さんのエッセイを読み、彼女の訳であることを知り購入。積読していたが、この度、作者のルイス・セプルべダ氏が新型コロナウィルス感染のため逝去されたことを新聞記事で知り、読み始めた。
     「みんなこのときを、待ちわびていたのだ。猫だけが持ち合わせているすぐれた忍耐力のありったけで、若いカモメが飛びたいと自分から言い出すのを、待ち続けてきた。飛ぶためには、本人の決心が何より大切だということを、彼らはその叡智で知っていたからだ。」
     自分にはその叡智が、忍耐力があるのか子供たちを思いながら、自問している。

  • じわじわと言葉がしみこんでくる、いい物語だった。猫が飛べないカモメに語る言葉がいい。

    全力で信じたものだけが飛べる。ちょうどそれを伝える物語を探していた。言いたかったことを言ってくれて、じわじわとしびれた。

    海外ものだからか、どこかユーモラス。あとは人間をこきおろす。あとは、みんながどこか夢見がちなところがいい。猫の奮闘する物語は、イッパイアッテナで大好きだったので、それもあって懐かしかった。

    本が読めてしゃべれる猫というのがいい、実際そうなんじゃないかと思わせる猫の何かがある。

    カモメの女の子が可愛い。
    詩人もいい、雨を感じたいということ、空に飛び出したときの気持ちよさは、きっとカモメが知っているもの。だから飛び出せた。飛びたかった。

    気持ちのよい物語でした。

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著者プロフィール

1949年、チリ北部のオバージェに生まれる。アナキストであった祖父
の影響をうけて若くして社会主義運動に参加(祖父の話は『パタゴニ
ア・エクスプレス』に詳しい)73年、アジェンデ社会主義政権を倒し
たピノチェト将軍による軍事クーデタの後逮捕され、南部テムーコの
刑務所に入れられる。二年半の服役の後、アムネスティの努力で釈放
される。80年からドイツのハンブルグに居を定め、そこでジャーナリ
スト・作家活動を始める。89年発表の『ラブ・ストーリーを読む老
人』や96年の『カモメに飛ぶことを教えた猫』がヨーロッパ諸国でベ
ストセラーになり、新しい世代のラテンアメリカの作家として注目を
集めている。

「1999年 『センチメンタルな殺し屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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