フロス河の水車小屋(下) (白水Uブックス/永遠の本棚 260)

  • 白水社 (2025年3月31日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (414ページ) / ISBN・EAN: 9784560072608

作品紹介・あらすじ

運命の激流、許されぬ恋、新訳決定版

19世紀半ば、セント・オグズの町はずれを流れるフロス河と、代々受け継がれてきた水車の周辺を庭にして、トムとマギーは育った。お転婆な妹を兄がからかい仲よく遊ぶ牧歌的な生活は、父がある裁判に負けたことから一変。マギーは質素な禁欲生活を送るようになるが、やがて兄の元学友で父の宿敵の息子フィリップや大好きな従妹の婚約者スティーヴンに出会ったことから、運命がさらに大きく動き出す……。
本書は、夏目漱石が読むべき英国女性作家に挙げ、プルーストやヴァージニア・ウルフなど後の欧米文学に大きな影響を与えた作家の、最も自伝的とされる作品である。マギーに投影される著者の膨大な教養は、既訳書では長い訳註つきで物語が分断される形で紹介されることが多かったが、本書では生き生きした描写、脚注なしでスムーズに読め、心に深く響く。激しく切ない愛の物語、新訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • まったく、ここ最近でトップの面白さだった。マギーはなんという(ここに入るのが魅力的な?悲劇的な?印象的な?)ヒロインだろう。好みは下巻より上巻。色黒で黒い髪がいうことを聞かないで跳ね回る、女の子なのに残念な容姿だと思われている。
    読書好きで利発で夢想家。赤毛のアンがそうであるように、世の女性に愛される要素が揃っている。兄のトムのことが大好きだが、女なんてだめだと言われ金髪美人の従姉妹を贔屓され、報われなさに絶望する。少女マギーが切なすぎる。
    成長してあっと驚く美人になり金持ちイケメン男に言い寄られて葛藤するのは、「結局そっちに行くんだな」という残念感すらあるが、文字通り運命の渦に巻き込まれるラストはドラマチックだ。後半はマギーが前面に出る一方で、前半にラテン語に苦戦したり刀で遊んだり仕事探しに奔走したり、個性的な振る舞いで楽しませてくれたトムが「仇と付き合うのに反対する役」に記号化して姿を消すのは物足りない。
    優れた作家に男女の区別はないのかもしれないが、それでもやはり、ジョージ・エリオットが、女性として女性を描く解像度が高い。兄よりずっと勉強が好きだが、女性だから教育が受けられず、大人になっても自ら生計を立てるのに苦闘せざるを得ない。 金持ち男は好きな女に言い寄れるが、女は品行方正を求められ、悪い噂が立つと街を追われる。 女性の理不尽さに声を上げ自由を求めるエリオットの声が聞こえてくる。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/731904

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著者プロフィール

George Eliot(Mari Anne Evans)1819-1880.
筆名は男性、本名メアリ・アン・エヴァンズという女性。英国小説史における、もっとも傑出した知性、リアリズムの作家と評されている。
彩流社からの邦訳・関連書に『急進主義者 フィーリクス・ホルト』(冨田成子 訳、ジョージ・エリオット全集 6、2011年)、『スペインのジプシー 他2編 とばりの彼方、ジェイコブ兄貴』(前田淑江、早瀬和栄、大野直美 訳, 玉井暲、廣野由美子 解説、ジョージ・エリオット全集 9、2014年)、『牧師たちの物語』(小野ゆき子、池園宏、石井昌子 訳、惣谷美智子 解説,、 ジョージ・エリオット全集 1、2014年)、『ロモラ』(原公章 訳、ジョージ・エリオット全集 5、2014年)、『詩集』(大田美和、大竹麻衣子、谷田恵司、阿部美恵、会田瑞枝、永井容子 訳 ジョージ・エリオット全集 10、2014年)、『サイラス・マーナー [付]ジューバルの伝説』(奥村真紀 訳、清水伊津代 訳・解説、内田能嗣 解説、ジョージ・エリオット全集 4、2019年)、『ダニエル・デロンダ(上・下)』(藤田 繁 訳、ジョージ・エリオット全集 8、2021年)、『テオフラストス・サッチの印象』(薗田美和子、今泉瑞枝 訳、2012年)、『ジョージ・エリオット 評論と書評』(川本静子、原 公章 訳、2010年)、『エドワード・ネヴィル  G・エリオットの少女期作品とその時代背景』(マリアン・エヴァンズ 著、樋口陽子、樋口恒晴 編訳、2011年)、『ジョージ・エリオット 時代のなかの作家たち 5』(ティム・ドリン 著、廣野由美子 訳、2013年)ほかがある。



「2022年 『フロス河畔の水車場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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