旅のなかの旅 (白水Uブックス 1058 エッセイの小径)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560073582

作品紹介・あらすじ

予約などせず、ショルダーバッグひとつ肩にかけ、ふらり気楽な一人旅に出る。ギリシアの海辺で、モロッコの古都で、スコットランドの民宿で、つぎつぎ起こる笑いと珍事、人と出会う喜び、そして別れの悲しみ…。二度と会うことのないはかなさ、懐かしさをこめて追想する、「失われた旅を求めての旅」。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年1月期の展示本です。
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  • 1980年頃、フランスの大学で教鞭をとっていた著者の旅エッセイ。
    京都新聞に連載されたものをまとめたもので、2002年に復刊したという本。

    旅の情報が、本だけにととまらず、映像、ネットで溢れかえる中、このエッセイは一人旅の、キレイごとじゃない心の葛藤まで面白おかしく、でもごまかすことなく真摯に真正面から描かれていて、心に残る言葉がいっぱいつまっています。

    一人旅って心細くて、自分の弱さや思いもかけない大胆さを実感することができるので、一度やるとクセになる。

  • 旅に出ない人間が旅をすることを考える。本を読もう。それなら別に旅の本でなくてもよいのだが(本の中ならばどこだってゆけるでしょう?)、たまには旅をしたひとの話も聞きたくなる。

    自分の人生においてほんの一瞬しか出会わなかったのにも関わらず、こころの中になぜか強く残ったり、あるとき突然鮮明に思い出すようなひとびとに、旅をしているとよく出会う。そういうことを思い出した。自分の中のそういうひとびととともに。

  • 凡庸ゆえのユーモア。そんなものが溢れている。

    すれ違うだけのような様々な人々とのかすかなふれあいが
    余計に心に響いて、なんとなく美しいなとか思ってしまったり、
    妙なところで意固地になって「自分」を通そうとしてしまったり。

    旅の風景などではないが、旅情はある。
    旅情を求めようとした時のあのあてどもなさといったら!

    パリ発、ヨーロッパのはしっこ行き、中年日本人の旅。

  • 旅の前は興奮と緊張で胃がきゅーっと縮む。/この興奮は、食べ物とか風景とかへの数々の期待。これまでの楽しかった旅の記憶があれこれ浮かんで、眠れない。緊張は、この旅を本当に楽しむことができるのかどうか。この抜かり無く計画した旅行がうまくいかなかったらどうしよう、旅先での人との楽しいふれ合いがなかったらどうしよう、と強迫観念のように思ってしまう。というのも以前父に、姉は出不精だけど旅先では俄然元気になって楽しむタイプ、私は行く前は大興奮しているけど行くと疲れてしゅーんとしちゃうよね、と言われたことをねに持っているから。/もちろん万事がそうなわけじゃないし、それはなんというか家族の中で繰り返されるいつもの冗談だったのに、私ってすごくソンな性格じゃない? と不安に思ってしまった。旅に出てしまえばすっかり忘れてしまうけど、旅先でしゅーんとなってしまう自分というのはちょっとした恐怖だ。だから、山田稔「旅のなかの旅」を読んだ時は、びっくりした。「日程も組まず、宿も定めずにある日ふらりと旅にでかける。その自由さと不安な気分とが、おそらくわたしにとって旅の魅力の大半を占めているのだろう」と、冒頭からいきなり「不安」という文字が出てくる。しかもそれが魅力だと。それってなるべく味わいたくない、避けたいことなのに。確かにこの人の旅は緊張の連続で、読んでいるこちらの胃がきゅーっとなってしまう。実際にはモロッコやギリシアで緊張したり、くよくよしたり、恥ずかしがったり、結構つらそう。なのに、それを魅力といってしまう筆者の大らかな姿勢やユーモアが面白い。読んでいるうちに、そうだよなあ楽しいばかりの旅なんてあじけないじゃんという気になってくる。まだ自分から求める域まではいかないけど、後で話のたねになるという余裕ぐらいは持てるかもしれない。/(かさねvol.06「旅のなかの緊張」いね)

  • 何度も書棚から取り出してはいるのだけれど、もったいない本。

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著者プロフィール

1960年、長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長などを経て独立。編集工房レーヴ代表。
東洋経済オンラインなどに経済、社会、地方関連の記事を執筆。信州育ちもあり、30代から山の世界にはまり、月に3回は山歩きを楽しむ。山の著書多数。

「2022年 『60歳からの山と温泉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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