縞模様の歴史: 悪魔の布 (白水Uブックス 1074)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560073742

感想・レビュー・書評

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  • 縞模様、
    中世では排除された者(売春婦、道化、死刑執行人)の服に、
    近世では従属的な者(給仕、軍人)の制服に、
    近代では仏トリコロールのように意味が反転し、衛生の機能も付加、
    海のイメージも付いて良化する。
    縞模様の発展形態、面白すぎ。

    シマウマとは、
    ヨーロッパ人が長いあいだ断言してきたように
    黒い縞をもつ白い動物なのだろうか、
    あるいは、アフリカ人がつねに認識してきたように
    白い縞をもつ黒い動物なのであろうか・・・

    縞模様の曖昧さ、困惑させるものとして
    シマウマの引用で結ぶ見事さ。

    そして、著者が縞模様フェチすぎて(笑)
    ブリューゲルの「十字架を担うキリスト」
    『観る者の目はまずこの縞模様の農民に目を向ける』って、
    誰もそこまず見ないって(笑)。





    メスキータ展では動物版画シリーズの白眉が「シマウマ-1918」であった。
    「シマウマっていうのは生きている木版だ。そのシマウマをもう一度木版にすることは自制しなくちゃいけない」とエッシャーはメスキータ本人から聞いていたらしい。後日、メスキータ自身が描いたシマウマの木版を見たエッシャーはとても驚いた(笑)。
    でもでも、である。版画を見ると、そのシマウマの縞模様のラインがとても優しいのである、これがまた。草を食むシマウマが柔らかく見えて、けっしてモノクロの切り絵のようなシンプルな白黒ラインではない。

    そこで、以前読んだ書籍「悪魔の布-縞模様の歴史 ミシェル パストゥロー著」を思い出した次第。

    詳細はコチラ↓
    日本初の回顧展として評判のメスキータ展と東京ステーションギャラリーの東京駅建造史で秘められた東京駅の建造物語を知る
    https://jtaniguchi.com/%e3%83%a1%e3%82%b9%e3%82%ad%e3%83%bc%e3%82%bf%e5%b1%95%e3%81%a8%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e9%a7%85%e5%bb%ba%e9%80%a0%e7%89%a9%e8%aa%9e/

  • テーマ史

  • 立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』
    もともと、西欧で縞模様の服を着せられていた人は、何らかの意味で疎外・排斥された人たちだった。縞模様考現学。

  • 面白い本が世の中にあるもんだわ。

    すげー良かったわ。個人的に。


    わたしは絵を描きますが、シマシマ模様が好きなんです。
    縦縞も横縞も好き。

    自分の絵に合っているというか、「似合う」そういうレベルじゃなくて、「ここにはこの柄しか入り得ない」というような感じの「合う」。


    目の錯覚とか、曖昧さを求める節が強かったのだけど、

     中世欧州では悪魔的なもの。
     遡ると従属的なもの。

     現代ではその傾向は薄れたけれども、
     囚人服のイメージ、危険の印など、否定的なものを喚起するものとして現代にも引き継がれているものもある。


     というところに惹かれた。

     
     

  • 異端だった時代があったと知った。

  • 縞模様と聞いて最初に思い浮かんだのはシマウマだが、布としての縞模様といえば、お洒落な縦のストライプ柄や、カーテンなどに用いられるツートンカラー。ネクタイに斜めに入る二色の縞など、
    縞模様は、何の違和感もなく私たちの生活の中に溶け込み、ファッションとして、インテリアの一部としても活躍している。
    そんな縞模様が、中世ヨーロッパでは、異端のシンボルとされ、それを身につけるということは、社会から除外、または排斥された人々であると、一目瞭然に判別できるものとして利用された。
    どのような人々が、縞模様を身につけることを強要されていたかというと、
    私生児、農奴、受刑者、売春婦、旅芸人、道化、死刑執行人、らい病、障害者、ジプシー、稀に、ユダヤ人や非キリスト教徒、強制ではないが、アフリカから連れて来られた黒人。
    動物に関しても、縞や斑点のある毛並みの獣は警戒すべき対象であり、トラや豹、蛇などは恐れるべき生き物とされた。その概念は、18世紀でも息づき、ジェヴォーダンの魔獣も縞模様の巨大なる獣ということになっている。
    ヨーロッパの人々が、この縞模様に関しての歴史を朧気ながらも知っているのかどうかわからないが、新しいファッションを生み出すパリや、ミラノでも縞模様は氾濫し、パリのオペラ座の近くにあるパレ・ロワイヤルの広場には、縦のグレーと白の高さの異なる円柱が、古い建物との景色に浮き立つように立っている。
    現代では、ヨーロッパでも縞模様に対する偏見はなくなっているとみてよいのだろう。
    しかし、このような史実を知ることにより、パレ・ロワイヤルの円柱を見るのも感慨深くなるし、西洋絵画に描かれている人々の衣類も違った見方ができるのではないかと思う。
    ミシェル・パストゥローの書物を読むのは、『王を殺した豚 王が愛した象』に続く二作目だが、彼がシュールリアリストのアンリ・パストゥローの息子であることをはじめて知った。
    紋章学、歴史学、歴史人類学、動植物学などを研究対象としており、その視野は広がりつつあるという。

  • 面白そうなタイトルに惹かれて購入。
    案の定、面白かった。

    西欧社会における縞模様の持つ意味論が中心。
    ボーダー、ストライプがどういう意味で使われてきたか。
    指摘を受けるとなるほどと納得できる。
    囚人服のイメージがボーダーなのには歴史的背景が大きく影響しているとは。

    ファッションとして肯定的に見られるようになってからの歴史が浅いというのは意外だった。

  • ●構成
    縞の秩序と無秩序
    第一章 縞模様の衣装をつけた悪魔(十三~十六世紀)
    第二章 横縞から縦縞へ、そして逆転(十六~十九世紀)
    第三章 現代の縞模様(十九~二十世紀)
    --
     例えば服には様々な模様がある。柄物、チェック、市松模様、そして縞。普段我々は、模様の意味までは気にしない、むしろ意味があることさえ思わないのではないだろうか。
     ところが西欧では、研究がなされている範囲では中世から現代に至るまで、服の模様ごとに重要な意味が付与されていた。さらにそれは、服に限ったことではなかった。
     本書では、特に服について中心に、縞模様の服にはどのような意味があり、しかもそれは着用する人間にまで及ぶことを、数々の例で示している。還元すれば、その人間の社会的な立場――例えば中世においては罪・傷害・宗教的異端者・低級な職業・不名誉な職業など、聖に対する悪魔の領域――を、縞模様の服によって可視化、明確化し、さらにはそうした立場を強制的に受け入れさせることとなった。
     縞模様の意味は、時代によって少しずつ変容してゆく。現代では、縞模様に親近感をもち、あるいはスポーツにおけるユニフォームの縞模様のように誇りに思うことすらあるだろう。とはいえ、現代においても決して縞模様による逸脱・異様・否定・警戒の意味が消滅してはいないのである。
     前述のとおり本書は西欧世界における縞模様の歴史を綴っているが、他地域については言及していない。ところで本書では、現代のフランスでは赤と白の縞模様が警戒を意味することが記されているが、周知のとおり日本において赤と白の縞模様はハレの模様であり、フランスとは相反する意味を帯びている。こうした逆転は、例えばルイス・フロイスの日欧比較のように枚挙にいとまがないであろう。著者はこの問いにどう答えるか、とても興味深い。
    --
    【図書館】

  • 今現代じゃ、特殊でもなんでもない縞模様
    それが中世じゃ悪魔の布かぁ…モーレツに面白そう…でもないけど、縞模様だけに焦点を絞ってるのが気になってた本なんす。
    図は少なめ=本自体が薄めのハードブック

  • 縞模様の歴史学というニッチな着眼点は良かったのだが、疑問や問題提起に終始し、何ら目新しいことは得られなかった。囚人服に代表される侮蔑の対象という性格、またユニフォームやピエロなど道化の性格。

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著者プロフィール

1947年生まれ。フランス高等実習研究院第4部門名誉教授。色彩をはじめ、縞模様、動物や植物をめぐる歴史人類学の第一人者。著書多数。以下が邦訳されている。『縞模様の歴史』(白水社)『ヨーロッパの色彩』(パピルス)『紋章の歴史』(創元社)『青の歴史』(筑摩書房)『王を殺した豚、王が愛した象』(筑摩書房)『ヨーロッパ中世象徴史』(白水社)『色をめぐる対話』(柊風舎)『熊の歴史』(筑摩書房)

「2018年 『ピエールくんは黒がすき!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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