韓国古典文学の愉しみ (上)

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560080573

感想・レビュー・書評

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  • パンソリをもとにして纏められた小説。
    春香伝
     半両班の春香は両班の息子の李夢竜と夫婦の誓いを交わしたが、都に戻った夢竜からは便りがなく、新たな府使からは妾になれと言われ、拒絶すると牢屋に閉じ込められた。二人の愛はどうなるのか。
    沈清伝
     盲目の父への孝行を極めた沈清の物語。僧から開眼できるといわれて三百石もの米を寺に奉ると約束をした父のために、海に身を投げて海神を鎮める役を受けた娘の身の上はどうなるのか。

  • ☆春香伝について
     こちらはつい先頃、見た映画「春香伝」とまったく同じ内容で、イム・ガァンテク監督が世評どおりに原作に忠実に映画化したのだと改めて判った。
     これまでに「春香伝」のドラマ化・映画化された作品を幾つか見たが、それらは原作をかなり大胆にアレンジしたものである。現実としてパンソリから小説化もされた「春香伝」はその内容も微妙に異なった異本がたくさん存在するとのことで、色々な「春香」が存在してもありなのかなと改めて感じた。

    ☆「沈清伝」について。
     こちらもかなり前に映画化された「帰って来きたシムチョン」というタイトルの作品を見ていたので、その存在は知っていた。ただし、今回初めて原作を読んでみたところ、両者の違いがよく分かった。
     原作では海に身を沈めたシムチョンが竜宮にいき、更には花に包まれて地上に戻ったところ、珍しい花ということで王様に献上されて、花が開いたところで王様と出会いシムチョンが王妃となった―と描かれている。しかし、ドラマでは竜宮城も花も出てはこなかった。(ただし、随分前の記憶なので、記憶違いもあり得る)。
    この竜宮城の部分は私的には「浦島伝説」、花に包まれて、花が開いた所にシムチョンが現れて王様と出会うという部分は「親指姫」を連想させた。両者の繋がりについてはよく判らないけれど、映画の中にこのお伽話、寓話めいた部分を入れなかったのは、敢えて映画のリアリティを大切にしたからではないかと思える。
    最後の「沈清伝」についての解説で、インドや日本にも「沈清伝」と激似した伝承があると書かれていた。
    インドで生まれた「沈清」伝承が朝鮮半島を経て日本に伝来したという説はとても興味深く感じられてならない。
    「春香伝」も「沈清伝」も、私は先に映像で見て知っていたわけだが、今回初めて原作小説を読んでみて、とても良い勉強になったと思う。
    最初は読了できるか心配だったものの、前にも書いたように韓流時代劇を見る感覚で、とても読みやすく楽しく読めた。
     

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