14歳のアウシュヴィッツ ─ 収容所を生き延びた少女の手記

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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560081716

作品紹介・あらすじ

アウシュヴィッツに送られた少女アナは、日々収容所で目にする出来事を、ノートや紙の切れ端、トイレットペーパーなどにひたすら書きとめていく。奇跡的に持ち返られた貴重な資料。『アンネの日記』と対をなす、歴史的証言。

感想・レビュー・書評

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  • これ本当にナチスの強制収容所に入れられたユダヤ人が書いたの?ってぐらい怒りに満ち溢れている。今まで読んできたユダヤ人が強制収容所での生活を綴った作品とはだいぶ毛色が違う。ブラックユーモアなのかなんなのか私には分からなかったし読みづらかったけど、自分たちユダヤ人を『もしかすると私たちは新しい種族では?それもドイツ人にか発見できない種族。人間とモノの間のなにか』と書いてるところが刺さる。14歳の少女にここまで思わせるもの、それがホロコーストか、と恐ろしくなる。

  • なんとまあ、痛々しいというか、言葉もない。
    本当にひどい時代だったんだな。
    一番の問題は食糧事情、衛生事情。
    ムダな労働をさせられていたようだ。
    20世紀のヨーロッパでの出来事とは思えない。
    まだ100年も経ってない。

  • 後半に渡って何かにつけてはパンツに関する話題が多かったなということを後で思い出しました。14歳の少女が経験した強制収容所という地獄。その中でたくましく生き残っていく姿がとても胸を打ちました。

    本書はアウシュヴィッツなどの強制収容所を転々とした14歳のハンガリー系ユダヤ人少女が書き綴った記録です。我々には想像すらできないあの苛酷な環境の中でこの手記がノートの切れ端、あるいはトイレットペーパーにまで綴られ、それが失われることなくこうして世に問うことができたのは、本当に奇跡であるとしか言いようがありません。

    彼女はあのアンネ・フランクとは同年代生まれだということで、『アンネの日記』の終着点からスタートし、「その後」を書き残したともいえるのだと思います。作中でもことあるごとに描かれているのですが、収容所内で書かれて、彼女たちを監視している人間はもちろんのこと、同じ収容所にいる囚人仲間にすら日記の存在は隠し通さねばならず、彼女と親しくなったカポ(囚人たちを監視する看守)の特別な計らいによって秘密裡に持ち出せたということで、ナチス・ドイツの強制収容所内でのあけすけなまでの人間模様を知ることができるのです。

    本書の最大の特徴といえるのは、あらゆる悪態とブラックジョークのオンパレードで、ところどころに思わずニヤリとさせられつつ、ページをめくっておりました。彼女の筆の攻撃先は収容所の幹部たちに対してはもちろんのこと、同じユダヤ人の収容所仲間に対してもふんだんに向けられており、その悪口雑言の数々は恥部を抉り出すようなものがあり、その点にはおかしみを感じつつ、複雑なものを感じておりました。

    中心となって記されているのは女囚たちの日常で、実際に彼女たちにムチをふるうカポをはじめとする中間管理職たちや、虐げられた環境の中でいかに他人を出し抜くか、それによって生きるか死ぬかということが彼女たちに重く覆いかぶさっていたというなんともやりきれないことがつぶさに記されております。ひたすらうまく立ち回って生き延びようとする「ファルク三姉妹」筆者たちに「フィン族」と揶揄されながらも固い結束力を持つマラムレッシュの女たち…。それでもあっさりと生きる意志を放擲して死んでいく人々もその中で多かったということも忘れてはいけないことでした。

    しかし、その鋭い眼差しの一方で14歳の女の子らしい言動、たとえば気になるカポに対する淡い恋心と普段、自分たちを管理していることへの苛立ちというアンビバレントな思いを記していたり、靴や服の配給があったときには、それらでささやかながらも目いっぱいお洒落を楽しんで見たりと、そのたくましさと等身大の女の子らしさというものが同居しているのも、彼女並びに本書の魅力のひとつであると考えております。

    彼女が置かれた環境や運命は、文字通り悲惨の極致なのですが、それを笑い飛ばすようなある種の「強さ」を感じさせるものがあって、とても面白うございました。

  • 著者がアウシュヴィッツ収容所にいた当時-14歳の頃に書いた手記を本にしたもの。
    この日記が唯一、収容所から持ち出された日記だそうです。

    タイトルから大体の内容は想像がつくので覚悟して読み始めました。
    この本の中には読むには耐え難いようなつらい事も書かれているのだろうと・・・。
    確かにその通りでした。
    人がモノのように扱われ、そして殺されていく・・・。
    それなのに、何故か読んでいて何も感じない。
    むしろ悲しみや怒りの替わりに疑問ばかりが浮かびました。

    これ、本当に14歳の少女が書いた文章?
    それにしてはあまりに世慣れた人間が書いたような・・・。
    そして、自分の仲間が次々と殺されていく、または虐待されているというのにこの淡々とした文章は何だろう?
    まるで生きた人間を劇の登場人物のように書いている。
    同じ血をもつ民族への慈しみとか労りのようなものがここからは感じられない。
    そのように感情をなくさないと生きられない状況下にいたという事だとしても・・・。
    そして、何故こうなったという事がとても分かりにくい。
    本人は正にその中にいる訳だから分かりに切ってる事は書かないわけで、収容所の中のことや習慣をほとんど知らない人間にはイメージしにくい文章。
    日記だからそれは仕方ないとは思うけど・・・。

    また14歳という記憶力の優れた頃に書いたとは言え、ここまで会話などを事細かにちゃんと覚えているものかな?
    さらに言うと、この本はかなりページ数の多い本ですが、それをノートや紙のきれっぱしなどに書いた場合、かなりなボリュームになるはず。
    そんな日記をよくあの中でなくさずにもっていられたものだと思いました。
    持ち出せたのは奇跡だと書かれていますが、確かにそうだと思います。
    さらに穿った事を書くと、本書に石工が出てくる場面があり、それを見てもしや何らかの力が働いてるのでは?とそこまで考えてしまいました。

    まあ、そんな風に考える私の心が一番くすんでるのだと思う。
    この本を読んでそんな見方をする人はほとんどいないだろうと思います。
    この本は著名な作家に絶賛され、現在、スペイン、ルーマニア、チェコ、オランダ、アメリカといった国々でも出版されており、著者は「ルーマニアのアンネ・フランク」として知られているそうです。

  • 帯文:"『アンネの日記』と対をなす、歴史的証言" "ノートに記された、極限での日常"

  • 女の子っていうのは、なんて賢くて強くてかわいいんだろ! こんな状況においてさえ! 人間はすごい。「少女」というのは特別な時代なのか? 

  • 1944年6月から9月までの4ヶ月間、わたりあるいた収容所で書かれた手記。映画の「シンドラーのリスト」にもでてきた収容所もでてくる。こういう本に対しておもしろいとかつまらないとか言ってもいいものだろうか、読んでてかわいそーーとかそういう印象はうけなくて幹部やら囚人仲間についておもしろくおかしく語っている。おもしろくはないんですが。
    タイトルからもわかるようにこの作者は解放され2010年に没してますが、こういうところに入れられて、生き残るひととそうないひとの違いってなんなんでしょうね。

  •  14歳が書いたらしいが、14歳のわが子には読ませたくないなぁ・・・。

  • 図書館新着。あのとき言っちゃいけなかったユダヤ人同士のワルクチなどなどもつづられた、ちょっとゴンタな少女の日記。ざっとしか読んでないけどそういう事実があったってこと。アウシュビッツのどんな真実も受け止めたい。長く伸びていく引き込み線の真実を。

  • 図書館から借りました。
    本当はちゃんと読むべきなんでしょうけど…。
    あの状況(といっても、想像するしかないのですが)で、文章を書くということだけでもすごいこと。
    想像を絶する状況で書いた文章なので、細切れになるのはしょうがないことでしょうが…読み続けることは私には困難でした。

    いつか再チャレンジするかもしれません。

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