- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560082447
作品紹介・あらすじ
首都・東京の都心部とその近郊から県庁所在地、全国各地に分布するさまざまな顔をもつ中小都市に至るまで、人間の長らく居住してきた土地を、詳しい地形図で時代を追って「定点観測」。さまざまな街の歴史から「日本のかたち」を浮かび上がらせる。谷津、鹿手袋、長町、戸越、砂町、立川、堺、博多、芦屋など全28景。
感想・レビュー・書評
-
このテの本はだいたい東京だけ、大阪だけなど限定的なパターンが多いものだ。しかしこの本は京都のみならず名古屋、武蔵浦和、習志野、横浜、仙台、尾久、川崎、博多などバラエティに富んでいる点が素晴らしい。
一冊で様々な土地の変遷や由来を知ることができ、どれも非常に頷けるものばかり。トータルバランスに優れる良書。
地図好きや土地にゆかりのある方はは一回手にとってみてはいかがだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今尾氏お得意の定点地図比較の本です。
一万分の1の地図を使用しているので、銭湯や交番などの
場所も今と昔で確認することができます。
千葉や川崎の海岸線などは、同じ場所とは思えないくらい
の変わりようです。
そんな地形の移り変わりを「見てきたかのように」実感
できる一冊です。 -
歴史
-
明大前の記述がやたら丁寧と思ったら明大OBの著者であった。
武蔵小杉では法政には一言も触れず… -
紹介されているのは著者が興味を持った場所でしかないが、これがまた秀逸。非常に面白い。今尾恵介さんの本ではピカイチではないか。
-
2012年10月刊。
サブタイトルは「定点観測でたどる街の風景」。
サブタイトルの方が、本書の内容をよく表しています。
登場するのは、西新宿、多摩湖畔、立川、横浜、明大前など、全国28の街。
明治から平成にいたる街の移り変わりを、1つの街につき3〜4枚の時代の異なる詳細地図(国土地理院発行の1万分の1地形図)を使って定点観測している本です。
土地勘のある場所の昔の姿を知るのは、とても面白いですね!
「ブラタモリ」に出てくるような江戸時代の古い地図ではないので、あちこちにまだ昔の痕跡が残っているのが分かったりして、新旧の地図を見比べるのが楽しいです。
西新宿の新宿パークタワーがある場所には、かつて2つの大きなガスタンクが。
初台の東京オペラシティと新国立劇場には、長楽寺というお寺と工業試験場が。
「どこが変わったのか」「どこが変わらずに残っているのか」を比較するのが好きな私にとって、このような地図の比較は大好物です。
ページを何度も行ったり来たりしながら読んだので、読むのに予想以上に時間がかかってしまいました。でも楽しい。
表紙を見るかぎり、昔の地図も現物はカラー刷りのようですね。
欲を言えばカラーで収録してほしかったところですが、それは贅沢ってものですよね…。
以前読んだ、同じ著者による『多摩の鉄道沿線古今御案内』(2008年刊) も面白かったので、今尾恵介さんの今後の本にも注目したいと思います。
http://nishi248.blog60.fc2.com/blog-entry-1110.html -
知っている土地の項目を中心に読んだ。
面白いと感じていた地名について、その理由について理解できた。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:210.7//I46
-
映画「Always 三丁目の夕日」のような近過去を回顧する風潮は諸外国には無く、都市の改変が激しい日本独特の風潮であると川本三郎が述べていた。本書は正にそれを地で行く内容である。それほど大規模なものでなくても、よく街で新しい建物や店舗を見かけると、あれ、ここは前はなんだったっけと考える事が多い。そんな時、過去の地図を眺めることでその疑問は解消される。今までも古地図に関する本は読んできたが、それらは昔と今でその間はあまり語られることがなかった。本書はその間を語っているところが肝と言える。
-
西荻窪に住んで既に30年余りになるが、駅前なども土地が無いのでロータリーやバス停を含め余り変化が無いように思えるが良く気を付けて見れば随分と街は変わっている。先日は昔住んでいた善福寺公園の周りを散歩して見たら、かつては大きなお屋敷だった場所もいつの間にか切り売りされて住宅になっていたりするしな。でも所詮はここ2-30年の記憶しか無いのでその昔がどうであったかは知るすべも無い。
本書は古くは大正時代、昭和初期、高度成長期、平成期に発行された地図をベースにいかに一つの街が変遷していくのか具体的にまた詳細に定点観測して見せるもので何とも興味深いものだ。かつては田甫だったものが大きな工場になり、そして更に住宅地化の流れに押され工場も消えてマンション群になったりしているのが地図から読み取れる。
こんな場所もある。大正10年の地図には京王電気軌道が開通していた都内西部地区「くわやくこまえ」なんてのがあるのは何処の街だろう?なんとこれが今の「明大前」のことなのだからビックリ。起源は江戸幕府の煙硝蔵で、明治維新後に陸軍に引き継がれ、第一次大戦後の軍縮のながれで大正13年に廃止されるまで存在し、その後土地は明治大学と築地本願寺に払い下げられ、それぞれ大学と和田堀廟所になっているという。
明治、大正、昭和、平成と時代は移ろうがそれらを追っていく街の変化はまさに歴史の変遷という感が強く感じられる。古地図というと江戸時代のものばかりが注目されるが明治以降の地図ももう少し良く見てみると面白いのかも知れないし、つい昨日のような昭和の時代の地図も今は消えた何かが再発見できるかも知れない。
それにつけても地図は楽しいのだが如何せん地図の中の文字が小さく厳しい。老眼が進行しているのを改めて痛感してしまったようだ。