楕円の江戸文化

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  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560082874

感想・レビュー・書評

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  • 第一部の、いろはかるたから、江戸の庶民と上方(京都)の思想のあり方(生活感の有無)を比較検討するという試みは興味深く読みました。

    例えば「ほ」について(P.31~)。
    骨折り損のくたびれ儲け
    苦労ばかりして儲けにならず、ああ損をした、という嘆きである。しかもそのことを損と儲けと並べていうのがおかしい。損害=骨折り、利益=くたびれのように。…ことわざはいう。「くたびれ」という儲けがある、と。…一心に力を尽くして努力したことは貴重な経験となって、次のチャレンジに役立つだろう。…一方、「ほ」の上方かるたは「仏の顔も三度」だ。人の情けにすがるにも程があるという話だから、こちらには甘えがある。頼るべきものがいるとはさすが上方と、皮肉られる面もあるのではないか。

    また、「う」についての「嘘から出たまこと」では、そもそも「うそ」とは「あそ」と同じでぼんやりとした、漠然としたことをあらわすことであるとわかる。
    ここでいう「うそ」とは、真実の周辺にあるぼんやりとしたもののことをさし、「虚偽」の内容を示す言葉ではない、という筆者の主張には感じるものがあります。

    さらに、第二部の江戸時代の思想家についての部分では山本常朝の『葉隠』に言及して武士道についてのべられている部分もあり、「死ぬこととみつけたり」の解釈をしっかりと述べられていることも好印象でした。


    しかし、第一部では全体的に「江戸」が生活の知恵にあふれていて「良い」ものであり、「上方」は格好にこだわり実体験を伴わない、上っ面なものであるという終始一貫した、ある種感情的な批判が目につき、もう少し客観的な視点からより詳細に分析して頂けた方がより面白く読めたかと思います。
    第二部の各思想家についての評伝は、どうして本書に入れられたのか、いまいち分かりかねる部分です。
    取り扱う人が多すぎて、一人ひとりの内容が少なくなってしまったのも不完全な感じがします。

  • 江戸

  • 江戸と京・大阪の上方、中心を二つ持つ江戸時代は楕円国家であるという。江戸文化にどう影響したのか、その魅力と特徴は?「いろはかるた」に隠された民衆の知恵は、目からウロコです。
    The Edo era is described as an elliptical nation because there were two major metropolises, Edo and Kamigata. How did the fact influence the Edo culture? What was the features and charms of it? You will be surprised in the hidden wisdom in "Iroha Karuta"!

  • 私達の身の回りにある「ことわざ」について意味はもちろん、先人の知恵、教えとして考え、それについてあれこれ意見をしたとても面白く読みやすい一冊です。これを読めば、今まで知識だけだったことわざも意味を正しく理解して使用できるようになるでしょう。
    (教育学部 国語専修)

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著者プロフィール

中西進(なかにし すすむ)
1929年、東京生まれの日本文学者、比較文学者、万葉学者。奈良県立万葉文化館名誉館長、池坊短期大学学長など多くの経歴を持つ。1964年『万葉集の比較文学的研究』で第15回読売文学賞、1970年日本学士院賞で『万葉史の研究』、1990年『万葉と海彼』で第3回和辻哲郎文化賞、1997年『源氏物語と白楽天』で第24回大佛次郎賞をそれぞれ受賞。他にも、万葉集研究の大家として多くの業績があり、『万葉集 全訳注原文付』(講談社文庫)の作品がある。

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