変わるエジプト、変わらないエジプト

  • 白水社
3.73
  • (3)
  • (3)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 58
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560083253

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ☆著者の母は日本人 ユーチューブで楽しむエジプト http://www.hakusuisha.co.jp/08325 リンク切れ? ふむ

  • 父親がエジプト人、母親が日本人で、父親は前妻を亡くした再婚のため、生粋のエジプト人の腹違いの兄姉がいる、という変わった家庭環境に生まれ、日本とエジプトの両方で暮らした経験を持つ著者が、独特の視点で『アラブの春』前後のエジプトについて語った一冊だ。

    政治的な要素の強い読み物かと思っていたら、エジプトの詩編、音楽、踊り、食、さまざまな文化が語られていて面白い。

    訪れた日本人も多いはずの国なのに、エジプトの文化やエジプト人のメンタリティーはあまり日本では知られておらず、はじめて見聞きするような話が多かった。

    エジプト人がユーモアやジョークを大切にするメンタリティーを持っているということ、だから風刺が好きなこと、ムスリムとキリスト教徒には微妙な緊張感があること、詩編が現代もなお愛され大切にされていること、同じムスリムの中でも様々な思想の違いがあること、同じアラブ諸国の中でも協調していく難しさがあること。

    日々の生活にまつわる話も面白かったが、やはり革命や宗教の対立など社会問題に関する著者の言葉は興味深く、強く引き付けられた。
    特に、エジプトの革命を、エジプトではどのように捉え、どうしてこうなっているのか、という語りについては、もちろん師岡氏の私見が混じっているのは理解しても、通り一遍のニュースではわからない『エジプト』の姿を表していると思う。

    中でも、革命後に選挙で選ばれたはずのムルスィー政権が軍によって倒されたのは「やらないと約束したことを執拗にやったからだ」というくだりには、なるほど、と思ったし、様々な思想、宗教(ムスリムの中でも宗派や考えの違いがある)を持つ国を統べて率いていくことの難しさを感じる。
    おそらく正解がない上に、中庸を旨とする日本人から見ると非常に国民性が極端に感じられるのだ。エジプトから見れば日本人がどっちつかずに過ぎるのだろうけれど。

    この本が刊行されてから数年が過ぎ、残念ながらエジプトの混迷はまだ解消されていないように思う。
    かつては日本でも人気の観光地だった国も、今はまだ訪れることに二の足を踏む人は多いはずだ。
    しかし本作を読んでいると、エジプトの文化や人の面白さが伝わってきて、いつか行ってみたい、という気持ちを新たに持った。

    これからのエジプトがどう変わっていくのか、また新たに著者の視点で語ってほしいと思う。

  • 「アラブの春」の一環であるエジプト革命(ムバラク退陣)前後のうねりFacebookやTwitterによるデモ呼びかけ。そんな書き込みにも笑いの要素を忘れないのがエジプト人の国民性だという。
    あわせて紹介される、食べものや歌など文化面の話題。タラブ=陶酔という価値基準。厳格なイスラム教の国でありながら、セクシーなオリエンタルダンス(ベリーダンス)やファラオへの帰属意識、キリスト教徒との距離感など複数の要素を抱え、それらを包括する文化のありよう。
    出版社のサイトに、本文で触れられた音楽や画像のリンク集がある。
    http://www.hakusuisha.co.jp/smp/news/n12286.html

  • 読書日:2016年1月8日-16日
    身近に中東の友人もしくは知人がいないので、新たにEygptについて知識が増えました。
    今までこの国の印象は以下の通りです。

    クレオパトラ女王が統治した国、首都はカイロ、ナイル川、古代文明に於いて繁栄を極めていた、宗教はイスラム教

    ですが、英国に支配されたいた時期の影響からか少数ではあるけれども、キリスト教のEygpt人達もいる事等が知れました。
    中でもEygpt人に対する印象が変わったのが、humorが好き、冗談が好き等大阪市民の私にはとても好感が持てました。

    日本人の母とEygpt人の父から生まれた著者ならではの説得力があり、面白く読めました。
    読んで良かったです。

  • 雑誌で紹介されていて気になって手に取った本です。

    エジプトはおろか、現代アラブ世界についてのエッセイ(本書がエッセイというくくりで合ってるのかわかりませんが)というのを初めて読みました。
    あとがき部分で著者自身も言及しているように、エジプト人と日本人のハーフで、エジプト生活も長かった著者。エジプト、アラブ、そしえイスラムにどっぷりつかっていながらも、それらを客観的に観ることのできた著者だから書けた一冊だなぁと読み終わって改めて思いました。
    エジプト人のふだんの暮らしや、メンタリティが親しみやすい文章で書かれていて、とても読みやすいです。また、一連の”アラブの春”のなかで、エジプトに起こったことについても何度も言及されていました。ムルシ大統領が、やると言ったことをやらなかったから追放された、のではなく、やらないと言ったことをやったから追放された、と述べていらしたのがなるほど~ととても納得できました。

    日本や欧米の情報源からは適切に知ることのできない、アラブやイスラームの姿を少しだけですが垣間見れてとても面白かったです。いろんな世界について知ることの面白さを改めて教えてくれた一冊でした。

  • 焼きたてのパンが路上で売られていて、それを買う時の売り子との駆け引きが面白いですねぇ。多様性に富むパンの外見・触感などの描写も素晴らしいです。〜「パンとは生きること」より。

  • 師岡カリーマ・エルサムニー『変わるエジプト、変わらないエジプト』白水社、読了。11年の政変以来揺れ続けるエジプトについて私たちはどれだけのことを知っているのだろうか。ピラミッド? イスラーム? 最も歴史の長い地域のことを殆ど知らないのではないだろうか。そんな時手に取りたい一冊だ。 http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08325

    日本とエジプトの血を受けた著者が「ふつうの人々のライフスタイルや芸能人、文学、風俗を通じてエジプトという国の真髄に迫ってみよう」とする試みだが、読み手の期待以上にエジプトの実像を伝えてくれる秀逸な一冊。

    古い歴史とイスラームの伝統、そして独裁政権の連続。点と点ではみえないエジプトの姿を、著者は慈愛を込め、時には厳しく描き出す。「エジプト文化は花ではない」「ユーモラスで、楽しくて、人間臭い文化」である。

    エジプトとは詩歌の国。アラビア語の美しいリズムと韻が庶民の生活に息吹くことを本書で初めて教えられた。タリハール広場で展開するデモ映像では伝えられない「ジョークの闘い」がエジプト人の闘いである。

    キリスト教徒とムスリムがデリケートに共存する様子を描く「ハサンの十字架とモルモスの新月」の章は印象的。映画を素材に、現在の複雑な対立構造が一義的なこと、そしてコメディーで対立から融和へ導こうとする人がいること。

    本書はエジプト社会の現在を過不足なく等身大の実像として描きだす秀逸な一冊。エジプトに関心のない人にも手にとって欲しい。百以上知る人間が十を丁寧に描く一冊。文章もユーモラスでテンポ良い。新年からいい本読みました。

  • 相変わらずお美しいカリーマさまの新刊。
    やはりエジプトの政治のことが一番印象に残った。

  • 2011年の革命から現在に至るまでのエジプトの動きを追ったルポルタージュ。エジプト国内複雑です

    詩や歌が多かったので、本にするよりドキュメントムビーにしたほうが良かったんじゃないかな?

    フランス革命のときと同じように一回の革命でなんでもうまくいくってわけじゃないんだよな〜

    著者(師岡カリーマ・エルサムニー)さんがホント美人。慶応いこうかしら

全9件中 1 - 9件を表示

師岡カリーマエルサムニーの作品

ツイートする