ことばはフラフラ変わる

  • 白水社 (2018年1月11日発売)
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感想 : 8
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  • 本 ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560085943

作品紹介・あらすじ

幻の講義をここに再現!
 外国語学部の学生たちと“ことばの変化”について考える噂の講義を完全書籍化。どうして言語に先祖や親戚がいるのか。なぜ言語は変化し、どのように変わっていくのか。系統だけではなく、言語接触やピジン・クレオール、また政治的・人為的な政策などにも触れながら、ことばの移り変わりに光をあてる。さまざまな外国語の例をもとにした、にぎやかな比較言語学。外国語に関心をもつ読者にぜひ手にとってもらいたい。中間試験、コーヒーブレイク付き。『ことばは変わる』を増補、改題。

感想・レビュー・書評

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  • 外国語大学での講義を再現。ことばはなぜ変化するのか、どのように変化するのか。ヨーロッパの言語に偏らない複数言語学という視点から、ことばの本質に迫る。〔「ことばは変わる」(2011年刊)の改題増補〕【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40252502

  • ことば

  • 比較言語学というと難しそうだが、この本は大学での講義内容をまとめたものなんで比較的理解しやすい。

    それでも言語学というジャンルは深く考え始めるとかなり難しいですね。

    ただ追及してくと面白い学問でもある気もします。

    ちゃんと理解できたかどうかは怪しいですが、なかなか興味深い内容でした。

  •  うちの奥さんが日本語教師業をはじめたこともあり、語学に関しても昨今の興味。本屋でタイトルを見て面白そうと図書館で借りてみた。

     同年代。専門はロシア語などのスラブ系の言語。それだけでも親近感が湧く。同じく言語学者である奥さんからの依頼で、大学で欠員の出た比較言語学の講師を半年間臨時で務めたときの講義内容を元に書き起こされた内容。
     大学の教授ということで、お茶の水女子大名誉教授の土屋賢二氏のエッセイを思う浮かべる。土屋氏ほど自虐度は高くないが、そこはかとないユーモアセンスは近いものがある。言語が時代を経て統合されるという話では、

    「政治的に統一しようとして、失敗した例はいくつか知っている。ある程度の強制力を以ってしても、なかなかうまくいかないのである。銀行の合併もそうだけど、完全に対等というのは難しい。」

     と、金融再編成の話題などを引き合いに出すなど、凡そお堅い学術的内容ではない。

    「気楽の読める比較言語学というのも、悪くはあるまい。言語に興味があるのは、専門家だけではないのだから。」

     というスタンスで書いていることがよく分かる。
     内容は至ってまじめなのだが、文章のトーンや、実際の講義で学生に出した課題や、その解答などが差し挟まれ、その解答に対してもユーモアをまじえて接しているところが微笑ましい。

    「対照言語学が何の役に立つか?」 という課題に対し、学生の回答が、「コンピュータの翻訳システムを作るためではないか。」と答えれば、「これは十分に考えられる。」と若者が柔軟な頭で考えた回答にも理解と興味を示し、
    「音位転換(メタテーゼ)」について例を挙げる課題では「秋葉原 アキバハラ>アキハバラ」「山茶花 サンザカ>サザンカ」に次いで出た「モリタ>タモリ」という珍解答に、「ううぅ、そうかなあ。これは倒置で、「ジャーマネ」とか、あるいは「まいう!」といった、いわゆる業界用語風のひっくり返した語なんじゃないの?」と応える。なかなか楽しい。

     喋る言語で人格、性格が変わるのでは?という学生の問いに、

    「これはわたし自身も経験がある。たとえば「コーヒーと紅茶とどちらにしますか」と尋ねられたとして、これが日本語だったら「どうぞ、お構いなく」と答えるところが、ロシア語だったら「コーヒーをお願いします。ミルクを入れて、砂糖はなしで」となってしまう。それぞれの言語文化圏でふさわしい行動を、無意識のうちに選んでいるのだろうか。」

     と回答するあたり、ロシア語話者として、「あるある!」と微笑ましく読んだ。まぁ、これは性格が変わる(ロシア語なら自分の好みをハッキリ言うようになる)というより、「С молоком」「Без сахара」という勉強し始めた頃、あるいはロシアで生活しはじめた頃に覚えた言い方を、いつになっても口にしたくなるというだけなんじゃないかなと思うけど。

     そんなこんな、机上の空論ばかりのお話でなく、地に足の着いた身近な話題を織り交ぜながら、言語の変化から、比較言語学の歴史、日本語の系統など10の講義を、各章で学生たちとの課題のやりとりを加え、言語の揺らぎについて語っていく、ことばにまつわる楽しいエッセイ。

  • 『ことばは変わる』を増補、改題。黒田氏の本を読むと、言語が楽しく思えてくるし、外国語学習が楽しく感じられる。そして、実際に語学書を手に取る。(その後、語学学習が続くかは、個人の努力)

  • フラフラするのは、言葉が生きてる証拠ですね、、、

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    言語の変化は止めることができない
    外国語大学での名講義を再現。ことばはなぜ変化するの? 言語学の基礎である比較言語学がわかると、外国語学習はもっと楽しくなる。
    http://www.hakusuisha.co.jp/book/b335539.html

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著者プロフィール

黒田 龍之助(くろだ・りゅうのすけ):1964年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科卒業、東京大学大学院修了。東京工業大学助教授(ロシア語)、明治大学助教授(英語)を歴任。現在、神田外語大学特任教授、神戸市外国語大学客員教授。著書に『ポケットに外国語を』『その他の外国語エトセトラ』『世界のことば アイウエオ』(ちくま文庫)、『外国語をはじめる前に』(ちくまプリマー新書)、『ロシア語の余白の余白』『外国語の遊園地』『外国語の水曜日 再入門』(白水社)、『はじめての言語学』(講談社現代新書)、『ぼくたちの外国語学部』(三修社)、『物語を忘れた外国語』(新潮文庫)など多数。

「2023年 『ロシア語だけの青春』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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