日本語とにらめっこ:見えないぼくの学習奮闘記

  • 白水社
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本棚登録 : 123
感想 : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560088982

作品紹介・あらすじ

スーダンから来た全盲の青年はどうやって日本語を身につけたのか。来日からエッセイストとしての活躍まで、悪戦苦闘の日々を語る。

感想・レビュー・書評

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  • 「がんばったら報われる、という実感がもてるのはいいものです。これは日本のいいところですね。」私は優しい口調で芯食った説教を受けた気分です。がんばったら報われる環境にいられるうちはがんばらなくちゃ、と思わされました。

    この本はスーダンから来た盲目の青年、アブディンさんが来日して、日本語を習得するための約20年間の話です。日本語能力検定1級(英検1級みたいなもの)を来日3年でパスし、日本語の点字の読み書きも覚え、按摩の資格も取得しました。

    元々スーダンでも一番の大学に行っていたほどだし、才能が素晴らしすぎるので、周りの人は喜んでサポートしたくなるようです。加えてユーモアもあって、自分のダメなところをさらけ出す余裕もあり、上手に助けを求めることができる。本当の意味で自立している人だと思いました。

    印象に残ったのは、アブディンさんが、日本人からどう見られているかを意識して行動しているところです。外国人がいきなりうまいジョークを言うと、フリが効いているのですごくウケます。巧みな技を使って心理的距離を壁を縮めようとする姿勢にスマートさを感じました。

    あと、昨今の日本社会の排外的な空気に対して「自分の発信について慎重にならなければならない」とも書いています。コミュニケーションに関する感度が高すぎて疲れはしないかと思いました。

    アブディンさんは視覚のハンデを負っている上にスーダンでは戦争を経験し、身近な人を亡くすというとてもハードな青春時代を送っている人なので、私たちの想像を超えて、社会のこと、人間のことを深く考えているのだと思います。

    こんなすごすぎる人の足元にも及ばないけれど、私も「つべこべ言わず、できることをがんばろう」と思いました。

  • 外国人、盲目、頭が良い、努力家、自分とは違う立場の著者が言語をどうやって習得するか、とても興味深かったが、マネできない…

  • 全盲のスーダン人モハメッドさんが日本語を学んできた記録が書き上げてある。

  • 目が見えない人が、どのように外国語を学んでいったのか。
    その過程は初めて知るものだった。読んでいくほどに、すごい、、そんな言葉が溢れてしまいそうになる。どれほどの努力と才能と諦めない気持ちがあったんだろう、と感じた。
    私にはできない、って言いたくなってしまいそうにもなったが、作者がそれを何でもないように話しているから、自分も何か頑張れるような気持ちになる。言語を学ぶ者として勇気と新たな発見を見つけられる本であった。

  • ふむ

  • こっちはインタヴュー
    それでも凄さは変わらない
    この先、どんな風になっていくんだろ
    私たちにとって大切な人とだと思う

  • 著者は1978年スーダンの首都ハルツーム生まれ。子どもの時は弱視ながら自転車にも乗ったりしていたが、12歳で全盲に。1997年に来日し福井県の盲学校で鍼灸を学ぶ。その後東京外大に進学し博士号取得。この本は、全盲の外国人である彼がどのようにして日本語を習得しただけでなく「書く」ということができるようになっていったかを、盲学校の先生など、彼が20年の間にお世話になった恩人たちへのインタビューと合わせて構成。粘土を使って漢字を覚えて行く話など、彼の頭脳の性能の良さには驚くばかり。同音異義の単語群をまとめて記憶タグをつけているためにオヤジギャグへの応用が可能という話も面白かった。

    そして彼に「書け」とけしかけたのが高野秀行さんだというのも面白いし、その高野さんのことを「面白い生き物だな」と評する著者も最高だ。

  • 2021.12.5市立図書館 読了すぐ購入
    図書館でちょっと予約の順番待ってようやく手元に来た。異邦人かつ視覚障害者というWマイノリティの立場から日本と日本語を観察した「わが盲想」(ポプラ文庫)で感銘を受けたスーダン出身の著者による新たな著作。
    日本語教育の専門家によるインタビューの形で、母国での学校体験から始まって、語学や専門分野における盲者の学習プロセス・メソッドを詳しく語るものになっている。日本語(言語)教育関係者や視覚障害支援者にとって得るものが多いのは言うまでもないが(現在、研究者となっての困り事などの指摘も大事)、一般読者にとってもひじょうにおもしろく読めて、学ぶこと多くかつ励みになる内容になっている。

    私自身、学生時代にサークルや日本語の実習の際に、視覚障害のある仲間や学習者にであった経験があるものの、その当時は特別なニーズへの理解が乏しく、今思えば十分な配慮をすることができなかったちょっと苦い思い出になっている(かれらはやさしかったが、そのやさしさにただ甘えっぱなしだったという反省が何より大きい)。
    いまは、たとえば聴覚障害者の手話が日本語やその他の音声言語とは独立のひとつの言語だと理解するようになり、音のない世界や視覚のない世界での言語活動や精神活動について知ることは言語教育や言語政策、言葉の習熟などを考える上で欠かせないことだと思っているので、視覚を失い始めた子ども時代の勉強や読書の話からぐっと引き込まれた。アブディンさんに教えたり世話をしたりした人たちへのインタビューがあるのもよかった。

    学習記としてだけでなく、来し方・経験から語られる言葉に聞くべきものが多い。インタビュー記事を書き起こして整えているのだといっても、母語話者顔負けの表現力・説得力にはおどろかされる。耳で聴く読書を通じての夏目漱石、村上春樹についてのコメント、三浦綾子『銃口』を読んだ感想として戦争について語っている部分など読み応えあり。

  • 読みたいものを自由に読める、それは当たり前のことではない。でも、私たちはその当たり前ではない自由を手に入れている。全盲のスーダン人の青年の尽きることのない学びへの意欲とたゆまぬ努力に自分自身を見つめ直したくなる一冊。

    [NDC]810.7
    [情報入手先]
    [テーマ] でーれーBOOKS2022/エントリー作品

  • スーダンから日本に鍼灸の留学で来て研究者になっ
    た盲目のアブディンさんのお話。
    こんな人がいるんだなぁ。
    地頭の良さを感じるとともに、自分の境遇を嘆くことなくポジティブに楽しく努力する生き方が素晴らしい。

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著者プロフィール

1978 年、スーダンの首都ハルツーム出身。生まれた時から弱視で、12歳の時に視力を失う。19 歳で来日し、福井県立盲学校で鍼灸を学んだのち、東京外国語大学へ進学。スーダンの南北紛争について考察するため、アフリカ地域研究の道へ。同大学大学院に進み、2014 年に博士号を取得。東京外国語大学世界言語社会教育センター特任助教、学習院大学法学部特別客員教授を経て、現在、参天製薬株式会社に勤務する傍ら、東洋大学国際共生社会研究センター客員研究員として研究を続ける。また、エッセイスト、特定非営利活動法人スーダン障害者教育支援の会(CAPEDS)代表理事、ブラインドサッカーの選手としても活躍している。著書:『わが盲想』(ポプラ社)

「2021年 『日本語とにらめっこ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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