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本 ・本 (362ページ) / ISBN・EAN: 9784560090008
感想・レビュー・書評
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ずっと積んであった本です。
2003年にこの新訳の初版が出たときに、単行本で買っていました。
旧訳の『ライ麦畑でつかまえて』は読んでいません。
青春期に読むべき本を、いい歳になってからやっと読みました。
主人公のホールデイングは、作家の兄DBと、小さい頃に亡くなった弟のアリー、活発で美しい妹のフィービーの四人兄弟妹です。
ホールディンは何度も学校を転校しているちょっとした不良で、男子校の寮に入っていて、いつも女の子のことを考えていて、話題はそれしかありません。
飲酒もし、女の子を買おうとして失敗し、お金も騙しとられます。
中盤までは、なんだか年頃の男の子の生態が生々しくて、嫌悪感を感じました。これがどうして名作として読み継がれているのだろうかと思いました。
私が中高生の頃に、弟に借りて読んでいた少年漫画誌のマイナーな方の漫画みたいだと思いました(私はあだち充とかが目当てで借りていました)。
でも、最後の方になってホールディングは目覚めるんです。最後の最後25章以降はもう文章がスピード感に溢れ、ハチャメチャで「これ、すごく面白い!」と思いました。
これはやっぱり、青春期に読んでいたらきっともっと印象深く心に刻まれた好きな作品になっていた気がします。
でも、今の年齢で読んでも1回も読まないより、ずっとよかったと思います。 -
あるYouTuberが、「この作品は、10代のうちに読んでほしい。」と紹介されていたのだが、その言葉がよく分かりました。主人公のホールデンの投げ遣りな感じが、思春期の危ういさを醸し出している。誰にも縛られたくないし、相手と会話を合わせようとしない、嘘をつく、自分以外はインチキ野郎だと思う所とか、誰しもが通っていく、この時期の青春感がとっても良かったです。
村上春樹訳も良いスパイスでしたね。
何年経っても色褪せない不朽の名作です。 -
もう20年くらい前になるのかな。いきって原著で読んでみたけど、まったく覚えていなかったので敗戦処理的に村上訳を購入。
最近出た「このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる」を読みたかったから。
だいぶMurakamizedされてしまっているなあという第一印象。
手元に原著もあるから読み比べてみたけど、なんというか、これはもうクラシックの「解釈」のレベルで異なる。
私、ほとんど覚えていないけど、なんとなくの印象は覚えていて、でもホールデンはこんなにむかつく少年ではなかった。
村上さんと私の英語力を比べたらそれこそ雲泥なんだけど、それにしてもだいぶ村上ホールデンになっているなあと。
16の少年が「僕」の語り口をもったらそりゃ小生意気な印象になる。
物語自体はもちろん面白い。青春モノローグものとしては珠玉だろう。それは間違いない。
ただしこのホールデンを好きになれるかというと、私はなかなか首を縦にふれない。
同じく村上訳の青春モノローグである、マッカラーズの「結婚式のメンバー」は同じくだいぶMurakamizedされているけど、かわいらしかった。
きっとわざとなんだろうな。これが彼のホールデンの解釈なんだと思う。
読みやすいしわかりやすいし、相変わらず翻訳とは思えないくらいのクオリティなのは間違いない。
そこは太鼓判。
仮に面白いと思えなくても、読むのにそんなに時間のかかるような作品ではないし、生きている間に一度は読んでおいて損はないと思うので気になるなら読んでほしい。
たぶん私の言うこと、なんとなくわかると思うから。 -
この本は「ライ麦畑でつかまえて」という芳名で有名なんだ。僕が読んだのは村上春樹訳でタイトルは原著のまま「キャッチャー・イン・ザ・ライ」。
この本、ずっと読んでみたいと思っていたんだよね。僕はいつも本を読むときは図書館で借りるか、Kindleでさくっと買っちゃうんだ。ところが、だ。この本は図書館では予約がいっぱい、それでいて電子版が無いんだぜ。やれやれ、この時代にそんなことってある?とにかく僕は、図書館の予約を待つことにしたんだ。半年以上は待ったんじゃないかな?
物語はずっと17歳の少年がプレップスクール退学後にクリスマスのニューヨークの街をうろうろする様子を描写する。社会への鬱屈を投げかける作品として、当時は「世紀の問題作」と言われたんだって。読んでみて思ったけど、僕はこう思ったんだ。「これは色褪せた名作なんだろうな」って。なんでかっていうと、主人公のホールデンは金持ちのボンボン。起こることすべてに独りよがりの文句をつけているだけ。作中でホールデンの妹も「世の中のすべてのことが気に入らないだけじゃない」って言ってたよ。もちろん僕だって、余裕がないときは自分が正しくて、周りが間違っているんだって考えてしまう時もあるよ。でもそれは自分の未熟さに対して、自己を正当化しようとしているだけだって、気づいちゃいるんだ。いずれにせよ、ホールデンの考え方にはついていけないな。
出版当初の1951年あたりは物質的な豊かさに精神的な豊かさがまだついてこれていなかった時代なのかな。ヒッピー文化も1960年あたりだよね。今の若者は鬱屈を溜めるどころか何でもかんでも外に吐き出しちまうんだ。社会への諦念もあるよね。今の時代を生きる読者にはホールデンの考え方や行動には共感しづらいんじゃないかな。それは僕がまだ精神的に未熟なだけなのもあるんだろうけどね。
まあ色々書いたけど、こういう古典的な名著を読むと、今みたいに当時の時代背景を考えることもできるし、その時の生き方を疑似体験もできる。たまにはそういうのもいいんじゃないかな。今の時代の価値観がすべて正しいとは限らないしね。やれやれ、読んだ時は星1つにしてやろうと思ったけど、こんなことを書いていると考えさせられちゃったよ。みんなも読んでみてもいいんじゃないかな。まったくの話、損することはないと思うよ。 -
厨二で捻くれてて面倒な性格のホールデン。でも読んでて少し理解できるなと思ったり。
亡き弟に語りかけ、幼い妹にしがみつかれ(或いはしがみついて)。何故か少し胸が苦しくなる読後… -
村上春樹訳の『ライ麦畑でつかまえて』。高校生の主人公がクリスマス前後に起きたどたばたについて回想する青春小説。主人公の心のうちを読者に語りかける文体のため、個人的には村上春樹の訳がしっくりくる。周りが大人へと成長していくのを目の当たりにし、自分だけが取り残され、大人になりきれない主人公。自暴自棄になり、社会や秩序、力などに抗いながら、心の葛藤を描いている。正直、なぜここまで評価されているのか私にはわからない。罵詈雑言のオンパレードを一方的に聞く立場としては、決して心地よい気持ちにはなれない。
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村上春樹さんの訳で読みたくて読み始めたものの、スラスラと読み進めるのには少し大変だった。半分過ぎからようやく読み進めるようになったけど、ホールデン少年の複雑な気持ちのうつり変わり方とか、人を斜めに見るとか、人間って複雑なってことが身に沁みる。子供が何考えてるかわからないと思う親(自分だが)、子供も色々と考えて訳わからないんだと言うのを知ることも子育ての第一歩なのかなぁと(勝手に)。この本を何か読んだ後ほっこりするのは良かった。また読み返したい。
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サリンジャー版「人間失格」ですね。
自分は特別で周りはどうかしてる、っていう感覚ってやっぱりあるものです。だから、このホールデンくんもさして特別でも、変でもない。でもそんなことって当時はわからないものです。
読んでて苛立つし、恥ずかしいし、懐かしいし、分からんでもないから、
結局惹きつけられていました。 -
多感な十代の頃に、ご多分に漏れず白水社uブックスにて野崎孝訳をずうっと昔に読んだのは覚えているけれど、その後手に取ることもなく。
村上春樹氏の訳がどういうものなのか、調味を持って読んでみたけれど、やっぱり印象が全然違うもんだなあ。 -
■月曜日の通勤電車、また回り始める社会に自分を適応させるのをあきらめ、いつもの駅を乗り過ごしててみたくなる。■
【注】作品の世界観に酔ったまま、ホールデン口調で書かせてもらいます。お許しを。
僕は自分の考えをしっかり持ってるように装うのがうまいんだ。けど本当はそうめんみたいに流されやすいし、自分の芯なんてコシのないうどんほどもないのさ。
よかったら、ラーメンでも食べながら僕のたわごとに付き合ってくれないか。
ホールデン、君って奴は苦労を知らずに育って社会をなめ切ってる。いいとこ育ちの金持ち坊ちゃまさ。でもまあ憎めないヤツだよ。
わかってる、今の上から目線の言いぐさは僕のひがみだ。ぶっちゃけ、鼻をかんだチリ紙をゴミ箱にポイってするみたいに行き当たりばったりで行動できる君がうらやましかったんだ。
例えば、僕はつまらない政界のゴシップや芸能界のスキャンダルにいちいち目くじら立てる大衆を鼻で笑う。資本主義やら市場経済とやらでできてるらしい現代社会にしたり顔でうんざりしている。そのくせ、その胡散臭い社会がひいた安全なレールの上を僕はちゃんと走っているんだ。結局、口だけは評論家みたいに偉そうだけど、君みたいにお利口さんをやめてドロップアウトするだけの度胸は鼻クソほどもなかったってわけ。
この前だってそうさ。本の中で君と女の子がいい感じの場面で、職場最寄り駅が近いことを告げる車内アナウンスときた。君ならどうする?このまま無断欠勤して南の島まで行ったって死にはしない。
でも僕には絶対できないんだ。沖縄でソーキそばをすするのはまた今度ってことにして、そそくさと読みかけの本を片付ける。機械的に電車を降り、足は勝手に職場へと向かうんだ。政治家の不倫とかに目がない連中と一緒にね。今日も一日、メールや決裁の処理、おまけに何が言いたいのかさっぱりわからない上司(たぶん火星人)に振り回されてヘトヘトになるってわかっていてもさ。
もううんざり!やってられん!なんて同僚や友人と毒づいたりしながらも、このロクでもない人生ゲームを定年まで続けるだろうこともわかってる。実際中毒性のあるゲームだよ。僕はもうとっくに飛び出すという選択の余地のない茹でガエルさ。
わかるだろ。要するに僕は怖いんだ。君は自分が臆病だって言ってたけど、僕は自分が臆病ってことを人に言えないくらい臆病なんだよ。
ところで、明日は早起きして上の娘とジョギングなんだ。あの子は毎週楽しみにしてるんだよ。
とりとめのないたわごとに付き合わせて悪かったな。ラーメン伸びるぞ。
おやすみ。
J.D.サリンジャーの作品






いえ、いえ、確かにそんな楽しみ方も、できますね。
もし、若い時に読んでいたら違っていたかな、とは思いますが…。
いえ、いえ、確かにそんな楽しみ方も、できますね。
もし、若い時に読んでいたら違っていたかな、とは思いますが…。
若い時は誰もが今と先が見えずに悶々とし、主人公との距離が近い。と言うのがあるでしょうね。
「ナイン・ストーリーズ」を読めばサリ...
若い時は誰もが今と先が見えずに悶々とし、主人公との距離が近い。と言うのがあるでしょうね。
「ナイン・ストーリーズ」を読めばサリンジャーの違う面も、、、
「ナイン・ストーリーズ」未読です。
なんか、うちの本棚にあったような気がしますが…。
探してみます。
「ナイン・ストーリーズ」未読です。
なんか、うちの本棚にあったような気がしますが…。
探してみます。