あの午後の椅子

著者 : 永田和宏
  • 白水社 (2016年6月25日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560092422

作品紹介・あらすじ

常に歌人であることの意味
 好評を博した『もうすぐ夏至だ』に続く、待望の第二随筆集。最新の連載「風通しのいい窓」(「PHPくらしラクーる」)や「あすへの話題」(日本経済新聞)を中心に、各紙誌に発表した随筆の数々がまとめられている。
 まず巻頭に収録された、表題ともなった書き下ろしの随筆が読者の心を打つ。これは「あの午後の椅子は静かに泣いてゐた あなたであつたかわたしであつたか」(『夏・二〇一〇』)から採られている。
 珍しく陽のあるうちに帰宅した夫が、庭の椅子に座っている妻の河野裕子に声をかけたとき、夫ははっきりと「さっきまで泣いていた」様子を見てとった。それは妻が乳癌の再発を告げられてからひと月ほどたったある日の午後。夫は「彼女の横に腰かけ、同じほうを向きながら、何も話さなかった。慰めもせず、冗談で元気づけようともせず、泣いていたわけも訊かず、ただただ横に座って居ただけだった」……。
 この秀逸な一編から巻末まで、ポエジーな文体が奏でる、常に歌人であることの意味を問い続ける著者の真摯な姿勢を、読者は心ゆくまで堪能できるだろう。

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