わからない

著者 :
  • 白水社
4.24
  • (15)
  • (13)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 770
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560092866

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • おもしろい!
    私は知らない間に自分にいっぱい枷をはめているんだなと、岸本さんの文章を読んで気付いた。

  • 日記部分が非常に濃い。

  • ビチの介のエピソードが好き。
    キシモトさんの交友は楽しそうだな。

  • 約四半世紀分の岸本さんが色々な媒体で書いた文章を一冊にまとめたもの。これだけまとまった量を読めるのは嬉しい。

    エッセイ・書評・日記という感じで、あらゆるジャンルの文章がたくさん並べられているが、そのアウトプットと比例するように、読んだ本や観た映画、誰と会って何を話したなどインプットの多さにもとても驚かされる。

    印象的だったのは、岸本さんが小学生の時に「にんじん」という小説を、意味がよくわからないままに何度も読んでそれが強く記憶に残っているというところ。本書のタイトルにもなっているが、『わからなさを愛する』というのは岸本さんの個性の核になっているのだと思う。以下、特に心に残った一節の抜粋。

    『大人になって、「わからない」ことが少なくなって、反対に腑に落ちる物事の占める割合が増えたぶん、世界は、読書は、つまらなくなってしまった。ーいや、それは嘘だ。わからないことがあると、ただうろたえ、不安になり、せかせかとわかろうと努め、あるいは頭から否定しにかかろうとする。そして二度と読み返さない。なんだかわからない美しいものを、なんだかわからないまま楽しむことのできた子供の私は、読み手として、今の私よりずっと上等だった。』

  • 言葉のセンス、妄想の方向性、香る女子校出身感、垣間見える読書量…岸本さん最高だわ。

    電車で読んだが、ビチの介の登場のたびにニヤつきを抑えるのに必死だった。

  • ちょっと不思議な人、翻訳家岸本のエッセイ。

    書評部分はあまり面白くないが、エッセイ部分はめちゃくちゃ面白い。大学生時代にニューヨークでミュージカルを観に行った話が突き刺さる。


  • エッセイ、書評、日記と様々散りばめられていて楽しい。書評は小気味よく、日記も短文なのに破壊力がすごい。
    「どの本もみんなお行儀よく“お約束”に従っている。」との指摘は衝撃だった。読書とは、客観的な視野を身につけられるもの、と何となく思い込んでいた。けれども、混沌とした世界をそのままカオス状態で出されても、私は読まない気がする。つまり、自分が理解できる範囲内の本しか読んでいないということで、それでは視野の広がりようがないかもしれない。選書の段階で視野狭窄。ううむ、なんてこった。

  • エッセイ初読み。かなり個性的で面白い方と推察。創造の翼の広がりが規格外。創造力って無限だなと思いしらされた。

  • 『きょうも幼稚園で泣いた。お弁当を食べるのがビリだったせいだ。きのうもおとといも泣いた。入園してから泣かなかった日は三個ぐらいしかない。幼稚園なんてなくなればいいのにと思う』―『カルピスのモロモロ』

    何故、「泣かなかった日」が「三日」ではなくて「三個」なのかな。これもまたニコルソン・ベイカーの「ノリーの終わらない物語」翻訳効果のせい(あの小説の翻訳の影にそんな並々ならぬ努力があったとは!という話は今回初めて知りました)? そう言えば、ベイカーの「中二階」を読んだのが岸本佐知子教入信の切っ掛けだったっけ。そしてその信心の沼を更に深く潜ることになったのが「気になる部分」を読んだことだった。もちろん翻訳もいつも楽しみにしているけれど、中々単行本にならないエッセイあっての翻訳ものとすら思う。これは特定の年代の人にしか通じないかも知れないけれど、中島みゆき嬢が深夜放送に登場した衝撃を「気になる部分」では味わったと言って過言ではない。まあ、一風変わった作家(ニコルソン・ベイカーとかジャネット・ウィンターソンとか。「気になる部分」後で言えば、ジュディ・バドニッツとかミランダ・ジュライとか)の翻訳をする人だとは思っていたけれども。そんな深夜放送版の岸本佐知子がどっさり詰まった本が出版されるとあっては、手を出さずにはいられない。もちろん、これまでのエッセイ集も全て読んではいるけれども。

    予約した本は届いていたけれども、四十年来の宿題となっていた大作を読み終えてからと我慢し、さあいざ、と、大部の一頁目を開く。おっと、カルピスのもろもろ、って聞いたことがあるなあ、と、さして記憶力がいいとも自覚していない頭で、立ち止まる。ああ「考える人」か、それならやっぱり読んだことがあるや、と妙に自分のことが誇らしくなる。本棚に今時の言葉で言うところの推しの作家の新刊が三冊も並んでいたので、少しばかり浮かれ気味で読み始めたせいか気分が高揚している。なのでそんな自画自賛もご容赦願いたい。

    自画自賛と言えば岸本佐知子のユーモアたっぷりのエッセイは、行き過ぎた自虐が却って自画自賛のようにも聞こえる面白みがあってよい。岸本さんが本当にどれだけだめな会社員だったか、本当のところは判らないけれど、本にまつわる話の多いこの一冊を読む限り、文章を読み解こうとする思考の深さからして、この才女が会社で使い物にならなかったとは俄かには信じられない気持ちが改めて強くなる。それをさらりと自虐的にユーモアに変えてみせられるところこそ才女たる証なんじゃないだろうか。

    それにしても、これは岸本佐知子教信者にとっては大変お買い得なバイブルの一冊。ただし聖書と呼ばれるものを余りに集中して読んでいると、形而上学的な世界の方が真実味を帯びてきて、現実が逆にあまりに薄っぺらく思えるようになってしまうので要注意。それを例えて言うなら、いくら好きだからといって一口サイズのシュークリームを食べ過ぎてしまうと、味が判らなくなってくるのを通り越し、一袋食べ切る行為が修行であるかのように思われ始め、美味しさを味わうという行為を通り越して食べ切ることこそが真実に近づく道であるかのように思ってしまうようなこと、と言ったらちょっと違うか。でも、食べ過ぎには、やはり注意しつつ、少しずつ読むのが丁度いいとも思います。

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

岸本 佐知子(きしもと・さちこ):上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ショーン・タン『セミ』、アリ・スミス『五月 その他の短篇』。編訳書に『変愛小説集』、『楽しい夜』、『コドモノセカイ』など。著書に『気になる部分』、『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)、『なんらかの事情』、『死ぬまでに行きたい海』など。

「2023年 『ひみつのしつもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

岸本佐知子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×