起きようとしない男 その他の短篇

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095683

作品紹介・あらすじ

『小説の技巧』の作家の本領発揮、初の短篇集
 本書は、英国の大御所デイヴィッド・ロッジが30歳から80歳までに書いた、8つの短篇を収めた自身初の短篇集。作風はブラック・コメディ、セックス・コメディ、意外な結末のロアルド・ダール風など、バラエティに富み、まさに『小説の技巧』の作家の本領発揮、コミック・ノヴェルの名手が満を持して放つ、粒ぞろいの1冊。
 「起きようとしない男」──しがない勤め人のジョージは、人生になんの楽しみも見いだせず、ある冬の夜、ベッドから出ることを拒否する。やがてそのことが知れ渡り、テレビ取材で事の経緯を話したおかげで、洪水のように手紙が届き、幸福な充実感を覚える。しかし彼は死の願望にとりつかれ、天井に天使と聖人がいて、空中浮揚できるのではないかと妄想する。昇天しようと、夜具を投げ捨てるが、寒さに襲われるだけで、床から毛布を取り上げる力もない。妻とナースを弱々しく呼ぶが……。
 他に「けち」「わたしの初仕事」「気候が蒸し暑いところ」「オテル・デ・ブーブズ」「田園交響曲」「記憶に残る結婚式」「わたしの死んだ女房」を収録。作家による「まえがき」「あとがき」、半世紀の作家活動を紹介する「訳者あとがき」も収録。

感想・レビュー・書評

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  • おすすめが嫌いだ。人はそれぞれ違って当たり前なのに他人が選ぶものに口を出すなどおこがましい。しかしだな、この本はおすすめしたい!以前、松田青子さんの書籍について、女子が常々もやもやしてる事柄があり重要度危機度が低いために口に出すことをためらわせている物を文章を使って表現してくれたことに拍手したが、そういう感じの全世界の人間版だ。書かれたのは少し前の時代なのに、このリアルな今感は何よ!ただ年取ったというだけの癖に俺を敬わない奴はけしからん、みたいな奴らは全部蹴散らせ!大人も子供も犬も裸で川原に駆け出すんだ!

  • 文学

  • イギリスの作家、ディビッド・ロッジの短編集。
    寝ることが何より好きで、仕事がしんどかった時期に同じように「起き出したくない(現実に対峙したくない)」と感じたことがあるわたしは、共感しかない表題作が一番好きでした。

    起きがけに寝返りを打ってシーツの冷たい部分に手や足が触れたとき「この感覚を味わうためにもう少しだけ寝ていたい」というのは今でも思う。

    (ただ、そこでいつまでも寝ていると日が高くなり体温も上がり、全然快適ではなくなってくるので、結局起きたほうが睡眠の快感を損なわないんだけど。)

  • 完全に好みの問題かとは思いますが、表題作がなかったら☆2でした。表題作以外の作品は、どれもあからさまに下品な表現が多々見られて、個人的には受けつけられませんでした。それを含めて芸術的と評する方もおられるでしょうが。

    驚いたのは、作者のあとがきで作者自身が作品の「解説」をしているところ。作品を作る経緯や、含められた意味など、丁寧に解説してくれています。おかげで表題作のオチについての「?」が解消されました。

  • 表題作は、正直さして面白くもないが、コレのオマージュに家具デザイナーが安楽椅子机を作成してロッジの地元の美術館に納まる経緯が興味深い。
    「わたしの初仕事」、階級社会で、大学に入る前に賃金労働者の社会を垣間見た、少年の甘っちょろい感傷が何とも切ない。
    「オテル・デ・ブーブズ」、トップレスのプールサイドでアタフタの中年男は見苦しいだけだが、意外にもメタメタの構成になってて、読みでがある。
    まあ、ゆーてもロッジは長編が面白い。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=10143

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著者プロフィール

1935年、ロンドン生まれ。英国を代表するコミック・ノヴェルの大御所。『小さな世界』と『素敵な仕事』でブッカ―賞最終候補に選ばれる。『大英博物館が倒れる』『交換教授』『小さな世界』『素敵な仕事』『楽園ニュース』『恋愛療法』『胸にこたえる真実』『考える…』『作者を出せ!』『ベイツ教授の受難』『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』『起きようとしない男』など主要作品が邦訳されている。

「2019年 『作家の運 デイヴィッド・ロッジ自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

デイヴィッド・ロッジの作品

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