大学教授のように小説を読む方法[増補新版]

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560097304

作品紹介・あらすじ

ひと味違った文学の楽しみ方

 小説好き・文学部の学生必読の1冊がパワーアップして再登場!
 英米文学を読むのに、ギリシア・ローマ神話、聖書、シェイクスピアの知識は欠かせないといわれる。ではてっとりばやく知識を仕入れればすむかというと、話はそう単純ではない。読者がなにげなく読み流している文章の中にも、それらの要素は象徴やアイロニーとなって潜んでいたりし、見抜くにはコツが必要だ。本書は長年にわたって文学を教えてきた教授が、学生や一般読者のために、そうしたコツを惜しげもなく伝授すべく書いた解説書である。はじめにあげた3項目はもちろん、天気や病気の象徴性、性描写の意味、隠された作者の政治的意図など、象徴やパターンの読み込み方が、豊富な実例に作品のあらすじをまじえ、27章にわたって説明されている。
 まるで授業を聞いているような生き生きとした語り口と、時には有名な映画の一場面も例に挙げる親しみやすさから、本書の旧版はアメリカでロングセラーになった。『老人と海』をはじめとするヘミングウェイの作品や、『デイジー・ミラー』、エドガー・アラン・ポーの作品など、おなじみの小説の違った顔が見えてくる1冊。

感想・レビュー・書評

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  • ミシガン大学で文学を教えている教授が、小説のより深い読み方を様々なパターンを用いて細かく解説していく公開授業のような本。

    小説だけでなく映画、舞台、詩、何にでも応用できる。鑑賞者だけでなく作家、役者、全てのクリエイターに読んでもらいたい。

    一般の人と教授の読み方の違いは「記憶」と「象徴」と「パターン」だと教えてくれる。いくつもの作品を「記憶」して、登場した「象徴」と同じ「パターン」を見つけること。例えば両手足と脇腹に傷がある登場人物はキリストの「象徴」だと言えるし、鳥は自由の「象徴」だと言える。つまり額面通りの意味とは違う隠されたメッセージを感じ取ることで、過去の作品との共通点「パターン」が見えてくる。さらにひとりの作家が複数の作品で同じ状況や「象徴」を出すことで、今後どうなるかを予測することもできる。当然それが裏切られることもあるが。

    教養として学習するのではなく、楽しんで学びを深めるコツを教えてくれる良書。

  • 文学についての本をここ最近色々読んでいるが、これは抜群に面白かった。

    英米アイルランド文学が専門の著者によって書かれたというのに、小難しい文学理論は一切展開されない。文学作品は過去の文学作品の影響を必ず受けているという一貫した姿勢を崩さずに、「大学教授ならここ(季節、天候、食事シーン、地理などなど)に注目するね」とユーモアを絶えず交えながら数多の例を用いて丁寧に解説してくれる。どうやら著者は文学理論が嫌いとのことw

    その上、想定される質問を著者自ら用意し回答してくれる。「丁度そこ知りたかったのよ!」と何度膝を打ったことか。

    これから実際に文学作品を読んでいく中で何度も立ち返るであろう一冊!

  • 本を読む際にただストーリーを追うだけでなく、作家が裏に込めた(と想定される)メッセージを読み取る能力を高めてくれる本。硬そうなタイトルだが、軽快な文章が魅力的だった。研究者、学生だけでなく、多くの人が手に取ることが想定されていると感じた。本のタイトルは読者にフォーカスが当てられているが、物語を書く人は特に知っておくべき内容ではないかと思う。アメリカにある大学の教授が書いている本なので、取り上げられている作品は聖書、ギリシャ神話、シェイクスピアをはじめ、エリオット、ヘミングウェイなどの西洋文学がほとんど。これらに馴染みのない人にはとっつきにくいかもしれない。本書で紹介されているような読み方が常に必要だとは思わない。著者もあらゆる着目点を紹介して最後に読者自身の感想を尊重するよう促してくれる。読書の楽しみの幅を広げてくれる素晴らしい本。

  • 大学教授の講義のような内容。
    パターンや、何をベースに書かれているかなど。
    話しているような感じで書かれているので、講義聞いているような感じがした。

  • 小説や映画で、これは何を象徴している、とか、このストーリーは何を下敷きにしているとかいう批評について、そんなことあるだろうか、と昔は思っていたのですが、そんなことあるんですよね。作家が意識的にやることもあるし、それ以上に無意識的にそうなってしまう(無意識だから色濃く、ということもありますね)こともあるでしょう。より小説なり映画なりを深く味わうためには、この本に載っているような知識はとても有用。目についたもの、興味のある項目だけでも読むと後で効いてくる。手の届くところに置いておいて時々読んでみたりするといいです。映画にも有用。

  • この手の本にしては軽快だ。
    作者の趣味が色濃いと断ってはいるものの、だからこそ文学への接し方が、深め方がよく分かる。
    批評理論は一切出てこない。
    象徴の扱い方に特別の注意を払っている。

  • 20191221 中央図書館
    無条件で面白い。

  • 小説を読むときの考え方・指標・象徴が学べた


    あとは、自分の解釈で物語を楽しむだけだ

  • 大学教授のように小説を読む方法「増補新版」
    著作者:トーマス・C・フォスター
    白水社
    2003年に刊行された本書の旧誌は、アメリカの学校関係者や読書会に参加する読書家などから高い評価を受けロングセラーとなった。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

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著者プロフィール

ミシガン大学フリント校名誉教授。オハイオ州出身。ダートマス・カレッジおよびミシガン州立大学で学び、2014年まで27年にわたってミシガン大学フリント校で、20世紀および21世紀英・米・アイルランド文学を教えた。2003年に刊行された本書の旧版は、アメリカで学校関係者・読書会に参加する人々・一般の読書家などから高い評価を受け、ロングセラーとなった。

「2019年 『大学教授のように小説を読む方法[増補新版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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