レジリエンス:こころの回復とはなにか (文庫クセジュ)

  • 白水社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560510094

作品紹介・あらすじ

しなやかにはね返すレジリエントなこころとは
 普段の生活に突然なにかが起こる。あなたは落ち込むこともあれば、自分の殻に閉じこもったり、病気になったりする。けれども再び立ち直ろうとしたり、坂道を上ってゆこうとする時はいずれやってくる。「レジリエンス」という理論が導入されるまでは、カタストロフが発生した後、どうにかして早く落ち着きを取り戻そうと努めなければならなかった。レジリエンス概念によって、カタストロフが発生する前よりも後の方がはるかに良くなれる、と考えられるようになった。
 このように「レジリエンス」とは困難をのり越え、自らを構築し続ける能力を表わす。さまざまな領域で使われているため、その言葉がさし示すものも多様である。本書では、レジリエンス研究の歴史をふり返り、この言葉の定義や使用法をめぐる相違点について指摘する。臨床的な観点からみたレジリエンスとは。

感想・レビュー・書評

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  • なかなか難しかったですが、レジリエンスとは他人が強要するものでもないし、自分が持たなくてはいけないと思うことでもなさそう。まず必要なのは周囲の環境が安定したものになるための社会のサポート。その土台がある上で、周りと関わっていく中で気づいたら身についているものかな、という感じでした。

  • 2023年9-10月期展示本です。
    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00529466

  • 2021I167 493.7/T
    配架場所:A4

  • 昨今、困難な状況をのり越え、不都合な環境のなかで自らを構築し続ける能力であるレジリエンスという概念が様々な領域で注目されています。本書ではレジリエンス研究の歴史をふり返り、この言葉の定義や使用法をめぐるさまざまな相違点について知ることができます。
    (選定年度:2022~)

  • レジリエンスを調べて
    レジリエンスの語源、歴史から広く教えてくれる本でした。

    心理、精神、成長、社会

    抵抗の意味もあるし、回復の意味もある。

  • レジリエンスを批判的に検討している。それはバラ色の概念ではなく、様々な危険性をはらんでいる。

    回復できない人たち、一見回復したかに見えてしまう人たちに対する眼差しが重要だ。

    ・レジリエンス研究の三つの波。個人の素質、過程、力(あるいは適正、性向。個人、環境両方を含む)。
    ・ジュリアス・シーガルのヒューマン・レジリエンスの根源:1.コミュケーションの向上、2.率先して対人関係を主導する、3.罪悪感に屈しない、4.体験してきたことに意味を与える、5.似たような体験を経てきた人たちとのつながりを築く
    ・攻撃者への同一化の過度な適用の仕方
    ・あるタイプのアタッチメントをもつ子ども7割が、頼りにする大人の様式を共有している。
    ・レジリエンスの時代適合的な四つの傾向。1.人間生活への懸念、2.自らの過去よりも、むしろ現在や将来的計画によって自己規定する。3.否定面よりも肯定面に関心を持つ、4.治るのに心の専門家はいらない
    ・1.モラル的立場を助長する危険性、2.世代間に引き継がれるトラウマの過小評価、3.心的構築におけるトラウマの多様性とノンヒューマンな環境の役割をしばしば無視すること、4.トラウマによって最も多く引き起こされる症状でありながら、創造や創作として知られた形式によるトラウマの解決を理想化する傾向、5.観察・説明・予測についての相違をごちゃまぜにする、6.目標を定めた予防策を組織するという口実の元、社会統制を補強しうる情報収集の実施。
    ・トラウマを受けた人に介入するものにとって、第一の特質は、レジリエンスのプロセスを統制して導こうとする願望を断念すること。
    ・問題が解決したように見えるとトラウマにまつわる症状が出現することも希ではない。
    ・あなたはいかなるレジリエンスについて語っているのか。疫学者、認知科学者、精神分析家、道徳家?
    ・レジリエンスは傷ついた個人や集団が、それぞれ自由に扱える資源を用いて自ら引き受けられるよう、新たな計画を描けるよう促す。
    ・2010年の国連のレジリエンスの定義は見当たらない・・・2007年ならば「Resilience:The ability of a system, community or society exposed to hazards to resist, absorb, accommodate, adapt to, transform and recover from the effects of a hazard in a timely and efficient manner, including through the preservation and restoration of its essential basic structures and functions through risk management. (30 Aug 2007)」

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著者プロフィール

1948年、フランス生まれ。精神科医、心理学博士、大学研究指導資格(HDR)取得。フランス科学技術アカデミー会員、パリ大学CRPMS(精神分析・医学・社会研究センター)協力研究員。2013年にIERHR(人間-ロボット諸関係の教育研究所)を設立し会長を務める。パリ大学DU(大学ディプロム)サイバー心理学(Cyberpsychologie)共同教育責任者。主な邦訳書に『恥―社会関係の精神分析』(法政大学出版局)、『明るい部屋の謎―写真と無意識』、『タンタンとエルジェの秘密』(いずれも人文書院)、『レジリエンス』、『家族の秘密』(いずれも白水社クセジュ)ほか。

「2022年 『ロボットに愛される日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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