気になる部分 (白水uブックス)

著者 :
  • 白水社
4.05
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本棚登録 : 988
レビュー : 147
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560720875

作品紹介・あらすじ

眠れぬ夜の「ひとり尻取り」、満員電車のキテレツさん達、屈辱の幼稚園時代-ヘンでせつない日常を強烈なユーモアとはじける言語センスで綴った、名翻訳家による抱腹絶倒のエッセイ集。待望のUブックス化。

感想・レビュー・書評

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  • 翻訳家である岸本佐知子の主に90年代のエッセイ。

    岸本佐知子という翻訳家の名を初めて認識したのは恐らく高校時代のこと、それは例の『中二階』という奇妙な小説の存在を知ったのと同時であったと思う。しかしそのときは、『中二階』も彼女の他の翻訳も手に取ることはなかった。その後、大学生となった2000年代初め、朝日新聞の「ベストセラー快読」という書評コーナーで初めて彼女の文章を読むようになった。それ以外にも、確か白水社だったか筑摩書房だったかが出していた出版情報誌に連載されていたエッセイなどにも目を通していた。

    当時と云えば、小泉政権下、人の生を「勝ち/負け」という思慮の陰翳を欠いた暴力的な記号で序列化可能なほどに平板化してしまえると浅ましくも思い上がった即物的な(無)価値観に社会それ自体が同一化し始めていた頃、そんな卑しい世相を軽妙なユーモアと皮肉とで茶化してくれていたのがこの岸本佐知子の書評だった。私は毎週その文章に大いに笑いながら、彼女のいつも的確な標的を選定してくるセンスと毒気を笑いに包むユーモアとのおかげで、なんとか当該の社会の中で正気を保てているように感じていた。そのくらいに、当時の私は社会というものによって精神的に参っていた。だからいまでも、彼女の感性は信じられるものだと、どこかで思っている節がある。

    そんな彼女の文章を書籍で読むのはこれが初めてだった。ただし冒頭の「空即是色」を読むのは二度目で、一度目がどの媒体だったのかははっきりと覚えてはいないが、やはり何度読んでも面白い。

    今度ようやく『中二階』を読んでみようと思っている。朝日新聞の「ベストセラー快読」は、どこかで書籍化されているのだろうか。もしそうなら読んでみたいし、もしそうでないならどこかから出版されることを期待している。

  • 「穂村弘が好きなら岸本佐知子はいかがですか」、とすすめられた一冊。
    読んでて言葉のチョイスがうまいなあと思いました。
    そしたらなんと彼女、穂村弘と同じ上智大学文学部英文科。
    よくよく考えたらわたしたちのゼミの先生も上智英文科だった。
    上智英文科、強者ばかりじゃないか。
    できるならわたしも行きたいぞ。

  • 私が私の好きな人(女性)に、何か本を贈るなら、絶対この本にする。(もしくは同著者の『ねにもつタイプ』か)
    今まで読んだエッセイの比ではない程面白い。

    ああ、友人達にばらまきたい。


    国際きのこ会館…
    すごく気になる。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「絶対この本にする。」
      それは危険な賭けかも、、、好き嫌いが分かれそう。贈った相手に、もし「合わなかった」と言われたらショックでしょう。。...
      「絶対この本にする。」
      それは危険な賭けかも、、、好き嫌いが分かれそう。贈った相手に、もし「合わなかった」と言われたらショックでしょう。。。
      2014/04/25
  • たいして読んでないのに言うのもなんだけど、岸本さんのエッセイ、面白すぎ。さくらももこのエッセイを好んで読んでいた頃と同等の満足度を感じてます。もちろん褒め言葉。”ねにもつタイプ”も素晴らしかったけど、本作はもうちょっと現実寄り。翻訳家としてのコラムみたいなのも掲載されていて、それはそれで興味津々。岸本さんの翻訳本を、もっと読みたくなりました。

  •  スティーブン・ミルハウザーやニコルソン・ベイカーの翻訳で知られる岸本佐知子女史のエッセイ集。
     1993年から1999年にかけて、色々な雑誌に掲載されたものを集めたとのこと。
     テンポがよく、押しつけがましいところがなく、とにかく面白い。
     ちょっと話を盛っているなと思えるもの、虚実が入り混じっているもの、それどころか虚しかないもの、と内容は色々だが、どれをとっても面白い。
     この方の好きな作家や好きな作品などが、僕の嗜好と重なることが多く、まるで昔から知っているちょっと変わり者の女友達と会話しているような気分にさえなった。
     この方の他のエッセイもぜひ読んでみたいと思う。

  • 岸本さんのエッセイ、やはりツボです。
    本気で、真面目に、突拍子もないことを書いている感じがとても好き。
    けらけら笑って読みつつも、心の奥にじんわりと不安な部分(でも決して嫌なものじゃない)を残していく感じも。

    童謡(?)『一週間』の歌詞は、私も小さい頃から不思議だったのですが、岸本さんが真剣な目で「月曜日に風呂をわかしておきながら火曜日に入るとは尋常ではない」と語っている顔が浮かんでしまって、笑いを我慢できませんでした。
    また、名前も知らない映画の一場面や雑誌で何気なく読んだ漫画、印象的なCMソングなどをエバーグリーンとして挙げるシュールさに笑いつつも、気付くと何度も頭に浮かんでいるものってそんなものだよなぁ、と妙に納得もしてしまいました。

    岸本さんの翻訳した本にも俄然興味がわきました。
    ニコルソン・ベイカー作品を読んでみたいです。

  • あ…
    このエッセイは、今読んでる、『本のおかわりもう一冊』、『必読書150』、『小川洋子の偏愛短篇箱』とつながってる…
    本の世界も案外狭いのかもしれない。

    本というのは、各人それぞれに、いろいろな食べ物や飲み物に例えることができると思うが、私にとって岸本佐知子のエッセイは、鰻の肝焼きのポジションに近い。
    日本酒をちびちびとやりながらいただく肝焼きと、夜寝る前にお酒を飲みながら、あるいはベッドに横になりながら岸本佐知子のエッセイを読む時間というのは、共にとても嬉しくて、ただし、毎日味わうのはちょっと厳しいかな…と感じるポジションのものだ。

    毎日は要らないけれどたまに欲しい…だなんて、とても人間らしくて贅沢な欲である。

    2013.05.16 再読

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「鰻の肝焼きのポジションに近い。」
      上手い喩えだ!
      「鰻の肝焼きのポジションに近い。」
      上手い喩えだ!
      2014/06/20
  • 岸本佐知子さんのエッセイ集。

    どんなに一般社会で上手に生きられなくても、人は一芸に秀でていれば世の中生き抜いていけるんだなぁ、なんて思ったり…。

    「社長がどんなことを言おうが、怒ろうが笑おうが、ホクロはいつも超然としてそこにある」
    電車の中で読みながら、必死で笑いをこらえた。

  • 本を読んでこんなに笑ったのは初めてです。

  • さいしょのエッセイ集だろうか
    面白いネタが多く
    結果おもしろいエッセイ集になっている
    女性版穂村弘というにふさわしい

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著者プロフィール

翻訳家。訳書にリディア・デイヴィス『話の終わり』『ほとんど記憶のない女』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、スティーブン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』など多数。編訳書に『変愛小説集』『楽しい夜』『居心地の悪い部屋』ほか、著書に『なんらかの事情』ほか。2007年、『ねにもつタイプ』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2019年 『掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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